関西例会一覧

月に一度例会を行っています。豊中倶楽部自治会館(阪急豊中駅北改札口から3分)でおこなうことが多いです。

第3410話 2025/01/18

『旧唐書』倭国伝の「五十餘国」

         と「東西五月行」

 本日、 「古田史学の会」関西例会が豊中自治会館で開催されました。2月例会の会場も豊中自治会館です。

 今回、わたしは「『旧唐書』倭国伝の領域 ―東西五月行と五十餘国―」についての研究結果を発表しました。『旧唐書』倭国伝冒頭に記された倭国の領域記事の東西五月行や附属する五十餘国の数値は、従来言われてきた誇大なものではなく、七世紀当時の倭国(九州王朝)律令に基づく〝公的な数値〟とする仮説です。

 「五十餘国」とは律令で規定された66国から九州王朝直轄の九州(九国)を引いた57国(蝦夷国領域〈陸奥・出羽〉も含む)のことで、「東西五月行」も従来言われてきたような誇大値ではなく、律令で定められた「車」による一日の行程が官道の駅間距離の「卅里」に対応しており、東西の駅数を29.5日で割ると約五ヶ月となることから、正確な情報に基づいた記事と考えることができるとしました。
この点について、正木裕さんによる先行研究がありました。正木さんからのメールを紹介します。

《以下、メールから転載》
東西5月行の計算と根拠は以下のとおりです。
『後漢書』卷八十六。南蠻西南夷列傳第七十六「軍行三十里を程(*1日に進む距離)とす。」
(軍行三十里為程,而去日南九千餘里,三百日乃到,計人稟五升,用米六十萬斛,不計將吏驢馬之食,但負甲自致,費便若此。)
倭国:【東西5月行】軍行1日30里(14㌔)5月で150日≒1900㎞、5日1休(「每五日洗沐制」)で125日×14㌔≒1700㌔。五島列島から津軽海峡までの距離。
【南北3月行】3月で90日約1200㎞。5日1休で75日×14㌔≒1000㌔。ただし大半が「水行」なので軍行1日30里は当てはまらない。
『魏志倭人伝』で半島から邪馬壹国まで水行10日、邪馬壹国から投馬国まで20日、半島から投馬国まで計1月。地図で測ると600㎞、3月なら約1800㎞で台湾に届く。
《転載終わり》

 1月例会では下記の発表がありました。発表希望者は西村秀己さんにメール(携帯電話アドレス)か電話で発表申請を行ってください。発表者はレジュメを25部作成されるようお願いします。

〔1月度関西例会の内容〕
①『古事記』定型句の例外について (姫路市・野田利郎)
②百済・倭王同一人物説や付随する諸問題に関して (大山崎町・大原重雄)
③扶桑国についての考察 (たつの市・日野智貴)
④縄文語で解く記紀の神々 景行帝西征譚 (大阪市・西井健一郎)
⑤熊本宇土への調査旅行報告 (東大阪市・萩野秀公)
⑥「磐井の崩御」と「磐井王朝(九州王朝)」の継承について (川西市・正木 裕)
⑦『旧唐書』倭国伝の領域 ―東西五月行と五十餘国― (京都市・古賀達也)

□「古田史学の会」関西例会(第三土曜日) 参加費500円
02/15(土) 10:00~17:00 会場 豊中自治会館
03/15(土) 10:00~17:00 会場 豊中自治会館


第3399話 2024/12/22

「風土記」研究の難しさ

 昨日、 「古田史学の会」関西例会が都島区民センターで開催されました。1月例会の会場は豊中自治会館です。翌日(1/19)は京都市(キャンパスプラザ京都)で新春古代史講演会を開催します。今回の講演テーマは人気が高いようで、連日、問い合わせ電話があり、南は佐賀県・福岡県、北は福島県の方からも、参加したいとの声が届いています。

