『盗まれた「聖徳太子」伝承』発刊
本日、出張先から帰宅すると、明石書店から『盗まれた「聖徳太子」伝承』(『古代に真実を求めて』18集)が届いていました。表紙も中身のレイアウトも一新されており、狙ったとおり以上のリニューアルに成功していました。明石書店の担当の森さんにはかなり頑張っていただき、感謝しています。
冒頭には皇室御物の『法華義疏』のカラー写真が掲載されており、読者はその実相に触れることができます。『古代に真実を求めて』にカラー写真が掲載されたのは初めてですが、編集責任者の服部静尚さんのご尽力の賜です。法隆寺以前の持ち主が書かれていた部分が鋭利な刃物で切り取られた痕跡も写っており、これは同書が近畿天皇家の「聖徳太子」のものではなかったことを意味します。
古田先生へのインタビュー「家永三郎先生との聖徳太子論争から四半世紀を経て」では、古田先生が東北大学の恩師・村岡典嗣先生亡き後、新たに赴任されてきた家永先生に学ばれ、日本思想史の単位を認定していただいたこなどが語られており、先生ご自身による貴重な歴史的証言と思いました。
巻末には、法隆寺釈迦三尊像光背銘と『隋書』「イ妥(タイ)国伝」版本、そして古田先生によるそれらの現代語訳も収録されており、史料として研究にも役立ちます。本書は多元的「聖徳太子」研究における、後世に残る一冊に仕上がったと自負しています。
「古田史学の会」2014年度賛助会員(年会費5000円)には明石書店から順次発送されます。大型書店にも並びますので、是非お買い求めください(定価2800円+税)。次号19集は「九州年号」を特集します。更に『三国志』倭人伝を特集した別冊も発行予定です。こちらもお楽しみに。