『「邪馬台国」古代史研究の最前線』の“不勉強”
本日の関西例会でも様々な論点で発表がありました。出野さんからは前回の続きで、大和に入った神武らは銅鐸圏と共存し、崇神の時代になって銅鐸祭祀から鏡祭祀への変更統一を開始したとされました。また、物部氏と銅鐸圏との関わりについても論究されました。
服部さんからは「乙巳の変」の舞台が藤原宮とはできないと持論を展開されましたが、厳しい反論を受けました。この論争はなかなか決着が付きそうにありませんが、やや西村・正木側が優勢になりつつあるように思われました。
正木さんからは『「邪馬台国」古代史研究の最前線』の“不勉強”という過激なタイトルで、同書収録の倭人伝研究の内容が「古田武彦完全無視」であり「その内容は『最前線』どころか、古田以前の水準」と厳しく批判されました。温厚な正木さんをして「多数の『学者・専門家』の手による『「邪馬台国」古代史研究の最前線』という書物は、『古田説完全無視』に加えて、『支離滅裂』な解説の数々は、『最新の研究』という表題を信じて購入する読者を“欺く”ものだ」と言わしめています。現在、「古田史学の会」で編集中の『「邪馬台国」論争を超えて(仮称)』(ミネルヴァ書房)と読み比べていただければ、その学問水準の優劣は明白でしょう。ちなみに『「邪馬台国」古代史研究の最前線』(洋泉社)は13名の大学教授等の研究者の共著で、突っ込みどころ満載です。この報告は『古田史学会報』に投稿されるとのこと。
8月例会の発表は次の通りでした。
〔8月度関西例会の内容〕
①銅鐸祭祀から鏡祭祀へ②(奈良市・出野正)
②乙巳の変(日本書紀とおりの)645年説の補強(八尾市・服部静尚)
③「日本正史(『日本書紀』)」上に於ける「神武紀」の役割及びニギハヤヒの位置づけ(東大阪市・萩野秀公)
④続編 神宝(天御璽)「天羽羽矢」について(東大阪市・萩野秀公)
⑤『「邪馬台国」古代史研究の最前線』の“不勉強”(川西市・正木裕)
⑥「鏡」が示す銅鐸国=狗奴国の滅亡(川西市・正木裕)
⑦張莉さんの講座を聞いて 俾弥呼は髪の長い美しい人だった!?(川西市・正木裕)
○水野顧問報告(奈良市・水野孝夫)
古田先生近況(7/25イオンモール京都桂川で新役員挨拶・奥様一周忌8/18須磨寺蓮生院へ・『「邪馬台国」論争を超えて』原稿依頼「この本は、従来の学界批判になっており、期待している。」・KBS京都放送ラジオ番組「本日、米團治日和。」収録日8/27に決定・松本深志高校教諭 鈴岡潤一著『世界史』寄贈される・他)・7/25古田先生への役員交代の挨拶・『二中歴』「最勝会」の研究、「維摩会」と混同か?・高山由紀『中世興福寺維摩会の研究』を読む・国立の国分寺が東大寺とは本当か?大和八木に大和国分寺?・写真集『奈良市の昭和』樹林舎2015購入・その他