熊本県に多い古墳時代の「馬」出土
「洛中洛外日記」1194話の「馬と塩」で、馬の飼育には大量の塩が必要であることを述べましたが、昨日、訪問した歴史公園鞠智城・温故創生館の木村龍生さんに馬と塩についてお聞きしたところ、天草の製塩土器が県内各地から出土することと、馬を飼育していたと思われる古代の牧が阿蘇外輪山付近などにあったとのことでした。
更に、案内していただいた高木正文さん(現地の考古学者、菊水史談会)のお話では、古墳時代の「馬」の出土は熊本県と長野県が多いとのことでした。熊本県が多いのは、『隋書』の記述からも納得できますが、なぜ長野県に多いのか不思議です。しかも、長野には海がなく、塩の入手にも困難と思われるだけに、ますます不思議に思いました。古墳の周濠などから馬の骨が出土しており、埋葬の痕跡を示しているとのことでした。
『隋書』「イ妥国伝」に見える200騎の騎馬隊や、江田船山古墳出土鉄剣の馬の象嵌など、古代の肥後が馬の産地であることは、九州王朝の実像を考える上で重要なことのように思いました。