 今月、わたしは「王朝交代前夜の天武天皇 ―飛鳥・藤原木簡の証言―」を発表しました。これは先月発表した「九州王朝研究のエビデンス ―「天皇」木簡と金石文―」の続編です。飛鳥池から出土した「天皇」「○○皇子」木簡は天武とその子どもとされていますが、その天武が「壬申の乱」の勝者になった後、九州王朝から天皇号を認められたのはいつ頃からかについて論じました。

 谷本さんの発表も感慨深いものでした。その内容はもとより、風土記研究の難しさ、なかでも風土記に見える未詳地名の研究が進んでいないことの言及には考えさせられました。谷本さんが所属している風土記学会も会員数が少なく、風土記研究はマイナーな分野のようでした。

 来春発行する『列島の古代と風土記』(『古代に真実を求めて』28集、明石書店)の初校ゲラ校正作業を続けていますが、古田「風土記」論の概要を紹介した同書巻頭論文〝「多元史観」からみた風土記論 ―その論点の概要―」〟は谷本さんに執筆していただいたものです。確かに古田学派内でも「風土記」研究はあまり活発とは言えません。同書発行を期に、多元史観・九州王朝説に基づく多元的「風土記」研究が進むことを期待しています。

 12月例会では下記の発表がありました。発表希望者は西村秀己さんにメール(携帯電話アドレス)か電話で発表申請を行ってください。発表者はレジュメを25部作成されるようお願いします。

〔12月度関西例会の内容〕
①『播磨国風土記』地名考(3)
―宍禾(シサハ)郡・柏野(カシハノ)里の地名(その2)― (神戸市・谷本 茂)
②船王後墓誌に出てくる三人の天皇について (茨木市・満田正賢)
③2024年古田学派YouTube動画について(報告) (東大阪市・横田幸男)
④王朝交代前夜の天武天皇 ―飛鳥・藤原木簡の証言― (京都市・古賀達也)
⑤もう一人の倭王と純陀太子 (大山崎町・大原重雄)
⑥「倭京」とタリシホコ 最終章 (東大阪市・萩野秀公)
⑦縄文語で解く記紀の神々 景行帝と倭健 (大阪市・西井健一郎)
⑧『法華義疏』の「大委」は国名ではなかった (姫路市・野田利郎)

○1/19新春古代史京都講演会と懇親会の案内 (代表・古賀達也)

□「古田史学の会」関西例会(第三土曜日) 参加費500円
01/18(土) 10:00~17:00 会場 豊中自治会館 ※翌日1/19(日)は新春古代史講演会(京都)です。
02/15(土) 10:00~17:00 会場 豊中自治会館
03/15(土) 10:00~17:00 会場 豊中自治会館


第3379話 2024/11/16

1/19新春古代史講演会(京都市)

     案内チラシ作成中

 本日、 「古田史学の会」関西例会が東成区民センターで開催されました。次回、12月例会の会場は都島区民センターです。

 今回、わたしは「九州王朝研究のエビデンス ―「天皇」木簡と金石文―」を発表しました。飛鳥池出土の「天皇」「皇子」「詔」木簡などを根拠に、天武は九州王朝の天子の下でナンバーツーとしての天皇号を名のっていたことを解説しました。概ね、参加者からはご理解いただけたようで、引き続き木簡研究を進め、藤原宮出土木簡についても報告したいと締めくくりました。

 例会の冒頭に、10/28東京講演会と11/10福岡講演会について報告し、来年1/19の新春古代史講演会(京都市)の案内も行いました。同案内チラシのゲラが竹村事務局次長より配られました。なかなかの出来映えで、明るく新春講演会にふさわしいチラシとなりました。近日中には印刷を終え、広く宣伝したいと思います。各地の博物館や公共施設などに置かせて頂ければ有り難いです。皆さんのご協力をお願いいたします。

 11月例会では下記の発表がありました。なお、発表希望者は西村秀己さんにメール(携帯電話アドレス)か電話で発表申請を行ってください。発表者はレジュメを25部作成されるようお願いします。

