第3530話 2025/09/14

ミネルヴァ書房・杉田社長からの電話

 半月後に迫った弘前市での『東日流外三郡誌の逆襲』(八幡書店)出版記念講演会(9/27、弘前市立観光館。秋田孝季集史研究会主催)の準備で忙しくしていますが、先日、京都市山科区に本社を置くミネルヴァ書房の杉田啓三社長からお電話をいただきました。古田先生の追悼講演会以来のことですから、お声を聞くのも十年ぶりです。

 開口一番、「『東日流外三郡誌の逆襲』を送ってくれてありがとう。三日かけて読んだ。これは面白いねえ。」とのこと。京都の人文・社会科学系出版の雄、ミネルヴァ書房と言えば、本作りのプロ中のプロの集団。そこの社長の杉田さんからのお褒めの言葉だけに、感激しました。「三十年かかりました」と言うと、「ようあれだけ調べたねえ。それにしても偽作論者はひどい。彼らには何を言っても無駄だろうけれども、本当によう調べたと思う。」

 このようなやりとりのあと、三十数年前に起きた和田家文書偽作キャンペーンと「市民の古代研究会」への激しい組織攻撃(理事会の切り崩し、裏切りなど)を受け、最後はわたし一人で「古田史学の会」の立ち上げを決意し、集まってくれた数人の同志と、そして古田武彦先生と共に、全国の古田ファン・古田史学支持者を糾合するため、北海道から九州まで行脚し、「古田史学の会」の組織を作り、この本の発刊に至ったことを杉田社長に説明しました。ですから、「古田史学の会」が今日あるのは、偽作論者や偽作キャンペーンの賜とも言えそうです。何よりも、『季刊 邪馬台国』や週刊誌・書籍、右翼雑誌などから名指しの攻撃を受けたことにより、わたし自身も精神的・学問的にタフになりました。

 思い起こせば、当時、古田先生は次のように言われました。
「偽作キャンペーンが今でよかった。もしこれが十年後であったなら、わたしの身体は到底もたなかった。」
このとき、先生は六十七歳、わたしは三十八歳でした。
話を戻します。ミネルヴァ書房からは、これまで「古田史学の会」の本を二冊出版していただきました。『「九州年号」の研究』(2012年)と『邪馬壹国の歴史学』(2016年)です。どちらも「古田史学の会」編の自信作です。電話の最後に、「また機会があれば「古田史学の会」の本を出していただきたいと思います。」と述べ、拙著へのお褒めの言葉に対して重ねてお礼を申し上げました。

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