第10話 2005/07/11

信州のお祭り・縄張り

 松本市での講演会も盛況の内に終わりました。毎回のことながら「古田史学の会・まつもと」の皆様には大変お世話になりました。御礼申し上げます。
 今回、松本に行って気が付いたのですが、当地では神社のお祭りの際には、氏子の家など神社周辺一帯に白い御幣を垂らした縄を張り巡らすのです。行きの列車の窓からもこの光景を目にしましたし、松本神社周辺でもかなり広い範囲に縄が張られていました。最初は何のことか判らずに、「古田史学の会・まつもと」の木村さん(同会会計)や北村さん(同会副会長)にお聞きしたところ、信州ではお祭りの時に、このように御幣を垂らした縄を張り巡らせるとのことでした。そして、日本中どこでもお祭りではこうするものだと思っておられました。わたしが、京都や郷土の久留米市では見たことがないと言うと、驚いておられたのが印象的でした。それくらい、信州ではこの習慣が根付いているのでしょう。
 思うに、この「縄張り」はお祭りに当たっての「結界」のようなもので、神聖な場所、すなわち「アジール」を示すものではなかったか、と推測しています。こうした風習は他の地域でもあるのでしょうか。興味深いところです。
 柳田国男が「日本の祭」で信州の穂高神社の例として、祭の際に「境立て」として四方十町ほどの境の端に榊の木を立てることを記していますが、縄を家々の回りに延々と張るのと同様の神事かもしれません。ある意味では、より徹底した神聖な場の囲い込みではないでしょうか。

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