〔11月度関西例会の内容〕
①消された百済毗有王と武寧王が送った女性の斯我君 (大山崎町・大原重雄)
②九州王朝研究のエビデンス ―「天皇」木簡と金石文― (京都市・古賀達也)
③縄文語で解く記紀の神々 垂仁帝 (大阪市・西井健一郎)
④「法興」はタリシホコの建元年号 (東大阪市・萩野秀公)
⑤白鳳・朱雀・朱鳥・大化期の天子は誰か (茨木市・満田正賢)

○東京講演会・福岡講演会の報告と新春古代史京都講演会の案内 (代表・古賀達也)

□「古田史学の会」関西例会(第三土曜日) 参加費500円
12/21(土) 10:00~17:00 会場 都島区民センター
01/18(土) 10:00~17:00 会場 豊中自治会館
02/15(土) 10:00~17:00 会場 豊中自治会館
03/15(土) 10:00~17:00 会場 豊中自治会館

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古田史学の会 東成区民センター 2024.11.21

2024年11月度関西例会発表一覧
(YouTube動画)

①消された百済毗有王と武寧王が送った女性の斯我君 (大山崎町・大原重雄)

1,大原重雄@消された百済毗有王と武寧王が送った女性の斯我

https://youtu.be/78FDKycjZ30
https://youtu.be/TfF9Dw7xUL0
https://youtu.be/Rmn7Gm3Ia0s

冨川ケイ子@武烈天皇紀における「倭君」@古田史学会報78号

2,九州王朝研究のエビデンス ―「天皇」木簡と金石文― (京都市・古賀達也)

https://youtu.be/5-bUlvSsDiA

https://youtu.be/Y-QeZMM_3Ok

https://youtu.be/A2h_IS0SuhE

https://youtu.be/u0wK3j8PGF0

参考

九州王朝研究のエビデンス⑸ 「天皇」「皇子」木簡 (付)金石文 古賀達也
https://www.youtube.com/watch?v=C_aCz0pAlPU
令和6年(2024) 10月18日(金) 多元の会リモート古代史研究会

3,縄文語で解く記紀の神々 垂仁帝 (大阪市・西井健一郎)

①https://www.youtube.com/watch?v=LsoAn5x0l_M

 

4,「法興」はタリシホコの建元年号 (東大阪市・萩野秀公)

①https://www.youtube.com/watch?v=qsqe47SUUFE

 

5,白鳳・朱雀・朱鳥・大化期の天子は誰か (茨木市・満田正賢)

①https://www.youtube.com/watch?v=ZV-90Jl-EgY


第3371話 2024/10/20

平安時代(簾中抄)にあった2進法手品

 昨日、 「古田史学の会」関西例会が豊中自治会館で開催されました。次回、11月例会の会場は東成区民センターです。

 今回、わたしは「道君首名(みちのきみおびとな)卒伝の「和銅末」の考察(前編)」を発表しました。古代史料中の「末」の字義について確認するために、『続日本紀』で使用されている「末」や「○○末」(○○は年号)の用例を検索し、この「末」がどのような意味で使用されているのかを報告しました。

 今回の調査範囲では、現代と同様に〝ものごとの終わり、最後〟の意味で使用されていました。もちろん例外的な「末」の応用例もありますが、特に説明がなければこの理解(第一義)〝ものごとの終わり、最後」で読んでよいようです。というよりも、説明がなければ読者は第一義で読んでしまうことでしょう。『続日本紀』道君首名卒伝に見える「和銅末」の場合は、和銅年間の最後の年、和銅八年(715年)の意味になります。後編では応用例(主に慣用句)についても紹介できればと考えています。

 久しぶりに不二井伸平さん(本会・全国世話人、明石市)が参加され、古代日本に2進法の概念があったとする研究を報告されました。そして平安時代の『簾中抄』に記された2進法の原理を用いた手品を披露されました。恥ずかしながら、2進法が採用されていたとする説明については半分ほどしか理解できませんでしたが、弥生時代の分銅計りの重りが2進法で設計されており、その伝統が江戸時代まで遺っていたということには驚きました。不二井さんの教え子(小学生時代)の榎原さんが例会に参加されました。聞けば、榎原さんのお父上が古田先生のファンだったとのことで、その御縁で例会での不二井さんの発表を聞きに来られたとのことでした。

