第3516話 2025/08/17

木簡が示す王朝交代前後の日本列島

 昨日、「古田史学の会」関西例会が豊中倶楽部自治会館で開催されました。遠くは千葉市から倉沢良典さん(古田史学の会々員)が参加されました。リモート参加は7名でした。9月例会の会場は東成区民センターです。

 今回は二宮廣志さん(京都市)が例会発表デビューされました。7月例会での松尾匡さん(木津川市)に続いての新人デビューです。テーマは古墳時代の舟形木棺・石棺などの出土分布の考察で、『隋書』俀国伝に見える葬送記事「葬置屍船上陸地牽之」との関係を論じたものです。新たな古田学派研究者による、これからの活躍が期待されます。

 わたしからは、「王朝交代の宮殿 ―藤原宮木簡が示す活動期―」を発表しました。藤原宮跡や同東方官衙跡から多数出土した王朝交代前後の木簡を紹介し、次のように論じました。

 (1)干支や年号による紀年銘木簡によれば、藤原宮の活動期は『日本書紀』や『続日本紀』にあるとおり、藤原遷都(遷居)の694年から平城遷都の710年までとする通説の理解が妥当である。

 (2)王朝交代前(九州王朝・「評」の時代)から王朝交代後(大和朝廷・「郡」の時代)にかけて、藤原宮にいた天皇(持統・文武・元明)に貢献された「大贄(にえ)」「贄」木簡、その他の荷札木簡(飛鳥出土木簡も含む)の貢献諸国の範囲などから判断すると、7世紀第4四半期~藤原京時代における近畿天皇家の勢力範囲は、九州島(九州王朝・倭国の直轄支配領域)と蝦夷国(後の陸奥国・出羽国)を除いた広範な地域であることがうかがえる。

 (3)この出土木簡の史料事実は王朝交代前後の歴史研究にとって重要なエビデンスである。と発表しました。

 8月例会では下記の発表がありました。発表希望者は上田さんにメール(携帯電話アドレス)か電話で発表申請を行ってください。発表者はレジュメを25部作成されるようお願いします。

 なお、古田史学の会・会員は関西例会にリモート参加(聴講)ができますので、参加希望される会員はメールアドレスを本会までお知らせ下さい。
〔8月度関西例会の内容〕
①試論:『隋書』俀国伝の記述から舟形木棺、舟形石棺、長持形石棺の分布を考える (京都市・二宮廣志)
②神功・応神紀の朝鮮半島記事の捉え方について (茨木市・満田正賢)
九州王朝略史Ⅰ (川西市・正木 裕) https://youtu.be/dl4TcUTNGcY
④消された「詔」と遷された事績(中編) (東大阪市・萩野秀公)
⑤欽明紀の名の知れぬ内臣と百済王子恵 (大山崎町・大原重雄)
⑥白村江戦から壬申の乱へ (八尾市・服部静尚)
⑦王朝交代の宮殿 ―藤原宮木簡が示す活動期― (京都市・古賀達也)

□「古田史学の会」関西例会(第三土曜日) 参加費500円
09/20(土) 10:00~17:00 会場 東成区民センター 601号集会室
10/18(土) 10:00~17:00 会場 豊中倶楽部自治会館

フォローする