現代一覧

第639話 2013/12/29

「学問は実証よりも論証を重んじる」(9)

 年の瀬を迎え、京都も本格的な冬となりました。今年最後の「洛中洛外日記」となりますが、村岡先生の言葉「学問は実証よりも論証を重んじる」について最後にまとめてみたいと思います。
 わたしの九州年号研究の体験などを紹介しながら、学問における「実証」と「論証」の関係性について縷々説明してきましたが、うまく説明できているのだろうか、正確に伝わっているのだろうかと不安も感じています。古田史学やフィロロギーの本質に関わる大切なテーマだけに心配しています。何よりも、わたし自 身の理解がまだまだ浅いのではないかという不安もあり、西村秀己さん(古田史学の会・全国世話人)や不二井伸平さん(古田史学の会・総務)にも相談してきたところです。
 繰り返しになりますが、「論証」を重んじるということは、決して「実証」を軽視してもよいという意味ではありません。歴史学ですから史料根拠の提示は不 可欠ですし、より確かな「実証」提示のために「史料批判」が重要となります。また、「論証」するということは、好き勝手な思いつきや解釈を「仮説」として提示することとも違います。新たな思いつきを「仮説」として提示するための学問的手続きとして、安定して成立している「先行説」や、考古学などの関連諸学 の「成果」との整合性を検証しなければなりません。結論が合理的で論理的でなければなりません。学問は「理屈」が通っていなければなりません。もちろん、 先行説や関連諸学の成果をも否定し、それらを乗り越えるような画期的な仮説もあり得ますが、その場合は、そのことを他者を納得させるような必要にして十分な説明や証明が要求されます。
 おそらく、「学問は実証よりも論証を重んじる」という言葉の意味をより深く理解するために、これからも研究を続け、研鑽を深め続ける人生だと思います。多くの皆さんと一緒にそうした研究生活を続けられれば幸いです。それでは皆さん、よいお年をお迎えください。新年が古田史学や「古田史学の会」、そして真 実を愛する皆さんにとって良き一年でありますように。


第637話 2013/12/22

平成25年の回顧

 平成25年ももうすぐ終わります。この一年間、古田史学や「古田史学の会」では様々な出来事がありました。個人的な感想となりますが、特に印象深かったことを並べてみます。

1.古田先生の研究自伝『真実に悔いなし』発刊
 ミネルヴァ書房より発刊された同書は古田先生自らにより研究活動やその生い立ちが記されたもので、先生や先生の学問を学ぶ上で、わたしたち古田学派の学徒にとって宝物ともいえる貴重な一冊です。

2.「I-siteなんば」に古田武彦コーナー開設
 大阪府立大学のご協力と正木裕さんのご尽力により、大阪府立大学なんばキャンパス「I-siteなんば」に古田武彦コーナーが開設されました。古田先生や会員のご協力により、古田先生の著作や古代史関連の貴重な書籍を「I-siteなんば」図書館に寄贈しました。「古田史学会報」や『古代に真実を求めて』も全冊並んでおり、古代史や古田史学を学ぶ人々にとって貴重な研究拠点となりました。また、併設された研究ルームや会場を「古田史学の会」としても利用させていただくことにしました。これにより関西例会などの会場確保も便利になりました。近くに飲食街もできましたので、関西例会後の懇親会も便利になり ました。

3.正木裕さんの研究「倭人伝官職名と青銅器」
 本年も会員による優れた研究が数多く発表されましたが、中でも衝撃的だったのが正木裕さんが発表された、倭人伝の官職名と青銅器の関連についての研究でした。倭人伝研究における新たな分野を切り開いた研究として、大変優れていました。

