第285話 2010/10/12

「日の丸」の起源

10月9日の久留米地名研究会での講演会は御陰様で盛況でした。するどい質問もいただき、参加者の熱心さが伝わってきました。主催者の皆さまや参加していただいた皆さまにお礼申し上げます。
今回の京都からの往復の新幹線内では、『知っておきたい「日の丸」の話し』吹浦忠正著(学研新書)を読みました。著者はわが国における「国旗」研究の第一人者で、その博識ぶりが随所に記された好著でした。
中でも「日の丸」の起源について触れられた部分は参考になりました。氏の見解は「日の丸」は古代日本における太陽信仰に淵源するものとされていますが、 この点、古田先生と同見解です。更に、通例では「日の丸」の起源を『続日本紀』の文武天皇大宝元年正月朝賀の儀に飾られた日像が初見史料とされているよう ですが、著者はそれよりも早い時期に成立している法隆寺蔵「玉虫厨子」に描かれた日像、あるいは7世紀前半の珍敷塚古墳(福岡県)の壁画に描かれた太陽な どを起源として考えるべきではないかとされています。
いずれも九州王朝に関係しそうな史料・遺跡であることに興味を覚えました。もちろん、日本列島における太陽信仰は九州王朝以前から、恐らくは旧石器縄文 時代にまでさかのぼるものと推測されますが、「日の丸」に対して様々な視点から解説されている同書の読後感はとてもさわやかなものでした。

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