古代に真実を求めて一覧

第640話 2014/01/01

古田先生を迎えて新年賀詞交換会のご案内済み

 新年あけましておめでとうございます。
 わたしは久留米の実家で新年を迎えています。「古田史学の会」では今年も様々な事業を計画しています。新年最初の行事として、1月11日(土)には恒例の新年賀詞交換会を大阪市のI-siteなんば(大阪府立大学なんばキャンパス)にて、古田先生をお迎えして開催します。皆様のご参加をお待ちしています。

第643話 2014/01/12 賀詞交換会の御報告

 当日の午前中には「古田史学の会」全国世話人会を開催します。1月18日(土)には新年最初の関西例会を開催します。今年も素晴らしい研究発表が続出することと思います。
 『古代に真実を求めて』17集の編集会議も開催しますが、17集からは大幅なリニューアルを検討しています。そして米寿を迎えられた古田先生のお祝いの特集も予定しています。
 『古代に真実を求めて』とは別に「古田史学の会」で編集を進めていた、古田史学による遺跡ガイド(九州編)も年内にもミネルヴァ書房より発行されるはこびです。
 3月には筑紫舞の宮地嶽神社奉納30周年を記念して、福岡市で古田先生の講演会が開催されるとのこと。詳細が決定されましたら、ご案内します。
 「洛中洛外日記」も皆様の期待に応えられるよう、内容を広く深く充実させたいと願っています。本年も皆様のアクセスとご教導のほど、よろしくお願い申しあげます。


第628話 2013/12/03

幻の古谷論文

 『古代に真実を求めて』16集(明石書店刊、「古田史学の会」編)をようやく発行することができました。会員の皆様や執筆者には大変ご迷惑をおかけし、お詫び申しあげます。16集は「古田史学の会」2012年度賛助会員へは特典として送付します。2013年度賛助会員へは次号17集を進呈予定です。
 16集の掲載稿は下記の通りですが、奇しくも日・中の二つの金石文に関する「特集」となりました。それは「百済祢軍墓誌」と「大歳庚寅」象嵌鉄刀(福岡 市元岡古墳出土)です。いずれも九州王朝説に基づく論文で、他に見られない、「古田史学の会」らしい「特集」です。
 ところが採用が決まっていたにもかかわらず、掲載できなかった「幻の論文」がありました。17集から水野さんに代わって編集責任者となった古谷弘美さん (古田史学の会・全国世話人、枚方市)の論稿で、『古事記』真福寺本の字体を調査研究されたものです。
 従来は「天沼矛(あまのぬぼこ)」とされてきた文字が、真福寺本では「天沼弟(あまのぬおと)」であると古田先生が指摘され、「ぬ」は銅鐸、「おと」は 音を意味し、「ぬおと」とは「銅鐸の音」のことであるとする仮説を発表されました。ところが、古谷さんは『古事記』真福寺本では「天沼弟(あまのぬおと)」でもなく、「天治弟(あまのちおと)」であることを写真版の調査により明らかにされたのです。
 従来の書誌学研究では『古事記』真福寺本は誤字が多いとされ、「天沼弟」の「弟」は「矛」の誤字とされてきました。古谷論文により、「沼」ではなく 「治」であることが明らかになったことにより、従来説・古田説を含めて新たな研究の進展が期待されるだけに、掲載できなかったことは残念です。ちなみに、 その理由は『古事記』真福寺本の写真転載料が超高額のため、「古田史学の会」や出版社で負担できなかったことによります。学問研究のための転載は安価にしていただきたいものです。このまま埋もれさせるには惜しい論文ですので、何とか工夫して掲載したいと願っています。

『古代に真実を求めて』16集の目次

○巻頭言 会員論集・第十六集発刊にあたって  水野孝夫

○1 特別掲載
 最近の話題から  古田武彦
 真実の学問とは — 邪馬壱国と九州王朝論  古田武彦
 「和田家文書」の安日彦、長髄彦 — 秋田孝季は何故叙述を間違えたか  安彦克己