4.「赤渕神社縁起」の九州年号
 森茂夫さん(「古田史学の会」会員、京丹後市在住)から、『赤渕神社縁起』をはじめとする「赤渕神社文書」の釈文(当地の研究者により活字化されたも の)の写真ファイルが送られてきました。それには九州年号の「常色」「朱雀」などが見え、しかも天長五年(828)の成立という平安時代にまで遡る九州年号史料でした。今後これら赤渕神社史料(兵庫県朝来市)により九州年号・九州王朝の研究が加速されることでしょう。本当に素晴らしい史料が残っていたもの です。

5.『伊予三島縁起』の九州年号「大長」
 齊藤政利さん(「古田史学の会」会員、多摩市)が内閣文庫に赴き写真撮影していただいた『伊予三島縁起』(番号 和34769)に「大長九年壬子」とあ り、従来は「天長」と記されていた『伊予三島縁起』とは異なり、より原型を留めていることがわかりました。最後の九州年号「大長」の確かな史料根拠が発見されたことにより、滅亡期の九州王朝研究が進むことが期待されます。

6.会員・知人の訃報
 大変悲しいことに、本年は数十年来の古田説支持者だった難波収さん(オランダ・ユトレヒト市、天文学者)、鶴丈治さん(「古田史学の会・北海道」前会長)が亡くなられました。また、古田先生の松本深志高校時代の教え子だった中嶋嶺雄さん(国際教養大学学長)も亡くなられました。中嶋さんにはわたしの二倍年暦の研究論文の英訳にお力添えいただきました。心よりご冥福をお祈りいたします。

 以上、思いつくままに記しました。この他にも福岡県古賀市出土馬具など考古学的発見も印象的なニュースでした。古田史学・九州王朝説の正しさが事実でもって明らかになりつつありますが、この国の学界やマスコミは果たしていつまで「無視」が続けられるでしょうか。わたしたち古田学派の一層の努力と研究があらたな古代史の新時代を切り開くことでしょう。新年が素晴らしい一年であることを願っています。


第623話 2013/11/23

「学問は実証よりも論証を重んじる」(2)

 村岡典嗣(むらおかつねつぐ)先生の言葉「学問は実証よりも論証を重んじる」の意味をわかりやすく伝えるために、どのような説明をすればよいのかを考えてきたのですが、関西例会では「足利事件」の冤罪を例に出して次のように説明しました。
 女児が誘拐殺害された「足利事件」での冤罪発生の要因や構造は複雑なものとされているようですが、「有罪」の決め手とされたのは当時としては最先端技術 だったDNA鑑定(実証)でした。他方、容疑者の供述内容や動機、目撃者証言との不一致などは、犯人と断定するには不自然で論理的ではありませんでした。 しかし、裁判所もDNA鑑定(実証)を重視し、犯人と断定するには不自然と考えざるを得ない論理的判断(論証)を退けて、有罪としました。その結果、 DNAの再鑑定がなされるまで、無実の人が長年月投獄されるという悲劇的冤罪事件が発生しました。有名な冤罪事件でしたから、ご存じの方も少なくないと思 います。
 このとき、警察や裁判所が「実証」よりも「論証」を重視しなければならないという学問の性格を理解していれば、この冤罪事件は発生しなかったでしょう し、真犯人を時効として取り逃がすこともなかったかもしれません。わたしはこの「足利事件」の例を紹介説明し、実証よりも論証が重要であることの一例とし て紹介したのです。もちろん、これは実証を軽視してもよいという意味では全くありませんので、誤解されないようにしてください。
 犯罪捜査も歴史研究も過去におきた事件の真実を明らかにするという点において、似たような性格を有しています。しかし古代史研究においては、当時の関係 者はいませんし、弁護士もつきませんし、古代人自ら反論することもできません。従って、誤った仮説を発表し、古代人を「冤罪」に陥れないという覚悟と慎重 さと、深く考え抜いた論証が必要なのです。(つづく)


第622話 2013/11/19

「学問は実証よりも論証を重んじる」(1)

