美濃晋平『笛の文化史(古代・中世) エッセイ・論考集』を読む
先日、『笛の文化史(古代・中世) エッセイ・論考集』(勝美印刷、2021年)という大著が、著者の美濃晋平さんから贈られてきました。縄文の石笛や弥生の土笛から始まる笛の歴史を中心としたエッセイと論考からなる一冊です。ちなみに、著者は東北大学で学ばれたケミスト(医薬開発)で、古田史学の会・会員とのことです。
冒頭に紹介された、横笛の名手だったお父上や少年時代の思い出の数々が胸を打ちました。後半には「青葉の笛」に関する古代・中世の史料や伝承が紹介されており、笛に不思議な歴史があることを知りました。中でも九州王朝との関係をうかがわせる薩摩の伝承として、わたしの初期の論文「最後の九州王朝 ―鹿児島県「大宮姫伝説」の分析―」(『市民の古代』第10集。新泉社、1988年)が引用されており、感慨深く読みました。
著者にお礼の電話をかけたところ、同じケミストということもあり、会話が弾み、京都でお会いすることを約束しました。改めて笛の歴史についてお聞きしたいと、ご来訪を楽しみにしています。