第1574話 2018/01/14

評制施行時期、古田先生の認識(10)

 本連載において、九州王朝(倭国)における行政区画「評制」(「国・評・里(五十戸)」制)の施行時期について、古田先生が7世紀中頃と認識しておられたことが先生の著書や講演録に記されていることを紹介してきました。
 こうした古田先生の認識については、わたしにとってあまりにも当たり前のことで、これを疑う方が古田学派内におられることに驚いています。もちろん、学問研究の問題ですから、この古田先生の見解やそれを支持するわたしに反対することも学問の自由です。「師の説にななづみそ」。本居宣長のこの言葉を「学問の金言」と古田先生は仰っていましたから、師の説といえども批判し、異なる説を発表することは学問の自由ですし、学問は真摯な批判や論争により発展してきました。
 しかし、古田先生がどのように認識されていたかを正確に理解した上で批判はなされるべきです。本テーマではありませんが、わたしが書いても言ってもいないことを誤引用・誤要約され、それを古賀の意見として批判されるという経験をわたしは度々しています。学問論争は批判する相手の意見を正確に理解することが基本であり常識です。
 古田先生は亡くなられましたが、わたし以外にも古参の「弟子」はご健在です(谷本茂さんら)。そうした方々への聞き取り調査も可能ですから、古田先生の見解を正確に理解した上で、学問的批判・討議の対象とされることを訴えて、本連載の結びとします。(了)

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