第3152話 2023/11/05

八王子セミナー発表資料集を精読

 今月11~12日に開催される八王子セミナー(注①)発表資料集「倭国から日本国へ」が届き、精読しています。発表テーマは次の通りです。

【古田武彦氏の業績に基づく論点整理】
大越邦生 そうだったのか「倭国から日本国へ」

【セッションⅠ】理系から見た「倭国から日本国へ」
谷川清隆 「地天泰」分類の進展 ―倭国から日本国へ―
川端俊一郎 法隆寺(南朝尺2等材)は太宰府法興寺の移築
谷本 茂 国名変遷の基本問題 ―倭国・扶桑国・日本国の関係―

【セッションⅡ】遺構に見る「倭国から日本国へ」
新庄宗昭 飛鳥時代(7世紀後半)の遺構解釈 ―飛鳥浄御原宮と藤原京―
古賀達也 律令制都城論と藤原京の成立 ―中央官僚群と律令制土器―

 いずれも古田学派論客にふさわしい内容です。なかでも谷本さん(古田史学の会・会員、神戸市)の資料に見える「旧新両唐書の“国名変更”解説の再検討」は、『新唐書』日本国伝の新読解を提起し、通説も古田説も誤読に基づいているとするものです。漢文解釈のハイレベルで難解な同仮説を、初めて聞くことになる参加者に短時間(30分)でどのように谷本さんが説明されるのだろうかと注目しています。

 セッションⅡでは、新庄さんとわたしの発表に基づいて、谷本さん・和田昌美さん(多元的古代研究会・事務局長)と司会の橘高修さん(東京古田会・副会長)も交えてパネルディスカッションが行われます。おそらく論点は、藤原京・藤原宮の造営時期と造営主体を、エビデンスに基づいてどのように理解するのかに集約されるものと思います。ちなみに、新庄さんとわたしの見解は八割方同じなのですが、藤原京(先行条坊)造営を孝徳期頃と古く見る新庄さんと(注②)、天武期頃とするわたしとで論議が進むことと思います。

 わたしは『日本書紀』などの文献解釈の前に、重要な考古学的史料事実を明らかにし、その有力エビデンスの存在を論者間で合意することから始めて、それらエビデンスの全てと矛盾なく整合する解釈(論証)とはどのようなものか、という順序で対話を進めたいと考えています。この方法は同セミナーの趣旨(evidence-based)にふさわしいと思います。

(注)
①正式名称は「古田武彦記念古代史セミナー2023」、公益財団法人大学セミナーハウスの主催。実行委員会に「古田史学の会」(冨川ケイ子氏)も参画している。
②新庄宗昭『実在した倭京 ―藤原京先行条坊の研究―』ミネルヴァ書房、2021年。

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