 亡くなられた水野顧問の研究年譜と、古田史学の会創立時の思い出なども、わたしから報告させていただきました。

 10月例会では下記の発表がありました。なお、発表希望者は西村秀己さんにメール(携帯電話アドレス)か電話で発表申請を行ってください。発表者はレジュメを25部作成されるようお願いします。

〔10月度関西例会の内容〕
①2進法手品 (明石市・不二井伸平)
②推古紀の小野妹子と蘇因高 (姫路市・野田利郎)
③縄文語で解く記紀の神話 崇神帝 (大阪市・西井健一郎)
④水野孝夫顧問との出会いと研究年譜の紹介 (京都市・古賀達也)
⑤道君首名卒伝の「和銅末」の考察(前編) (京都市・古賀達也)
⑥記紀の記述から天皇の二倍年齢と万世一系を疑う (大山崎町・大原重雄)
⑦九州王朝は「日本国」を名のったのか? (神戸市・谷本 茂)
⑧『日本書紀』のルーツとタリシホコ (東大阪市・萩野秀公)

□「古田史学の会」関西例会(第三土曜日) 参加費500円
11/16(土) 10:00~17:00 会場 東成区民センター
12/21(土) 10:00~17:00 会場 都島区民センター


第3349話 2024/09/22

「中原高句麗碑」碑文にあった「高麗」

 一昨日、 「古田史学の会」関西例会が豊中自治会館で開催されました。次回、10月例会の会場も豊中自治会館です。お昼休みには「古田史学の会」役員会を開催し、来年1月19日(日)に京都市(キャンパスプラザ京都を予定)で新春古代史講演会を開催することなどを決定しました。

 8月例会で発表予定だった「多元的天皇号の成立」を、今回、わたしは発表しました(体調不良で8月例会を欠席)。発表者が多く、時間制限(40分)のため、船王後墓誌銘文の「天皇」を九州王朝の天子の別称とする古田新説が成立困難であることについて、テーマを絞って説明しました。このテーマについては引き続き「洛中洛外日記」でも解説する予定です。

 正木さんからは「中原高句麗碑」の紹介がありました。「高句麗好太王碑」は有名ですが、1987年に韓国忠州市から発見された「中原高句麗碑」は、高句麗長寿王(413~491年)の事績を刻むとされる石碑で貴重です。正面の碑文だけが遺っており、他の三面はほとんど文字は見えないとのことです。発見の翌年、ソウル出張したときに同碑発見のニュースを聞いた記憶がありますが、正木さんの発表で内容について初めて知りました。碑文には高句麗のことを「高麗」とあり、高句麗自身は自国の正式名称を「高麗」と呼んでいたことがわかり、とても興味深いものでした。

 9月例会では下記の発表がありました。なお、発表希望者は西村秀己さんにメール(携帯電話アドレス)か電話で発表申請を行ってください。発表者はレジュメを25部作成されるようお願いします。

〔9月度関西例会の内容〕
①倭国に滅ぼされた多婆那国(改定) (姫路市・野田利郎)
②大国主が落ちた穴と宇陀の血原の本当の意味 (大山崎町・大原重雄)
③韓半島の倭人の運命 (高槻市・池上正道)
④多元的天皇号の成立 (京都市・古賀達也)
⑤縄文語で解く記紀の神々 孝元・開化帝と日子坐 (大阪市・西井健一郎)
⑥「倭国」の動向と多利思北孤 (東大阪市・萩野秀公)
⑦欽明紀の分析 (茨木市・満田正賢)
⑧『中原高句麗碑』が明らかにした5世紀の高句麗の攻勢 (川西市・正木 裕)
◎役員会の報告(古賀)