○2 研究論文
 続・越智国にあった「紫宸殿」地名の考察  合田洋一
 福岡市元岡古墳出土太刀の銘文について  正木裕
 「大歳庚寅」象嵌鉄刀銘の考察  古賀達也
 「百済祢軍墓誌」について — 「劉徳高」らの来倭との関連において  阿部周一
 百済祢軍墓誌の考察  古賀達也
 百済祢軍墓誌についての解説ないし体験  水野孝夫
 筑紫なる「伊勢」と「山邊乃五十師乃原」  正木裕
 「国県制」と「六十六国分国」 — 「常陸風土記」に現れた「行政制度」の変遷との関連において  阿部周一
 「阿麻来服(「新羅本紀」記事)から解く「日本国」誕生  西井健一郎

○3 付録--会則/原稿募集要項/他
 古田史学の会・会則
 「古田史学の会」全国世話人・地域の会 名簿
 第十七集投稿募集要項/古田史学の会 会員募集
 編集後記


第568話 2013/06/29

「i-siteなんば」で古田武彦トークセッション済み

 本日、大阪府立大学なんばキャンパス「i-siteなんば」で 古田先生のトークセッションを開催しました。ライブラリーの古田武彦著作コーナーを見ていただいた後、別室で著作にかかわる思い出などを二時間にわたり、 お話ししていただきました。メールやホームページだけでの案内でしたが、遠くは神奈川県や三重県から来られた方もありました。終了後も近くのレストランで 1時間以上にわたり質問に答えていただきました。
 古田先生の送迎で、竹村順弘さん(古田史学の会・全国世話人)の自家用車で向日市のご自宅から会場まで往復したのですが、車中でもお話を聞かせていただき、良い機会を得ることができました。
 また、「i-siteなんば」の古田武彦コーナーの蔵書リストが正木裕さんにより作成されましたので、当ホームページでも紹介するはこびです。同コーナーが古田ファンに末永くご利用いただけることを期待しています。


第565話 2013/06/21

第565話 2013/06/21

「i-siteなんば」に古田先生をご案内します済み

 6月16日に「i-siteなんば」で「古田史学の会」会員総会を開催しました。総会に先立って、竹村順弘さんと正木裕さんによる記念講演が行わ れました。両氏ともプロジェクターでスクリーンに映し出された画像を駆使した、わかりやくインパクトのある講演でした。古代史の講演もIT機器を使用する 時代となったものです。講演テーマは次の通りでした。

○竹村順弘さん 古田武彦著作集で綴る史蹟百選・九州編
○正木 裕さん 周王朝から邪馬壱国、そして現代へ・・倭人伝の官職名と青銅器・・

 午前中は古田史学の会・全国世話人会を開催しました。北海道からは今井俊圀さん、四国からは合田洋一さんに遠路はるぱるお越しいただきました。 「古田史学の会・東海」は当日同会の総会が重なったため、今回は残念ながら欠席されました。昼食は「i-siteなんば」3階ライブラリーにある「古田武 彦書籍コーナー」の前でとりました。このコーナーには古田先生の著書がほとんど集蔵されており、今後の古田史学研究の拠点として有意義に活用されることで しょう。
 正木裕さんの発案で、古田先生を「i-siteなんば」にお連れして、「古田武彦書籍コーナー」をご案内することとなりました。日時は6月29日(土) の午後で、2時頃からは古田先生を囲んで、著書の思い出などを語っていただけることになりました。ご都合のつかれる方は、是非ご参加ください。


第486話 2012/10/23

古田先生と森嶋通夫さん

 未明から降り出した強い雨の中、新幹線で東京にむかっています。JR東海エクスプレスカードのポイントを利用して、グリーン車でくつろいでいます。出張の多いビジネスパーソンにはありがたいサービスです。
 今日は東京日本橋のN商社で今年度下期のビジネスの打ち合わせと景気動向について情報交換をした後、今晩は山形市で宿泊予定です。ちなみに、東京の日本橋は「にほんばし」と言い、大阪の日本橋は「にっぽんばし」と言います。なぜ読み方が異なるのか理由は知りませんが、このことに最近気づきました。

