第2652話 2021/12/30

『多元』No.167に

「太宰府出土須恵器杯と律令官制」掲載

 本日、友好団体「多元的古代研究会」の会紙『多元』No.167が届きました。同号には拙稿「太宰府出土須恵器杯と律令官制 ―九州王朝史と須恵器の進化―」を掲載していただきました。
 同稿は、七世紀後葉の編年基準土器とされている須恵器杯Bの発生が、律令官制とその中央政府の官衙群成立を主要因とするものであり、七世紀中葉頃に太宰府条坊都市で杯Bが最初に本格使用されたとする論理的仮説(注)を提起したものです。この仮説が成立すると、杯Bの編年が四半世紀~半世紀ほど遡ります。令和四年には、その新編年仮説を考古学的出土事実により証明したいと考えています。

(注)須恵器杯Bは蓋に擬宝珠状のつまみがあり、杯身の底部に脚(高台)を持つタイプの土器。九州王朝が律令により全国の評制統治を行うために恐らく数千人におよぶ中央官僚群が太宰府(倭京)や前期難波宮(難波京)で誕生し、卓上で勤務、食事をとるようになり、脚が付いて卓上に安定して置ける杯Bの採用が始まったとする仮説。

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