第190話 2008/09/28

「古賀」と「古閑」

 9月の関西例会では正木さんより熟田津が愛媛県西条市にあったという説が、史料根拠を提示して発表されました。かなり説得力のある説で、論文発表が待たれます。もしこの説が正しかったら、行方不明となっている伊予の温湯碑は西条市のどこかにあることになり、今後の展開も楽しみです。
 わたしは、8月に永井さんが紹介された「こが」地名のうち、「古賀」が福岡県・佐賀県に濃密分布し、「古閑」は菊池川流域を中心として熊本県に分布しているというデータにヒントを得て、賀と閑がいずれも万葉仮名「か」に使用されていることから、九州王朝内部でも万葉仮名は多元的に成立していたのではないかとする作業仮説を報告しました。こちらも今後の研究の深化が求められています。
〔古田史学の会・9月度関西例会の内容〕
○研究発表
1). プラトンの弁明・西村命題の向こう側(豊中市・木村賢司)
2). 熟田津論点整理(川西市・正木裕)
3). 「上宮聖徳法王帝説」再考(岐阜市・竹内強)
4). 万葉仮名成立の論理(京都市・古賀達也)
5). 九州王朝の近江遷都はあったか2(木津川市・竹村順弘)
○水野代表報告
古田氏近況・会務報告・西行法師の伊勢参宮の歌・他(奈良市・水野孝夫)

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