□「古田史学の会」関西例会(第三土曜日) 参加費500円
10/19(土) 10:00~17:00 会場 豊中自治会館
11/16(土) 10:00~17:00 会場 東成区民センター
12/21(土) 10:00~17:00 会場 都島区民センター


第3327話 2024/07/21

追悼、山田宗睦さん

     (6月17日御逝去、99歳)

 昨日、 「古田史学の会」関西例会が都島区民センターで開催されました。次回、七月例会の会場は北区民センターです。今回も関東から冨川ケイ子さん(全国世話人、相模原市)が参加されました。宇治市在住の会員、池上さんが例会に初参加されました。

 お昼休みには役員会を開催し、八王子セミナー実行委員に「古田史学の会」として冨川ケイ子さんに加えて、古賀の追加を主催者(大学セミナーハウス)に申請することなどを決定しました。

 今回は、6月17日に御逝去された山田宗睦さん(注①)の追悼として、正木さんが山田さんの初期の研究「日本書紀の地名二つ」(注②)を紹介しました。山田さんは古田史学・九州王朝説の熱心な支持者で、自らも日本古代史の研究を深め、『日本書紀』に盗用された九州王朝の天孫降臨説話についての新仮説を発表されました。そうした山田さんの仮説に三十数年ぶりに触れて、当時充分に理解できなかったのですが、正木さんの解説により、有力な仮説であることに気づくことができました。

 わたしが山田さんと初めてお会いしたのは、信州白樺湖畔にある昭和薬科大学諏訪校舎で、平成三年(1991)八月一日のことでした。古田先生の提唱により開催された「古代史討論シンポジウム 『邪馬台国』徹底論争 ―邪馬壹国問題を起点として―」(8月1日~6日、東方史学会主催)の実行委員会にわたしは「市民の古代研究会」事務局長として参画しました。山田さんは同シンポジウムの総合司会でした。運営上で不手際があり、山田さんにはご迷惑をおかけしましたが、山田さんや実行委員会メンバーのご協力により、乗り切ることができました。わたしが36歳のときのことで、懐かしい思い出です。当時のことを主催者側として詳しく知るのは恐らくわたしだけですから、機会があればそのときの逸話を紹介したいと思います。

 その次に山田さんとお会いしたのは、2018年に開催された第一回八王子セミナー2018でした。山田さんは90歳を越え、わたしも還暦を過ぎ、二十数年ぶり再会でした。そのときは感激のあまり、二人は抱き合ってその再会を喜びあいました。なお、山田さんは初めての「古田武彦記念古代史セミナー」を記念して特別講演「ユーラシア世界史と倭人」をされました。

 7月例会では下記の発表がありました。なお、発表希望者は西村秀己さんにメール(携帯電話アドレス)か電話で発表申請を行ってください。発表者はレジュメを25部作成されるようお願いします。

〔7月度関西例会の内容〕
①金印の疑義を解明する (姫路市・野田利郎)
②伊勢遺跡の注穴が示す山内丸山6本柱の虚偽説明 (大山崎町・大原重雄)
③室見川銘板問題に関して (大山崎町・大原重雄)
④追悼:山田宗睦さん(6月17日逝去) (川西市・正木 裕)
⑤太子と、皇太子の還った倭京 (東大阪市・萩野秀公)
⑥日本書紀に記された前期九州王朝の残影 (茨木市・満田正賢)
⑦久留米大学紀要論文の解説 (川西市・正木 裕)
⑧久留米大学紀要論文の解説と同公開講座の報告 (京都市・古賀達也)
◎役員会の報告(古賀)

□「古田史学の会」関西例会(第三土曜日) 参加費500円
8/17(土) 10:00~17:00 会場 北区民センター
9/21(土) 10:00~17:00 会場 豊中自治会館
10/19(土) 10:00~17:00 会場 豊中自治会館