 今朝は特急サンダーバード5号で福井に向かっています。JR湖西線から見える、朝日で金色に輝く琵琶湖と全山紅葉した比良山系が絶景です。連日のハードなビジネスや出張の合間に、こうした景色に出会え、心が癒されます。本当に日本は美しい国だと思います。子孫にしっかりと残したいものです。

 今月の関西例会で、水野代表から古田先生の八王子セミナーの概要について報告がなされました。ただ、水野さんはセミナーに参加されていませんから、「古田史学の会」会員の肥沼孝治さん(所沢市)のブログに掲載されていた箇条書きの発表項目を紹介されたのですが、その中に「実証よりも論証が重要」という箇所があり、これはどういう意味だろうかと疑問を呈されました。実はこのことは古田史学において大変重要なことで、以前か ら不二井伸平さん(古田史学の会・総務)らと話し合ってきたテーマでもありました。
 この言葉は古田先生の東北大学時代の恩師である村岡典嗣先生の言葉で、「学問は実証よりも論証を重んじる」からきています。わたしは若い頃、古田先生から何度もこの言葉をお聞きしました。いわば、古田史学の神髄であり、フィロロギーという学問の基本的性格を表した重要な言葉だと理解しています。
 ところが、残念ながらこの言葉の意味をわたし自身もなかなか理解できず、それこそ十年以上かけてようやく見えてきたというのが実感でした。古田学派の研究者でも、この言葉の意味を真に理解している人は少ないのではないかと、不二井さんと何度も話し合ってきたのでした。そこで、例会での水野さんの発言を受けて、ちょうど良い機会でもあり、わたしから次のように説明しました。(つづく)


第621話 2013/11/15

原発危機と「東大話法」

 先日、「古田史学の会」の会誌『古代に真実を求めて』を発行していただいている明石書店を訪問し、石井社長にご挨拶してきました。そのおり、同社より刊行された安冨歩著『原発危機と「東大話法」』をいただきました。同書は古田先生からも推薦していただいており、注目していた一冊でした。非倫理的で非学問的な「東大話法」に対して、現役東大教授が批判するという刺激的な内容ですが、 今回読んで、その「東大話法」に対する批判以上に現代日本に対する思想史的考察や物理学(熱力学第二法則)に基づいた現代文明批判は圧巻でした。是非、皆さんにも読んでいただきたい本です。
 さて、本日の関西例会は多種多彩な報告が続き、とても充実した一日となりました。たとえば野田さんからは、『三国志』の「歩」の全用例を抜き出し、それ が「短歩」なのか「長歩」なのかの考察が報告されましたが、時間不足のため質疑応答時間がとれず残念でした。
 出野さんからは中国雲南省のアカ族(倭族)の現地調査報告がプロジェクターを使用してなされ、日本の風習や文物との類似が大変よく理解できました。このように関西例会は近年ますます充実し、とても勉強になります。11月例会の発表テーマは次の通りでした。

〔11月度関西例会の内容〕
1). 「與」の用法(明石市・不二井伸平)
2). 武寧王の手白香皇女(木津川市・竹村順弘)
3). 日本書紀遣隋使記事は12年ずれでよいか?(八尾市・服部静尚)
4). 『三国志』の尺(姫路市・野田利郎)
5). 渡来人について(多摩市・齋藤政利)
6). 『三国志』の歩(姫路市・野田利郎)
7). 天武十年記事の信頼性(川西市・正木裕)
8). すり替えられた九州王朝の南方諸島支配の概要(川西市・正木裕)
9). 「西双版納(シーサンパンナ)」倭人の源流を訪ねて(奈良市・出野正)

○水野代表報告(奈良市・水野孝夫)
 古田先生近況・会務報告・八王子セミナーの概要(肥沼氏ブログより要約)・『古代に真実を求めて』16集、11月末刊予定・静御前の故郷、大和高田ハイ キング「八百屋お七」の墓・永井一郎著『大和路の(俳人)芭蕉』・「新東方史学会」役職人事・その他


