第1902話 2019/05/18
「投馬国」「アスカ」「難波宮」で論争続く
本日、「古田史学の会」関西例会がドーンセンターで開催されました。6月はドーンセンター、7月はアネックスパル法円坂で開催します。6月16日(日)はI-siteなんばで「古田史学の会」会員総会です(午前中は全国世話人会開催)。会員の皆様のご出席をお願いします。
当日は大阪文化財研究所長の南秀雄さんをお招きし、「日本列島における五〜七世紀の都市化」という演題で講演していただきます(諸団体と共催。後述)。正木裕さん(古田史学の会・事務局長)も「姫たちの古伝承」というテーマで講演されます。一般の方も参加できます(参加費無料)。
今回はいつもの関西例会以上に重要テーマ三題で論争が続きました。最初は7世紀の金石文に見える「アスカ」を太宰府にあったとする服部さんの金石文解釈とそれを疑問視するわたしや正木さん、谷本さんとで論争が交わされました。
次に魏志倭人伝の「投馬国」を南西諸島(沖縄など)とする新仮説を発表された谷本さんに対して、古田説(南九州)でよいとする正木さん、南西諸島では「五万戸」の人口は無理ではないかとするわたしとで論争が続きました。
三つ目は、前期難波宮整地層から7世紀後半の土器とされる須恵器坏Bが出土しているとする大下さんと前期難波宮整地層からは坏Bは出土しておらず、出土したのは後期難波宮再整地層や堆積層からとするわたしとで論争が続きました。関連して、白石太一郎氏の飛鳥編年の是非についても、妥当とする大下さんと間違っているとする服部さんとで論争がありました。
いずれも重要で難しいテーマということもあり、各人30分という短時間では決着がつきませんが、参加された方には学問論争の醍醐味を味わっていただけたものと思います。今後も論議検証を深めていきたいテーマです。
今回の例会発表は次の通りでした。なお、発表者はレジュメを40部作成されるようお願いします。発表希望者も増えていますので、早めに西村秀己さんにメール(携帯電話アドレス)か電話で発表申請を行ってください。
《例会余話》例会・懇親会終了後の京都に戻る京阪特急の中で、久冨直子さんから面白い作業仮説(アイデア)をお聞きしました。それはアスカと訓まれている「飛鳥」は、本来はトトリと訓まれていたのではないかというものです。例えば、現在「近つ飛鳥」と称されている地域は河内にあり、そこは捕鳥部萬(ととりべのよろず)の支配領域内と思われ、トトリを「飛鳥」と表記されていたものが、いつの頃からか「飛鳥」をアスカと訓むようになったのではないかと考えることも可能です。その当否やどのように論証して良いのかもまだわかりませんが、面白いアイデアだと思いました。
〔5月度関西例会の内容〕
①祭祀を行う埴輪の集団(京都府大山崎町・大原重雄)
②各地に残る縁起の年代表記について(茨木市・満田正賢)
③金石文とアスカ(八尾市・服部静尚)
④講座「応神・仁徳天皇両陵墓の不思議な事実 〜河内政権論と巨大前方後円墳の謎〜」(2019.5.31、NHK文化センター梅田教室)の案内(神戸市・谷本 茂)
⑤狗奴国、投馬国の位置の再検討(神戸市・谷本 茂)
⑥古事記・日本書紀の数詞(大字)使用特徴について(神戸市・田原康男)
⑦「倭姫命世紀」について(東大阪市・萩野秀公)
⑧難波宮整地層出土の坏「B」について 会報151号古賀論文の検証(豊中市・大下隆司)
⑨学問論争か水掛論争か(京都市・古賀達也)
○事務局長報告(川西市・正木 裕)
《会務報告》
◆『失われた倭国年号 大和朝廷以前』増刷。拡販協力要請。
◆新会員報告 『倭国古伝』購入者が入会。
◆6/16 13:00〜16:00 古代史講演会 (会場:I-siteなんば。共催:古代大和史研究会、市民古代史の会・京都、古田史学の会、他。参加費無料)
①「日本列島における五〜七世紀の都市化」 講師:南秀雄さん(大阪文化財研究所長)
②「姫たちの古伝承」 講師:正木裕さん(古田史学の会・事務局長)。
◆6/16 16:00〜17:00 「古田史学の会」会員総会(会場:I-siteなんば)
総会終了後、希望者で懇親会開催(当日、会場で受け付け)。
◆6/15 10:00〜17:00 「古田史学の会」関西例会(会場:6月はドーンセンター、7月はアネックスパル法円坂)
◆11/09〜10 「古田武彦記念古代史セミナー2019」の案内。主催:公益財団法人大学セミナーハウス。
《各講演会・研究会のご案内》
◆「誰も知らなかった古代史」(会場:アネックスパル法円坂。正木 裕さん主宰)
5/24 18:45〜20:15 「鏡に施された銭文様」 講師:高瀬裕太さん(大阪府立弥生文化博物館学芸員)。
6/28 18:45〜20:15 「百舌鳥古市古墳群の世界文化遺産登録 史跡を暮らしと観光に生かす」 講師:正木裕さん(古田史学の会・事務局長)。
◆「古代大和史研究会」講演会(原幸子代表。会場:奈良県立情報図書館。会費500円)。
6/04 13:30〜17:00
①「磐井の乱ー継体紀の謎に迫る」 講師:正木 裕さん。
②「阿毎多利思北孤ー聖徳太子の幻影か?」 講師:大下隆司さん。
③「盗まれた天皇陵」 講師:服部静尚さん。
◆「和泉史談会」講演会(辻野安彦会長。会場:和泉市コミュニティーセンター。参加費500円)。
6/11 14:00〜16:00
「縄文・弥生人は南米に渡った」 講師:大下隆司さん。
◆「市民古代史の会・京都」講演会(事務局:服部静尚さん・久冨直子さん)。毎月第三火曜日(会場:キャンパスプラザ京都。参加費500円)。
5/21 18:45〜20:15 「徹底解説-邪馬「台」国九州説」 講師:正木 裕さん。
6/18 18:45〜20:15 「海を渡る倭人〜魏志倭人伝に記された国々」 講師:大下隆司さん。
◆5/21 13:00〜 五代友厚展での講演(辰野ひらのギャラリー)
①「盗まれた天皇陵」 講師:服部静尚さん。
②「薩摩と南の島々の古代史」 講師:正木 裕さん。
③「天誅組とパークス襲撃事件」 講師:草村克彦さん。