古田武彦著『鏡が映す真実の古代』発刊
今日、ミネルヴァ書房から古田先生の『鏡が映す真実の古代 三角縁神獣鏡をめぐって』が送られてきました。これまでの古田先生の著作等から三角縁神獣鏡に関する論稿を一冊にまとめたものです。平松健さん(東京古田会)による編集で、とてもよくまとめられています。平松さんご自身も三角縁神獣鏡についての造詣が深く、その実力がいかんなく発揮されています。
冒頭の「はしがき」は古田先生による書き下ろしで、2015年2月17日の日付がありますので、亡くなられる半年前に書かれたものです。「序章」も新たに書き下ろされており、三角縁神獣鏡に関する最新の古田先生の見解や研究テーマに触れられています。特に三角縁神獣鏡の銘文を古代日本思想史の一次史料として捉え、古代人の思想に迫るという問題を提起されています。このテーマはわたしたち古田学派の日本思想史研究者に残された課題です。
そして、「序章」末尾の次の一文に目が止まりました。
わたしの年来の主張は「三角縁神獣鏡そのものは、やがて中国本土から出土する。」という立場である。
この「序章」執筆の日付は2014年8月7日とありますから、最近話題となった中国洛陽から発見された三角縁神獣のことを見事に予見(学問的推論)されていたのです。奇しくも9月3日には同鏡を中国で実見された西川寿勝さんの講演(大阪府立狭山池博物館にて。14〜16:30)をお聞きするのですが、絶妙のタイミングでの発刊と言わざるを得ません。冥界の古田先生からのプレゼントともいうべき一冊です。