空海と「海賦」(1)
今朝の東寺は「弘法さん」で賑わっていました。毎月の21日は空海の月命日にあたり、毎月のこの日は「弘法さん」で出店や骨董市が並び、大勢の人が東寺に集まりますが、とりわけ空海の命日の3月21日は「本弘法」と呼ばれ、特別な「弘法さん」です。
わたしは不勉強から、空海の名前の意味を「空(sky)」と「海(sea)」だと永く漠然と思いこんでいたのですが、よくよく考えると仏教用語としての「空」に「そら(sky)」の意味はありません。般若心経などに見える「色即是空」で有名なように、「色」は「物質」、「空」は「非物質」のような概念ですから、空海の名前には「空」なる「海(sea)」ということになるのでしょうか。空海の名前の由来について、ご存じの方がおられればご教示ください。
わたしの全くの推測ですが、空海は自らの名前を強く意識しており、『文選』にある「海賦」(海の物語)を読んでいたと思われます。というのも、空海の著作中に「海賦」に類似した記載があるのです。(つづく)