第582話 2013/08/17

西井さんの「歴史記事スクラップ」

 「古田史学の会」関西例会では様々な研究発表を聞けたり、質疑応答など本当に刺激的で素晴らしい勉強会です。終了後の懇親会も楽しみですが、わた しが楽しみにしているものがもう一つあります。それは懇親会などを担当していただいている西井健一郎さん(古田史学の会・全国世話人)が毎回配布されてい る古代史や歴史関連の新聞記事を切り抜いて編集されている「歴史記事スクラップ」(A3、4ページ)です。仕事が忙しくて、日頃は新聞の隅々まで読むこと がないわたしにとって、この西井さんが作成されたスクラップ記事のコピーは大変貴重な情報源となっています。こうした史料を毎月多数入手できる関西例会に みなさんも是非お越し下さい。会費は500円です。
 8月例会の発表は次の通りでした。服部さんの「荒神」に関する報告や、正木さんの発表に対する質疑応答時に、竹村順弘さん(古田史学の会・全国世話人、関西例会担当)から指摘された天智天皇の年号「中元」など、驚きの内容でした。
 なお、9月例会は9月22日(日)で、通常の第三土曜日ではありません。ご注意下さい。

〔8月度関西例会の内容〕
1). 張莉論文を読んで(木津川市・竹村順弘)
2). 多利思北弧の国交断絶(木津川市・竹村順弘)
3). 古代天皇の父子継承について(八尾市・服部静尚)
4). 荒振神・荒神・荒についての一考察(八尾市・服部静尚)
5). 薩夜麻の都督・倭国王即位と近江朝の日本国改名(試案)(川西市・正木裕)

○水野代表報告(奈良市・水野孝夫)
 古田先生近況・会務報告・ミネルヴァ書房からの古田書籍続刊・張莉さん論文『「倭」と「倭人」について』・古田先生八王子セミナーの案内・古田先生『研究自伝』記念講演会・浄瑠璃「妹背山婦女庭訓」・『先代旧事本紀大成経』の国生み神話の小豆島・その他


第571話 2013/07/13

桂米團治さんのブログ拝見

 今日、久しぶりに時間ができましたので、ネット検索をしていましたら、落語家の桂米團治さんがブログで、わたしの「天王寺と四天王寺」(「洛中洛外日記」第250話)に記した、寺名は「四天王寺」なのに地名はなぜ「天王寺」なのかという考察を紹介され、「なるほど!と思いました」と賛意を表されていることを知りました(2013.02.23)。
 ご存じのように、桂米團治さんは高名な落語家桂米朝さん(人間国宝)のご子息で、関西落語界のホープと目されている方です。氏の公式サイトによれば、趣味はピアノ演奏などとともに「古代史の研究」とありますから、もしかすると古田説や九州王朝説のこともご存じかもしれませんね。
 わたしたち「古田史学の会」のホームページが社会のいろいろな分野で活躍されている人々からも注目されていることは、大変喜ばしいことです。これからも頑張って、紹介していただけるような「洛中洛外日記」を記していきたいと決意を新たにしました。


第559話 2013/05/19

難波収さんの訃報

 「洛中洛外日記」第129話「難波収さんとの一夕」などでご紹介しました、オランダ・ユトレヒト市在住の会員、難波収さんが5月8日に亡くなられました。謹んでご冥福をお祈りします。
 難波さんはユトレヒト天文台に勤務されていた天文学者で、古くからの古田先生や古田史学の支持者でした。とても残念でなりません。ご遺族から送られてき
た訃報を転載させていただき、本ホームページ掲載されています難波さんの論稿を紹介します。故人を忍んでご一読いただければと思います。

            

(ご遺族からの訃報)

            

 「いやいや、まだいろいろ書きたいことがあるんだ。
                 読みたい本もまだたくさんあるしねぇ・・・」

            

 いつもそう言っていた父・祖父でしたが、
               母国への旅を無事に終えた直後、
               別れを言う間もなく宇宙に旅立っていきました。
               さようなら、お父さん、おじいちゃん

