防人の詩
EXILE魂というテレビ番組に、さだまさしさんがゲストで出ていました。同じ九州出身ということもあって、私はさださんの歌を学生時代から よく聞いたり歌ったりしていました。番組ではさださんの名曲「防人の詩」をエグザイルのメンバーが歌っていましたが、久しぶりに聞いて、いい曲だなあと改めて感動しました。
この曲の詩は『万葉集』の歌に触発されて作られたと聞いていますが、恐らくそれは『万葉集』巻一六の3852番歌「鯨魚(いさな)とり 海や死にする山や 死にする死ぬれこそ 海は潮干(しほひ)で山は枯れすれ」の歌だったと思います。岩波古典文学大系『万葉集』の頭注には次のように大意が記されています。
「(問)海は死ぬだろうか。山は死ぬだろうか。
(答)死ぬからこそ、海は潮が干るし、山は草木が枯れるのに。」
古代日本列島の人々の死生観の一つが歌いこまれたものと思いますが、さださんの「防人の詩」の最後のフレーズを今聴くと、震災と津波、そして原発事故で苦しんでいる東北の大地や海の姿とオーバーラップして、涙が出てきます。それは、次のフレーズです。
「海は死にますか 山は死にますか
春は死にますか 秋は死にますか
愛は死にますか 心は死にますか
私の大切な故郷もみんな逝ってしまいますか」
一日も早く東北の大地が徐染されることを願わずにはいられません。
一日も早く東北の大地が徐染されることを願わずにはいられません。