 一昨日の日曜日に京都市下京区の旧・成徳中学校校舎で古田先生の講演会があり聴講しました。主催者は「文化政策・まちづくり大学校」(代表:池上惇・京都大学名誉教授)という団体で、旧・成徳中学校校舎を拠点に様々な学習会活動を主催されています。
 今回の古田講演は世界的に高名な経済学者の森嶋通夫さんの奥様(ロンドン在住で一時帰国されています)をお招きして、「森嶋学と日本古代史」というテーマで、古田先生が森嶋通夫さんとの出会いや最新の発見について講演されました。古田史学の会からは水野代表をはじめ木村賢司さん・大下隆司さん・正木裕さん・古賀らが参加しました。古田先生の奥様も参加されました。
 講演で話された古田先生と森嶋さんの出会いのエピソードについては、正木さんの提案により会報に掲載する予定です。
 森嶋さんは何度もノーベル経済学賞候補に名前が上った経済学者で、若くして文化勲章も受賞された方です(53歳のとき)。2004年に亡くなられました が、古田先生の熱心な支持者で、邪馬壱国説や九州王朝説についてもよくご存じでした。1998年11月には古田先生と対談をされ、その様子が『新・古代学』第4集(新泉社刊、1999年)に掲載されています(対談「虹の架け橋 ロンドンと京都の対話」)。
 理系(有機合成化学)出身のわたしには経済学はさっぱりわからない分野ですが、森嶋さんが古田先生同様に学問や論証をとても大切にされる本物の学者であ ることは、氏の著書(『なぜ日本は没落するか』『血にコクリコの花咲けば–ある人生の記録』『智にはたらけば角が立つ–ある人生の記録』他)を読めばよくわかります。また、文化勲章受章にともなってもらえる「年金」は全額ロンドン大学の研究所に寄付されているそうです(森嶋さんはロンドン大学名誉教授でした)。日本では本物の学者は、経済学であれ古代史であれなかなか受け入れられないようですが、世界の知性はしっかりと評価しているのではないでしょう か。
 日頃聞くこともできないような世界の経済学者のエピソードなども森嶋夫人からお聞きすることができ、とても思いで深い京都の一夕でした。


第400話 2012/04/02

『古代に真実を求めて』15集発刊

 「古田史学の会」の会員論集『古代に真実を求めて』15集が明石書店より発刊されました(2200 円+税)。2011年度賛助会員には一冊進呈します(発送作業に時間がかかりますので、しばらくお待ちください)。
 掲載論文は次の通りです。古田先生の講演録・論文が三編収録されており、最新の古田先生の研究動向がよくわかります。

○特別掲載
三国志全体序文の発見 –「古田史学の会」新年賀詞交換会  古田武彦
九州王朝新発見の現在 –久留米大学公開講座 古田講演  古田武彦
九州王朝終末期の史料批判 –白鳳年号をめぐって  古田武彦

○研究論文
東北水稲稲作の北方ルート伝播説の強化 佐々木広堂
九州王朝鎮魂の寺 –法隆寺天平八年二月二二日法会の真実  古賀達也
不破道を塞げ 五 –古人は白村江の勇将の主君、吉野山・瀬田・山前は妙見を祀る 秀島哲雄
九州年号の別系列(法興・聖徳・始哭)について 正木 裕
「筑紫なる飛鳥宮」を探る 正木 裕
「帯方郡」の所在地 –倭人伝の記述する「帯方」の探求 野田利郎
長屋王のタタリ 水野孝夫

