第1827話 2019/01/19

浄御原令の都城はどこか

 先週末、インフルエンザ(A型)を発症し、他者にうつさないようこの一週間は自宅で安静にしていました。良い新薬のおかげで、身体はすぐに楽になりました。インフルエンザに罹ったのは初めてで、還暦を超え免疫力が落ちているのかもしれません。他方、会社を休んでいる間は古代史の勉強、特に前期難波宮出土須恵器とカール・ポパーの「反証主義」の勉強を集中して取り組むことができました。仕事がなければこれだけ勉強ができるのかと驚いた次第です。一年半後の定年が待ち遠しくなりました。
 今日、「古田史学の会」関西例会がi-siteなんばで開催されました。2月はi-siteなんば、3月は府立労働センター(エル大阪)、4月は福島区民センター、5月・6月はドーンセンターで開催します。
 恒例の新春古代史講演会は2月3日(日)に大阪府立ドーンセンターで開催します。皆さんのご参加をお願いします。
 例会では服部さんが発表された、飛鳥浄御原令の成立と運用が行われた九州王朝の宮殿の所在地を太宰府とする仮説について、質疑が活発に行われました。わたしからは、太宰府条坊都市内に七世紀中頃の大規模な官衙遺構は出土しておらず、浄御原令が運用された宮殿・官衙は前期難波宮ではないかと問いただしました。正木さんからは「飛鳥宮」は小郡の上岩田遺跡が時代や規模が対応しており、古田先生が提唱された小郡飛鳥説でよく、浄御原令は小郡の飛鳥宮で作られ、前期難波宮の官僚群により運用されたとする見解が述べられました。
 この服部説の優れている点は、九州王朝論者が律令による全国支配を九州王朝が行っていたとするのであれば、数千人の官僚とその家族などの生活の場としての巨大条坊都市が不可欠であり、それは七世紀においては前期難波宮と太宰府、そして近畿天皇家の藤原宮だけであり、浄御原令もその例外ではないとされたことです。この服部説以後の九州王朝都城論や律令論を述べる研究者はそれに相応しい条坊都市の提示が不可欠となりました。抽象論や思いつきのような九州王朝都城論ではなく、これからは考古学的根拠を伴った仮説の提起が不可欠な時代に入ったのです。
 今回の例会発表は次の通りでした。なお、発表者はレジュメを40部作成されるようお願いします。発表希望者も増えていますので、早めに西村秀己さんにメール(携帯電話アドレス)か電話で発表申請を行ってください。

〔1月度関西例会の内容〕
①天皇と対等な大臣・大連・臣(高松市・西村秀己)
②倭王武の上奏文と磐井の勢力範囲(茨木市・満田正賢)
③山の神の猪(京都府大山崎町・大原重雄)
④島根県田和山遺跡の環濠施設について(京都府大山崎町・大原重雄)
⑤河内巨大古墳の造営者についての論点整理(奈良市・日野(奈良市・日野智貴)
⑥条坊都市はなぜ造られたか -浄御原は太宰府-(八尾市・服部静尚)
⑦九州王朝の官僚機構整備と評制施行(川西市・正木 裕)
⑧香坂皇子・忍熊皇子の反乱は何故起きたのか(奈良市・原 幸子)
⑨ヤマトから外界へ -崇神・垂仁の銅鐸圏への展開-(川西市・正木 裕)

○事務局長報告(川西市・正木 裕)
 新入会員、会費納入状況の報告・『古代に真実を求めて』22集編集状況・02/03新春古代史講演会(大阪府立ドーンセンター)の案内、講師:山田春廣氏(会員・千葉県鴨川市)、清水邦彦氏(茨木市立文化財資料館学芸員)・04/19『古代に真実を求めて』出版記念講演会「古代大和史研究会(原幸子代表)」主催、奈良県立情報図書館にて(講師:正木裕さん、服部静尚さん、古賀達也)・「水曜研究会」(豊中倶楽部自治会館)の案内、最終水曜日に開催、連絡先:服部静尚さん・01/25「誰も知らなかった古代史」(森ノ宮キューズモール)、講師:中尾智行さん(大阪府立弥生博物館主任学芸員)・02/19「市民古代史の会・京都」講演会(キャンパスプラザ京都)、毎月第三火曜日18:30〜20:00・02/15「和泉史談会」講演会(和泉市コミュニティーセンター)、講師:正木裕さん・02/01「続日本紀研究会」で服部静尚さんが発表・「古田史学の会」関西例会会場、2月はi-siteなんば、3月は府立労働センター(エル大阪)、4月は福島区民センター、5月・6月はドーンセンター・06/16「古田史学の会」会員総会と懇親会(I-siteなんば)・その他

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