            

  理学博士 難波 収 儀
                    妻・故 富美代

            

1926年5月3日岡山にて誕生
              2013年5月8日オランダ、ユトレヒトにて死去

(難波さんの論稿)
難波収「人間、古田武彦さんとの出会い」
難波収「オランダの支石墓『ヒューネベット』」
難波収「一士官候補生の戦後の体験」


第558話 2013/05/19

古代ギリシアの「従軍慰安婦」

 昨日の関西例会で、わたしは古代ギリシアの「従軍慰安婦」というテーマでクセノポン著『アナバシス』にギリシア人傭兵部隊に娼婦が多数従軍していたという記事があることを紹介しました。
 ソクラテスの弟子であるクセノポンが著した「上り」という意味の『アナバシス』は、紀元前401年にペルシアの敵中に取り残されたギリシア人傭兵1万数 千人の6000キロに及ぶ脱出の記録です。クセノポンの見事な采配によりギリシア人傭兵は故国に帰還できたのですが、その記録中に娼婦のことが記されてい ます。アルメニア山中の渡河作戦の途中に次の記事が突然現れます。

 「占者たちが河(神)に生贄を供えていると、敵は矢を射かけ、石を投じてきたが、まだこちらには届かなかった。生贄が吉 兆を示すと、全軍の将士が戦いの歌を高らかに唱して鬨の声をあげ、それに合わせて女たちもみな叫んだ−−隊中には多数の娼婦がいたのである。」岩波文庫 『アナバシス』(169頁)

 この娼婦たちはギリシア本国から連れてきたのか、遠征の途中に「合流」したのかは不明ですが、将士の勝ち鬨に唱和して叫んでいることから、前者ではないかと推定しています。
 昨今、物議を醸している橋下大阪市長による「慰安婦」発言もあったことから、いわゆる「従軍慰安婦」が紀元前400年頃の記録に現れている例として紹介 しました。この問題は他国への侵略軍・駐留軍が避けがたく持つ「性犯罪」「性問題」が人類史的にも根が深い問題であり、ある意味では橋下市長の発言を契機 に、より深く考える時ではないかと思います。「建前」だけの議論や、単なるバッシングでは沖縄の米兵による性犯罪をはじめ、世界各地の侵略軍・駐留軍により恐らくは引き起こされているであろう各種の問題を解決できないことは明白です。歴史学や思想史学が机上の学問に終わらないためにも、真剣に考えるべきテーマではないでしょうか。
 5月例会の発表は次の通りでした。なお、6月例会は「古田史学の会」会員総会・記念講演会などのため中止となりました。

 

〔5月度関西例会の内容〕
1). シキの考察−−西村説への尾鰭(大阪市・西井健一郎)
2). 古代に忌み名(諱)の習俗はあったのか(八尾市・服部静尚)
3). 歩と尺の話(八尾市・服部静尚)
4). 古田史学会インターネットホームページ運営報告(東大阪市・横田幸男)
5). 古代ギリシアの「従軍慰安婦」(京都市・古賀達也)
6). 和気(京都市・岡下秀男)
7). 「室見川の銘板」の解釈について(川西市・正木裕)
8). 「実地踏査」であることを踏まえた『倭人伝』の距離について(川西市・正木裕)
8). 味経宮のこと(八尾市・服部静尚)
9). 史蹟百選・九州篇(木津川市・竹村順弘)

