第3533話 2025/09/22

「34年遡り」説で

 天武紀の一切経・放生会記事を解明

 一昨日、「古田史学の会」関西例会が東成区民センターで開催されました。リモート参加は4名でした。10月例会の会場は豊中倶楽部自治会館です。

 わたしからは、「和田家文書の真実 ―『東日流外三郡誌の逆襲』出版記念―」を発表しました。9月27日(土)、青森県弘前市で開催される『東日流外三郡誌の逆襲』出版記念講演会(秋田孝季集史研究会主催)のリハーサルを兼ねて発表したもので、9/05・リモート古代史研究会(多元的古代研究会主催)、9/13・和田家文書研究会(東京古田会主催)に次いで3回目のリハーサルです。様々なご意見をいただき、本番に向けての準備はほぼ完了しました。貴重なご意見を賜り、ありがとうございました。

 弘前市講演会には、新聞各社や地元選出議員の参加も予定されているようです。『東日流外三郡誌』は偽書ではなく、江戸時代における当地の歴史伝承が採録された貴重な史料であること、和田家文書以外にも津軽の民間で成立した江戸期の伝承史料が青森県には数多く遺っていることなどを紹介する予定です。

 今回の例会で最も注目したのが正木裕さんの発表「繰り下げられた利歌彌多弗利の事績」でした。『日本書紀』天武紀には不自然な記事がありました。例えば、天武二年(673)の初めての一切経書写記事、天武四年(675)の殺生・肉食禁止記事、天武五年(676)の放生会記事などです。唐突に記されたこれら一連の記事は、本来は九州王朝によるものであり、それらが三十四年後の天武紀に転用されたとする仮説です。これは正木さんにより提起されてきた「34年遡り」説の適用であり、この方法と理解により、『二中歴』年代歴の九州年号細注記事などと整合することを明らかにしました。
この正木説によれば、『日本書紀』編纂時の九州王朝記事の概要を推定できそうですし、それは九州王朝史復元研究に貢献できます。正木説の検証や展開が期待されます。

 9月例会では下記の発表がありました。発表希望者は上田さんにメール(携帯電話アドレス)か電話で発表申請を行ってください。発表者はレジュメを25部作成されるようお願いします。
なお、古田史学の会・会員は関西例会にリモート参加(聴講)ができますので、参加希望される会員はメールアドレスを本会までお知らせ下さい。

〔9月度関西例会の内容〕
①蘇我馬子と聖徳太子 ―俀国と兄弟統治を解明する― (姫路市・野田利郎)
②一つ目の人面付き甲冑埴輪の謎 (大山崎町・大原重雄)
③東日流外三郡誌の後出しジャンケンの六本柱復元絵図 (大山崎町・大原重雄)
④中国史書の方位表記の検討 (京都市・二宮廣志)
⑤和田家文書の真実 ―『東日流外三郡誌の逆襲』出版記念― (京都市・古賀達也)
⑥多元的九州王朝論のすすめ (茨木市・満田正賢)
⑦消された「詔」と遷された事績(後編) (東大阪市・萩野秀公)
⑧『古事記』『日本書紀』の成立事情 (八尾市・服部静尚)
⑨繰り下げられた利歌彌多弗利の事績 (川西市・正木裕)

□「古田史学の会」関西例会(第三土曜日) 参加費500円
10/18(土) 10:00~17:00 会場:豊中倶楽部自治会館

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