○付録ーー会則/原稿募集要項/他
古田史学の会・会則
「古田史学の会」全国世話人・地域の会 名簿
第十六集投稿募集要項/古田史学の会 会員募集
編集後記


第317話 2011/05/03

『集韻』

今日は久しぶりに岡崎にある京都府立図書館に自転車で行って来ました。拙宅から10分ぐらいのところですから、大変便利です。ただ残念なことに黄砂が多く て、東山が霞んでしまい、本来なら美しいはずの新緑の景色が見られませんでした。余談ですが、もし今回のような原発事故が中国で発生したら、放射能汚染した黄砂に日本列島が包まれるのかと思い、ちょっとぞっとしました。近隣諸国が福島原発事故を脅威に感じているのも、今日の黄砂を見て、なるほどと思いまし た。
府立図書館に行った目的は二つ。一つは『古代に真実を求めて』14集を寄贈すること。もう一つは、中国語の音韻書『集韻』を調査することでした。現在、 倭人伝の固有名詞(国名・人名)の研究のため、古代中国語音韻の勉強をしていますが、その必要性から『集韻』を調べに行ったのです。幸い、府立図書館には 『集韻』の表音表記(「反切」と呼ばれる)のみを抜粋整理した『集韻切韻譜』(佐々木猛編)がありましたので、短時間で調べることができました。
わが国へは様々な文物が中国から渡来してきましたが、その中でも特筆して感謝すべきものが「漢字」だったのではないかと思っています。日本の文化はこの漢字を受け入れ、独自の発展進化(仮名)も行い、新たな日本文化を築き上げてきました。そうした意味からも、イデオロギーや国家間の利害とは別に真実の学 問交流(多元史観による)を行いたいものです。

 


第312話 2011/04/03

『古代に真実を求めて』

14集発刊

古田史学の会の論集『古代に真実を求めて』第14集が明石書店より発刊されました。古田史学の会の2010年度賛助会員には一冊発送いた します。一般書店でもお取り寄せ、お求めできます。定価2400円+税です(255頁)。14集には古田先生の講演録2編の他、禅譲・放伐論争シンポジウ ムと会員による7論文が収録されています。
14集の特徴は、古田先生の講演録2編を収録したことにより、著作執筆のため講演を減らされている古田先生の最新の研究成果 に触れることができることと、 関西例会で最もホットなテーマの一つである、九州王朝から大和朝廷への権力交代が禅譲だったのか放伐だったのかというシンポジウムの内容を収録したことで す。これにより、関西例会での研究内容やその雰囲気が読者に伝わることと思います。
研究論文では、愛媛県西条市の今井久さんが発見された「紫宸殿」地名に関する報告2編(今井稿、合田稿)が、多元史観に相応しいものといえるでしょう。正木さんからは近年の圧倒的な研究成果の一端が報告され、貴重です。
是非、お買い求め下さい。同時に、15集に向けてご寄稿もお願いいたします。

『古代に真実を求めて』第14集目次
○巻頭言   水野孝夫
○特別掲載  
   『古事記』と『魏志倭人伝』の史料批判     古田武彦講演録
    神籠石の史料批判−古代山城論     古田武彦講演録
    禅譲・放伐論争シンポジウム         司会 不二井伸平
                          パネリスト 西村秀己
                                  正木 裕
                                水野孝夫
                                古賀達也
○研究論文
    北部九州地方の水稲稲作と遠賀川式土器 佐々木広堂
    ーー水稲稲作はロシア沿岸州から伝わった
   越智国に紫宸(震)殿が存在した           今井 久
  越智国にあった「紫宸殿」地名の考察      合田洋一
  橘諸兄考 ーー九州王朝臣下たちの行方 西村秀己
  不破道を塞げ 四                       秀島哲雄
   ーー高良山神籠石の美濃師三千人、基肄城への不破道を塞ぐ
   移された「大化の改新」                   正木 裕
  「笠沙」は志摩郡「今宿」である              野田利郎
   ーー天孫降臨説話の解明

 

2011.4.25

『古代に真実を求めて』第十四集・正誤表


第296話 2010/12/11

2011年 新年賀詞交換会を開催します

この度発行しました『古田史学会報』101号でもご案内を同封しましたが、来年1月8日に恒例の古田史学の会新年賀詞交換会を大阪で開催します。

日時 2011年1月8日(土) 午後1時30分〜4時30分
会場 大阪市立総合生涯学習センター 大阪駅前第2ビル5階第1研修室
主催 古田史学の会
参加費 1000円
※終了後に懇親会(有料)もあります。

