第3087話 2023/08/02

八王子セミナー2023

  「倭国から日本国へ」の案内

 先日届いた『東京古田会ニュース』211号に〝古田武彦記念古代史セミナー2023 「倭国から日本国へ」〟(八王子セミナー)の案内が同封されていました。今年のセミナーは11月11~12日に開催されます。わたしも二日目の〝セッションⅡ 遺構に見る「倭国から日本国へ」〟で発表しますので、8月5日の東京講演会が終わりましたら、本格的に準備を始めます。わたしの演題と発表要旨は次の通りです。

《演題》
律令制都城論と藤原京の成立 ―中央官僚群と律令制土器―
《要旨》
大宝律令で全国統治した大和朝廷の都城(藤原京)では約八千人の中央官僚が執務した。それを可能とした諸条件(官衙・都市・他)を抽出し、倭国(九州王朝)王都と中央官僚群の変遷、藤原京成立の経緯を論じる。

 同セミナーの「案内」に掲載された荻上先生による開催趣旨には〝「証明」は客観的且つevidence-basedでなければなりません〟とあります。倭国(九州王朝)から日本国(大和朝廷)への王朝交代について、文献解釈を中心とした諸説が発表されていますが、その多くはevidence-based(出土遺構・木簡・金石文等)との整合性が不十分あるいは不適切なように見えます。今回のテーマにとって重要な視点ですので、わたしは徹底的にevidence-basedにこだわった発表を目指したいと考えています。
荻上先生による開催趣旨の当該部分を転載します。

 〝物語として古代を語るのは夢がありこの上なく楽しいのですが、古代史学においては科学的な「史実」の解明が基本であり、その作業即ち「証明」は客観的且つevidence-basedでなければなりません。「それでも地球は回っている」は科学的ですが、「それでも邪馬台国は近畿にあった」は科学的ではありません。
今回のセミナーでは「倭国」と「日本国」に焦点を合わせることにより、7〜8世紀の真実の歴史に迫りたいと思います。セミナーは、『邪馬台国の滅亡 大和王権の征服戦争』(吉川弘文館 2010)や『謎の九州王権』(祥伝社 2021)で知られる若井敏明先生の特別講演をお聴きした上で、古田先生の古代史学の研究方法と研究成果を再確認しながら、倭国から日本国への移行に関するevidence-based historyについて建設的な議論が盛り上がることを期待しています。〟(実行委員長 荻上紘一)

 同セミナーの日程は次の通りです。詳細や参加申し込みについては、主催者(大学セミナーハウス)ホームページのイベント案内をご参照下さい。
https://iush.jp/seminar/2023/04/545/

□特別講演 「『日本書紀』よりみたる古代ヤマト王権の成立と発展」
若井敏明(関西大学・神戸市外国語非常勤講師)
□第1日目 11月11日(土)
13:00~13:30 開会
13:30~16:30 特別講演(若井敏明先生)・ディスカッション
16:45~18:00 古田武彦氏の業績に基づく論点整理(大越邦生委員)
18:00~    夕食
19:00〜21:30 情報交換会
□第2日目 11月12日(日)
09:00~12:30 セッションⅠ 理系から見た「倭国から日本国へ」
12:30~    昼食
13:30~16:30 セッションⅡ 遺構に見る「倭国から日本国へ」
16:30~    閉会・解散

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