第309話 2011/03/21

鬼哭啾々、涙ひまなし

この度の大震災による被災地の惨状をテレビで見るたびに、鬼哭啾々(きこくしゅうしゅう)、涙ひまなしの毎日です。そうした中、本日、仙台の 佐々木広堂さ んからの電話で、南相馬市の青田勝彦さん(古田史学の会全国世話人)が御無事で宮城県に避難されているという連絡が入りました。本当によかったです。古田 史学の会・仙台の会の皆さん全員の御無事をお祈りしています。
「鬼哭啾々」とは杜甫の詩「兵車行」が出典で、戦地での悲惨な状況に鬼も啾々と哭(な)くという、「春望」(国やぶれて山河あり)と共に有名な詩です。こ の詩のように鬼も泣く戦地のような惨状の中、皆さんが力を合わせて頑張っておられる姿に心打たれ、また涙しています。
「涙ひまなし」とは日蓮遺文「諸法実相抄」が出典です。日蓮は佐渡に流罪となり、弟子等は土牢に入れられるという迫害の最中(文永十年、1273)、日蓮が弟子日浄に与えた書状です。
「現在の大難を思い続くるにも涙、未来の成仏を思うて喜ぶにも涙せきあへず。鳥と虫とは鳴けども涙落ちず。日蓮は泣かねども涙ひまなし。」
大弾圧の中で弟子等を思い涙する日蓮の心情が吐露された名文です。こうした弟子等を励ます手紙を、日蓮は流刑地の佐渡から数多くしたためています。

 

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