第3395話 2024/12/17

蝦夷国と倭国(九州王朝)は温泉大国

「洛中洛外日」3389~3394話(2024/12/09~15)〝『旧唐書』倭国伝・日本国伝の「蝦夷国」 (1)~(3)〟を書き終えて、改めて蝦夷国についての関心を深めました。そうした意識でWEBの記事を読んでいると、面白いことに気づきました。それは、蝦夷国と倭国(九州王朝)が共に温泉大国だということです。それは次の記事でした。

【以下、部分転載】
日本は2800を超える温泉地を有する温泉大国です。それでは、日本で一番「温泉の湧出量」が多い都道府県はどこかご存知でしょうか。今回、アンケートで尋ねたところ、回答者全体の約6割が正解しました。
LIMO編集部が全国の10歳代〜60歳代の男女100名を対象に、「北海道」「青森県」「大分県」「鹿児島県」の4択のうち、「日本で一番『温泉の湧出量』が多い都道府県はどこでしょうか」というアンケートを取ったところ、全体の62%が大分県と回答。次に多かったのが同率16%の北海道と鹿児島県。そして6%の青森県という順番になりました。

湧出量とは、1分間に採取できる湯量のこと。自然に湧き出る量だけでなく、掘削した量やポンプなどで汲み上げた量のすべてを合計した値です。

ちなみに各県にある温泉地の数は、多い順で以下の通りです(環境省「令和4年度温泉利用状況」)。
・北海道 230 ・青森県 125 ・鹿児島県 87 ・大分県 63

環境省が公表している「令和4年度温泉利用状況」によると、日本で一番「温泉の湧出量」が多い都道府県は、大分県です。気になる湧出量は、29万5708リットル/分となっています。別府温泉、湯布院温泉などで知られる大分県は、県内に18ある市町村のうち16市町村で温泉が湧出しており、源泉総数も5090と全国1位。とくに別府温泉がある別府市や湯布院温泉が有名な由布市などで源泉数が多くなっています。

大分県に次いで二番目に湧出量が多いのは、北海道の19万6262リットル/分。北海道は温泉地数では全国47都道府県で1位。三番目は指宿温泉や霧島温泉が有名な鹿児島県の17万5145リットル/分、四番目は青森県の13万8559リットル/分でした。ちなみに、全国には2879もの温泉地があり、全国の湧出量の合計は251万5272リットル/分。日本では1日で36億リットル以上もの温泉が湧いているのです。

《都道府県別温泉の湧出量の順位》
一位 大分県  29万5708リットル/分
二位 北海道  19万6262リットル/分
三位 鹿児島県 17万5145リットル/分
四位 青森県  13万8559リットル/分
五位 熊本県  12万9962リットル/分
六位 岩手県  11万2081リットル/分
七位 静岡県  11万 495リットル/分
八位 長野県  10万4716リットル/分
九位 秋田県   8万8416リットル/分
十位 福島県   7万7379リットル/分
【転載おわり】

この記事を読み、温泉湧出量上位県の大半を蝦夷国と倭国(九州王朝)が占めていることに気づきました(北海道を蝦夷国に入れることについては未証)。面白いことに、九州王朝から大和朝廷への王朝交代後(八世紀)において、大和朝廷の支配侵攻に最も烈しく抵抗したのが、東北の蝦夷国と南の隼人(薩摩・他)です。薩摩には大宮姫伝説(注)で有名な指宿温泉があります。これらは偶然かもしれませんが、「温泉」という切り口で古代史研究するのも面白そうです。

そういえば、和田家文書調査のために津軽に行ったとき、古田先生から「津軽ではどこを掘ってもお湯(温泉)が出る」と教えて頂いたことを思い出しました。わたしが三十代の頃のことです。

(注)大宮姫を九州王朝の皇女とする説をわたしや正木裕さんが発表している。
古賀達也「最後の九州王朝 ―鹿児島県『大宮姫伝説』の分析―」『市民の古代』10集、新泉社、1988年。
正木 裕「よみがえる古伝承 大宮姫と倭姫王・薩摩比売(その1)」『古田史学会報』145号、2018年。
同「よみがえる古伝承 大宮姫と倭姫王・薩摩比売(その2)」『古田史学会報』146号、2018年。
「よみがえる古伝承 大宮姫と倭姫王・薩摩比売(その3)」『古田史学会報』147号、2018年。
同「大宮姫と倭姫王・薩末比売」『倭国古伝 姫と英雄と神々の古代史』(『古代に真実を求めて』22集)古田史学の会編、2019年、明石書店。

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