隅田八幡人物画像鏡の品質
一昨日の関西例会では新年の幕開けにふさわしい、優れた研究報告がなされました。中でもわたしが特に感心したのが、岡下さんの隅田八幡人物画像鏡に関する報告でした。
岡下さんは以前にも同画像鏡に関する報告をされていて、鏡の出来が良くないとされ、百済王からの贈答品ではないのではないかとの見解を示されていました。それに対して、わたしは隅田八幡人物画像鏡の出来は悪くないと反論していました。
ところが岡下さんはその批判に負けることなく、隅田八幡人物画像鏡と他の人物画像鏡の比較写真などを提示され、その製造方法の違いや画像や文字の稚拙さ を具体的に指摘されたのです。この実証的な再反論は見事なもので、わたしも認識を改めざるを得ませんでした。
もちろん、百済王から倭王へ送られたということに関しては、岡下さんとは見解が異なりますが、「銘文解釈は鏡の出来の悪さも説明できるものでなければな らない」という岡下さんの主張は、なるほどその通りだと思いました。この鏡について、より深く検討することをせまられた、岡下さんの発表でした。
このように、関西例会での厳しい論争のやりとりは、大変勉強になるもので、学問的にも有意義なものです。岡下さんには発表後に、お礼を述べました。なお、例会では下記の報告がなされました。
〔1月度関西例会の内容〕
1). 前倒し、先送り(豊中市・木村賢司)
2). 浅読み、深読み(豊中市・木村賢司)
3). 追従(服従)、反発(抵抗)(豊中市・木村賢司)
4). 鮮卑族に連れ去られた倭人たち(続)(相模原市・冨川ケイ子)
5). 和田家文書の邪馬台国(木津川市・竹村順弘)
6). 『書紀』継体紀、磐井の乱と近江毛野臣記事(川西市・正木裕)
7). 隅田八幡神社人物画像鏡の銘文(その3)(京都市・岡下英男)
8). 大安寺伽藍縁起の天皇名(木津川市・竹村順弘)
9). 元興寺伽藍縁起の天皇名(木津川市・竹村順弘)
10). 和田家文書と北魏(木津川市・竹村順弘)
〔代表報告〕
○会務報告・古田先生近況・賀詞交換会での古田講演の概説・唐招堤寺へ初詣・市民講座「ここまでわかった紫香楽宮」・その他