(注)
①山田宗睦(やまだ むねむつ、哲学者、1925~2024年)。山口県下関市生まれ。京都大学哲学科卒、東大出版会企画部長、「思想の科学」編集長、桃山学院大学教授、関東学院大学教授などを歴任。著書に『山田宗睦著作集』(三一書房)、『日本書紀史注』『日本書紀の研究のひとつ』(風人社)、『現代語訳日本書紀上中下』『古代と日本書紀』(ニュートンプレス社)など。古田武彦『古代は輝いていたⅢ 法隆寺の中の九州王朝』(朝日新聞社)解説執筆。多元的古代研究会の日本書紀講座の講師(1994年から約6年半)。
②山田宗睦「日本書紀の地名二つ」『季節』第11号(特集「古田史学の諸相」)、鹿砦社、1988年。

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〔7月度関西例会〕

①金印の疑義を解明する (姫路市・野田利郎)

金印の疑義を解明する①

 

②伊勢遺跡の注穴が示す山内丸山6本柱の虚偽説明 (大山崎町・大原重雄)

伊勢遺跡の柱穴が示す三内丸山6本柱の虚偽説明①

③室見川銘板問題に関して (大山崎町・大原重雄)

室見川銘板問題に関して①

 

④追悼:山田宗睦さん(6月17日逝去) (川西市・正木 裕)

追悼:山田宗睦さん①
山田宗睦さん②
山田宗睦さん③

 

⑤太子と、皇太子の還った倭京 (東大阪市・萩野秀公)

太子と皇太子の遷った倭京①

 

⑥日本書紀に記された前期九州王朝の残影 (茨木市・満田正賢)

日本書紀に記された前期九州王朝の残影①

 

⑦久留米大学紀要論文の解説 (川西市・正木 裕)

俾弥呼の宮都の考察

⑧久留米大学紀要論文の解説と同公開講座の報告 (京都市・古賀達也)

筑紫なる遠の朝廷~倭国の両京制の考察

 

 


第3304話 2024/06/15

岡下さんが米寿を迎えて、例会発表

 本日、 「古田史学の会」関西例会がドーンセンター(大阪市中央区)で開催されました。次回、七月例会の会場は都島区民センターです。関東からは冨川ケイ子さん(古田史学の会・全国世話人)が明日の全国世話人会・会員総会のため参加されました。はるばる千葉市からは会員の倉沢良典さんが初参加されました。お昼休みには役員会を開催し、全国世話人会と会員総会への提案内容について最終確認しました。

 今回は、関西例会で論議が続いている、4~5世紀頃の九州王朝(倭国)と朝鮮半島諸国との関係についての発表(満田さん、大原さん、正木さん)が重なり、それぞれの意見や根拠とするエビデンスの違いが明確になりました。もちろん合意に至ったわけではありませんが、エビデンス(根拠)とロジック(解釈・論理)や学問の方法を含めて参加者の認識が深まりました。合意できるエビデンスに基づき、議論がかみ合っていれば、いずれ諸仮説は古代の真実に向かって収斂することと期待しています。

 今回は久しぶりに岡下さんの参加と研究発表があり、王朝交代の実情やその年次について論議が交わされました。九州王朝(倭国)から大和朝廷(日本国)への「禅譲」年と九州年号の改元年(大化元年 695、大長元年 704)との関係についての問題意識が深まり、勉強になりました。聞けば、岡下さんは今年米寿を迎えたとのこと。年齢を感じさせない鋭い視点での研究でした。

 6月例会では下記の発表がありました。なお、発表希望者は西村秀己さんにメール(携帯電話アドレス)か電話で発表申請を行ってください。発表者はレジュメを25部作成されるようお願いします。

〔6月度関西例会の内容〕
①欠史八代帝(一) ―縄文語で解く記紀の神々― (大阪市・西井健一郎)
②持統が定策禁中を行って、九州王朝を滅ぼした (京都市・岡下英男)
③倭(ワ)王と太子の事績の地 (東大阪市・萩野秀公)
④倭国の王朝交代と任那の滅亡 (茨木市・満田正賢)
⑤4~5世紀の韓半島と倭の記事に関して (大山崎町・大原重雄)
⑥推古紀・孝徳紀の「任那記事」について (川西市・正木 裕)