地域の会や遠隔地からご参加の会員の御挨拶などを受けた後、古田先生にもご出席いただきま すので、最新の研究などについてお聞かせいただける予定です。皆さまのご参加をお待ちしております。『古田史学会報』101号の内容は次の通りです。 100号に続いて古田先生からご寄稿いただけました。

『古田史学会報』101号の内容
○九州王朝終末期の史料批判ーー白鳳年号をめぐって 古田武彦
○「漢代の音韻」と「日本漢音」
ーー内倉武久氏「漢音と呉音」の誤謬と誤断  京都市 古賀達也
○「東国国司詔」の真実  川西市 正木 裕
○「磐井の乱」を考える
ーー『日本書紀』記事と『筑後国風土記』の新解釈 姫路市 野田利郎
○星の子II **古田武彦著『古代は輝いていた』より** 深津栄美
○伊倉 十四 ーー天子宮は誰を祀るか 武雄市 古川清久
○史跡めぐりハイキング 古田史学の会・関西
○古田史学の会  関西例会のご案内
○新年賀詞交換会のご案内


第255話 2010/05/01

『古代に真実を求めて』

   第13集発刊

 古田史学の会の論集『古代に真実を求めて』第13集が明石書店より発刊されました。古田史学の会の2009年度賛助会員には会則に従って発送しました。一般書店でもお取り寄せ、お求めできます。定価2400円+税です(257頁)。
 13集には古田先生の講演録1編(日本の未来−日本古代論-、2009年講演)の他、会員による9論文が収録されており、古田史学・多元史観による最新研究成果が報告されています。
 中でも、伊東義彰さんの「太宰府考」と拙論「太宰府条坊と宮域の考察」は九州王朝の首都太宰府研究に関する最新の考古学的知見に基づいたもので、是非、
ご一読いただければと思います。正木裕さんの「『日本書紀』の「三四年遡上」と難波遷都」も氏の近年の研究成果がまとめられており、示唆的です。四国松山
の合田洋一さんからは2論文(「越智国の実像」考察の新展開、娜大津の長津宮考)が寄せられました。いずれも現地調査に基づかれた力作です。その他の論文
も貴重な視点や発見が含まれており、読み応えのある一冊となりました。

『古代に真実を求めて』第13集目次
○巻頭言  水野孝夫
○特別掲載 日本の未来ーー日本古代論 古田武彦講演録
○研究論文
 北部九州遠賀川系土器はロシア沿海州から伝わった  佐々木広堂
 『日本書紀』の「二国併記」と漢の里単位問題  草野善彦
 太宰府条坊と宮域の考察  古賀達也
 太宰府考  伊東義彰
不破道を塞げ 三 ーー天子宮が祀るのは、瀬田観音にいた多利思北孤  秀島哲雄
「越智国の実像」考察の新展開 ーー「温湯碑」建立の地と「にぎたつ」  合田洋一
 『日本書紀』の「三四年遡上」と難波遷都  正木 裕
  娜大津の長津宮考 ーー斉明紀・天智紀の長津宮は宇摩国津根・長津の村山神社だった  合田洋一
 淡路島考 ーー国生み神話の「淡路洲」は瀬戸内海の淡路島ではない  野田利郎
○付録
 古田史学の会・会則
 「古田史学の会」全国世話人・地域の会 名簿
 第14集投稿募集要項/古田史学の会 会員募集
 編集後記


第209話 2009/04/07

『古代に真実を求めて』12集発行
 古田史学の会編『古代に真実を求めて』12集が明石書店より刊行されました。古田史学の会2008年度賛助会員には1冊進呈します。近日中にもお手元に届きます。