○水野代表報告(奈良市・水野孝夫)
古田先生近況・会務報告・会誌16集編集遅れ・新東方史学会寄付金会計報告の件・行基について・その他 


第534話 2013/03/09

「古田史学」研究サイト@なんば.opu

 第532話で正木裕さんから紹介されましたように、大阪府立大学なんばキャンパス(I-site なんば)3階ライブラリー内に開設された「古田史学」コーナーに書籍を持ち込みました。本日の「植本祭」には様々なグループが参加し、参加者が持ち寄った本が書棚に並べられました。
   それに先だって今朝、竹村順弘さんの車で古田先生宅に行き、著書や貴重な蔵書を100冊ほど寄贈していただき、「植本祭」に持ち込みました。参加された
会員の皆様にも蔵書を持ち寄っていただき、割り当てられていた書棚が初日で満杯となりました。そのため、さらに書棚の割り当てを増やしていただくようお願
いしています。引き続き、古田史学関連書籍の寄贈を続けたいと思いますので、皆様のご協力をお願い申しあげます。
    「古田史学」コーナーがある3階ライブラリーの正式オープンは4月1日からで、利用者は登録が必要です。2階には会議室等があり、関西例会などにも使用できそうです。近くには地下鉄御堂筋線の大国町駅がありますので、交通の便も良好です。
   本日のグループセッションでは正木さんから「邪馬壱国の人口について」というテーマで発表がありました。竹村さんからは「古田史学史跡ガイド」の試案が報告されました。
   蔵書一覧は後日、ホームページに掲載予定です。「古田史学」コーナーが「古田史学」研究サイトとして、多くの人にご利用いただきたいと願っています。


第533話 2013/03/04

古田武彦著『俾弥呼(ひみか)の真実』

 「編集とはかくあるべきか」。ミネルヴァ書房から出版された古田先生の新著
『俾弥呼の真実』を一読しての感想です。本当に見事な一冊と言うほかありません。同書は「古田史学の会」の友好団体「古田武彦と古代史を研究する会(東京
古田会)」の機関紙「東京古田会NEWS」に連載された古田先生の論稿を分野別に編集されたものです。同会渾身の「作品」ともいうべきものでしょう。
   わたしも「古田史学の会」著作物の編集作業に関わっていますので、編集作業の難しさ、大切さをわかっているつもりですが、『俾弥呼の真実』では見事な
テーマ別分類という編集により、古田先生の思想と学問が系統だって分かりやすく読み続けられるよう工夫されています。それは次の目次を一見しただけでも感
じ取ることができるでしょう。

 第一篇 俾弥呼のふるさと
 第二篇 俾弥呼の時代
 第三篇 真実を語る遺物・出土物
 第四篇 抹消された史実
 第五篇 もう一つの消された日本の歴史 — 和田家文書

 よくこれほどわかりやすく興味を持って読み進められるよう分類されたものだと感心しました。東京古田会による同シリーズは更に二冊が予定されているとのこと。今から楽しみにしています。皆さんにも是非お勧めします。


第532話 2013/03/02

「植本祭」のご案内
       
       
         

 正木裕さんのご尽力により、大阪府立大学なんばキャンパスに古田史学コーナー
が設けられます。古田先生の著作などを書架に並べることになりますが、3月9日に「植本祭」が開催されることになりました。正木さんから下記の案内が寄せ
られましたので、転載します。皆さんのご参加をお待ちしています。

 4月に難波にオープンする大阪府立大学なんばキャンパス「I-siteなんば」に古田史学コーナー(200冊程度収
納)を設けることとなりました。ついては、3月9日(土)13時からのプレオープンセレモニー「植本祭」に、古田史学のセッションを持ち、本の書架入れを
おこないます。
 古田史学関係の本を1冊以上持ち寄れば誰でも参加できます。終了後は学長他も参加するネットワーキングパーティ(2000円)もあります。是非ご参加ください。
 植本祭に関する大学のHPは
 http://opu.is-library.jp/
 「I-siteなんば」の住所は、大阪市浪速区敷津東2-1-41南海なんば第1ビル2・3階
 アクセスは、南海電鉄難波駅 なんばパークス方面出口より南約800m 徒歩12分
  地下鉄なんば駅(御堂筋線)5号出口より南約1,000m 徒歩15分
  地下鉄大国町駅(御堂筋線・四つ橋線)1号出口より東約450m 徒歩7分です。