第3599話 2026/02/26

辞書出版各社からの返答

  〔小学館・新潮社編〕

 角川書店と岩波書店に次いで、小学館と新潮社から返信が届きました。小学館からの返答は感動的でした。紹介します。

【小学館からの返信】
拝復 「日本方言大辞典」をご活用くださいまして、ありがとうございます。また、この度は、同書の内容につきまして、貴重なご教示を賜わりましたこと、併せて篤く御礼申し上げます。
さて、ご指摘の「カメ」の語源説についてですが、古賀様のお説を拝読し、たとえ外来語語源説が古くから行われていたとしても、「日本方言大辞典」の中でそれと断定するのは問題があると感じました。少なくとも、この部分を、(犬を呼ぶ語Come here またはCome in からとする説がある)とすべきであったようです。

 わたくしどもは、この辞典の他に「日本国語大辞典」という大型の国語辞典を出版しているのですが、この「カメ」外来語語源説は、そちらで示した語源説をもとに記述したようです。(「日本国語大辞典」の語源説は従来の語源に関する諸説を列記したもので、あくまでも諸説の紹介にとどまり、どの説が正しいかという判断は示していません)そこに掲げた語源説は、「大言海」「明治事物起源」「方言と昔(柳田国男)」ですが、それらが文久3年刊の「横浜奇談」まで遡れるというのは、お説を拝読して今回初めて知りました。「日本国語大辞典」は現在改訂作業を進めておりますので、何らかのかたちで反映させていただく所存でございます。

 最後に、私事で恐縮ですが、わたしは十数年前に一度向日市の古田武彦氏のお宅にお伺いし、長時間に渡ってお説を拝聴したことがあります。(中略) 今回、「古田史学の会」の事務局をなさっている古賀様からお手紙を頂戴し、奇縁に驚きました。これも何かのご縁と存じますので、今後ともわたくしどもの辞書につきまして、お気付きのことがございましたら、ぜひまたご教示を賜わりたいと存じます。
先ずは、御礼かたがたご報告まで。
敬具 一九九七年十一月二十八日
小学館 国語辞典編集部
【転載おわり】

 古田武彦先生や古田史学を接点に、わたしの人生に於いて様々な分野の人々との出合が生まれました。わたしはこの幸せに感謝し、その学恩を生涯忘れることはないでしょう。そして、最後に届いたのが新潮社でした。

【新潮社からの返信】
拝啓

 お手紙とコピー、拝見しました。読んで、お書きになってらっしゃることは尤もだと思いましたし、驚きました。語釈を改めなければならないと思いますので、編者の先生に相談致します。ありがとうございました。また何かお気付きの点がございましたら、ご連絡いただければ幸いに存じます。
右は取り急ぎ御礼と御連絡まで。
敬具
新潮社 辞典編集部国語辞典係
【転載おわり】

 簡潔にして要を得た返答です。残る三省堂からは〝なしのつぶて〟でしたが、既存学説(通説)に対する三十年前のわたしのささやかな〝挑戦〟でした。池田エライザさんの主演ドラマ「舟を編む ~私、辞書つくります~」を観ていて思い出した人生の一コマです。(おわり)

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