2026年02月18日一覧

第3595話 2026/02/18

辞書出版各社からの返答〔角川書店編〕

 「洛中洛外日記」第3593話〝池田エライザ主演『舟を編む ~私、辞書つくります~』〟で、30年ほど前に辞書の誤りを見つけ、そのことを論文発表し(注)、辞書出版社に訂正を提案したことを紹介しました。

 辞書の誤りとは、〝犬のことを「かめ」という地域がある。明治時代に来日した西洋人が、犬をcome hear (カムヒア・カメヤ)と呼ぶのを聞いた日本人が誤解して、犬のことをカメと言うようになった。〟とする説明のことです。この語釈は誤りで、江戸時代以前から犬をカメと言う地域があったことを証明した同論文コピーを辞書出版社に送付し、次のような趣旨の手紙を出しました。

(1) カメ外来語語源説は、同封の論文に示しているように、成立困難であること。
(2) 御社の辞典には、「外来語説」に立った説明がなされているので、拙論を検討していただきたい。
(3) できれば、拙論に対する批判や感想をいただきたい。

 こうした手紙と論文コピーを角川書店、岩波書店、小学館、三省堂、新潮社の各社に出しましたが、出版各社の対応は大きく異なりました。
最初に届いたのは、『外来語辞典』を出版している角川書店からの次の返信でした。

【角川書店からの返信】
時下ますますご清栄のことと存じます。
とり急ぎお便りいたします。
当社におきましては、(依頼原稿以外の)お持ち込み原稿等の出版・雑誌掲載ならびに、批評等を行っておりません。ご期待に添えず申し訳ございませんが諒解のほどお願いいたします。
要件のみでございますが、ご健勝を念じます。 草々
角川書店 書籍第一編集部
【転載おわり】

 どうやら、「持込み原稿」として扱われたようでした。しかもご丁寧に『北奥文化』コピーも送り返されてきました。そこで、「持込み原稿」ではない旨記して、同社の「辞典編集部」宛に送付しましたが、返事はありませんでした。角川書店には読者の意見を聞く制度(態度)はないのかもしれません。やはり世間はこんなものかと、少々おち込んでいたら、岩波書店「広辞苑」編集部から返信が届きました。(つづく)

(注)古賀達也「〝カメ(犬)〟は「外来語」か」『北奥文化』18号、北奥文化研究会、1997年。
https://www.furutasigaku.jp/jfuruta/kaihou47/koga471.html

〖写真の説明〗角川書店からの返信。NHKドラマ『舟を編む ~私、辞書つくります~』のワンシーン。