『東京古田会ニュース』196号の紹介
本日、『東京古田会ニュース』196号が届きました。昨年11月に開催された八王子セミナー(古田武彦記念古代史セミナー2020)の報告が、同セミナーの実行委員をされている荻野谷正博さん(川崎市)からなされ、わたしや正木裕さん(古田史学の会・事務局長)の研究発表内容を好意的に紹介していただきました。
同号には服部静尚さん(『古代に真実を求めて』編集長)の論稿「飛鳥から国が始まったのか」が掲載されています。同稿で服部さんは飛鳥や藤原京出土干支木簡の年次に焦点を当て、「発掘成果からは、七世紀後半六六六年以降に、飛鳥が列島を代表するレベルの政治の中心地になっていったと考えられる」とされ、「壬申の乱の後、大和飛鳥が天皇家の本拠地となったものと考えるのが妥当でしょう。それはつまり、天武天皇が壬申の乱(六七二)後、ここを本拠地として勢力拡大を進めたということになります。」と指摘されています。そして、「それ以前に中国史書が伝える倭国が存在したのですから、『飛鳥から国が始まった』とはならない」と一元史観の通説を批判されています。
七世紀後半から末期にかけての九州王朝から大和朝廷への王朝交代の実相を明らかにするうえで、こうした諸仮説が発表されることは学問研究にとって大切と思いました。