 今号も古田先生の講演録・論文を初め、会員による研究論文が満載です。ご期待下さい。
 
◎講演録
 九州王朝論の独創と孤立について/古田武彦
◎研究論文
 生涯最後の実験/古田武彦
 真実の「アイヌ人・アイヌ語」/佐々木広堂
 よみがえる倭京/古賀達也
 前期難波宮は九州王朝の副都/古賀達也
 「白村江」後の倭の防衛戦略/田中敬一
 不破道を塞げ 二/秀島哲雄
 太宰府政庁跡遺構の概略/伊東義彰
 「持統紀」はなかった/飯田満麿
 藤原宮と「大化の改新」/正木裕
 「奴」をどう読むか/棟上寅七
 「越智系図」における越智益躬の信憑性/八束武夫
 沖ノ島/伊東義彰


第174話 2008/05/03

古写本「九州年号」の証言

 古田先生が『失われた九州王朝』で紹介された九州年号は、その後の九州王朝研究の重要な一テーマとなりましたが、その「九州年号」という名称については、江戸時代の学者鶴峯戊申の『襲国偽僭考』に紹介された「古写本九州年号」に拠られました。その後の九州年号研究において、この「古写本九州年号」とい うものは鶴峯による創作であり、本当は無かったのではないかという論者(丸山晋司さん)もでるほど、他の文献には見られないものでした。

   ところが、本会会員の冨川ケイ子さんが、明治期の研究書に「九州年号」という史料が引用されていることを発見され、「九州年号・九州王朝説−明治25年−」という論文で発表されました(『古代に真実を求めて』8集所収)。その研究書とは今泉定介「昔九州は独立国で年号あり」で、明治25年発行の『日本史学新説』広池千九郎著に収録されており、国会図書館のホームページ内「近代デジタルライブラリー」で閲覧できます。
 こうして、「九州年号」という古写本が江戸期から明治に存在していたことは決定的となりました。ところが、実はこの「九州年号」という名称そのものが九州王朝説を証明する論理性を有しているのです。すなわち、九州地方に近畿天皇家に先だって年号を公布してきた王朝が存在していたという意味を、この「九州年号」という名称は前提としているからです。古田先生による九州王朝説発表よりもはるか昔に「九州年号」という古写本が存在していたことは、偶然の一致で はなく、九州王朝説は真実であるという必然の帰結であり、そうした論理性を示しています。
 日本古代史学界の学者や、九州王朝説反対派はこの史料事実と論理性に対して、全く反論できていません。この30年来、じっと無視・沈黙しているのです。 裸の王様(日本古代史学界・九州王朝説反対派)は、さぞ辛いことでしょう。30年来、「王様は裸だ!」と言い続けられているのですから。本会のホームページの存在も辛いことでしょう。歴史を研究しようとする青年達は、インターネットの時代ですから、必ず本会のホームページを目にするに違いありません。その 時、真実の歴史(古田説)を知ってしまった若者を、学校の大和朝廷一元史観教育で洗脳できるのも、いつまででしょうか。
   なお、付言しますと宇佐八幡宮文書に『八幡宇佐宮繋三』という史料があります。同書は、元和三年(一六一七)五月、神祇卜部兼従が編纂した宇佐宮の縁起書ですが、その中に、次のような興味深い記事があります。

 「文武天皇元年壬辰大菩薩震旦より帰り、宇佐の地主北辰と彦山権現、當時〔筑紫の教到四年にして第廿八代安閑天皇元年なり、〕天竺摩訶陀國より、持来り給ふ如意珠を乞ひ、衆生を済度せんと計り給ふ、」
   ※〔 〕内は細注。

 細注に記された「筑紫の教到四年にして第廿八代安閑天皇元年なり」という文は、いわゆる九州年号の「教到」が天皇家とは別の筑紫地方の年号、あるいは筑紫の権力者が公布した年号であるという、編者の認識を示しています。これも古写本「九州年号」と同じ論理性を有しており、このように複数の史料が九州王 朝・九州年号説を支持しているのですが、この事に対しても「裸の王様」たちは沈黙しています。哀れというほかありません。