◎役員会の報告(古賀)
・『古代に真実を求めて』在庫状況の説明
・会員へのメール配信事業開始の報告
・創立30周年記念事業・東京講演会について

□「古田史学の会」関西例会(第三土曜日) 参加費500円
7/20(土) 10:00~17:00 会場 都島区民センター
8/17(土) 10:00~17:00 会場 北区民センター


第3287話 2024/05/19

真実に目をそむけた

  NHKスペシャル古代史ミステリー

 昨日、 「古田史学の会」関西例会が豊中自治会館で開催されました。次回、6月例会々場はその翌日(6/16)に開催される会員総会と同じドーンセンターです。

 正木さんは、NHKスペシャル古代史ミステリーで放送された「倭の五王」を大和朝廷とする番組の内容に対して、根拠をあげて批判しました。「邪馬台国」の卑弥呼をテーマにした同シリーズの前作も酷い内容でしたが、それを上回る非学問的な内容であることがよく理解できました。たとえば、大和朝廷により規格統一されたと紹介した鉄製甲冑の全てが九州出土のものであり、番組ではこの事実を説明していません。
この他に、朝鮮半島南西部の栄山江流域の前方後円墳についても詳述され、出土遺物についても北部九州出土品とよく似ていることがよくわかりました。ちなみに、栄山江流域に任那があったとする研究が赤尾恭司さん(多元的古代研究会・会員)より発表されており(注)、正木さんの研究との関係が注目されます。

 5月例会では下記の発表がありました。なお、発表希望者は西村秀己さんにメール(携帯電話アドレス)か電話で発表申請を行ってください。発表者はレジュメを25部作成されるようお願いします。

〔5月度関西例会の内容〕
①推古紀の編者は隋書を参考にしたか? (茨木市・満田正賢)
②なぜ、『隋書』は「裴世」と書いたのか ―推古紀の遣唐使の疑問― (姫路市・野田利郎)
③百済王の孫が持参した七支刀 (大山崎町・大原重雄)
④神武東征の嘘 (大阪市・西井健一郎)
⑤古代の「領地替え」の痕跡 (東大阪市・萩野秀公)
⑥百済西南部の古墳から考える「倭の五王」 不都合な真実に目をそむけたNHKスペシャル古代史ミステリー (川西市・正木 裕)

◎古賀から役員会の報告
(1) 7/28(日)「倭国から日本国へ」出版記念東京講演会〔文京区民センター〕
(2) 八王子セミナー要旨案の紹介
(3)『古代に真実を求めて』リモート読書会の設立について

□「古田史学の会」関西例会(第三土曜日) 参加費500円
6/15(土) 会場:ドーンセンター
□会員総会・記念講演会(27集出版記念)の日程と講師
日時 6月16日(日) 午後1時30分開会 会場:ドーンセンター 参加費:無料
《講師・演題》
谷本 茂氏(古田史学の会・会員、『古代に真実を求めて』編集部)
〔演題〕誤解され続けた『新唐書』日本伝 ―倭国と日本国の併合関係の「逆転」をめぐって―
正木 裕氏(古田史学の会・事務局長、『古代に真実を求めて』編集部)
〔演題〕百済領域の遺跡から見える倭国(九州王朝)の半島進出
※前日(6月15日)の関西例会もドーンセンターで開催します。

□「倭国から日本国へ」出版記念東京講演会
日時 7月28(日) 13:30 開会 16:30 終了
会場 文京区民センター
参加費 1000円
《講師・演題》
古賀達也(古田史学の会・代表)   多元的「天皇」号の成立 ―九州王朝の天子と諸国の天皇たち―
正木 裕(古田史学の会・事務局長) 「王朝交代」と二人の女王 ―武則天と持統―
主催 古田史学の会 協力 東京古田会 多元的古代研究会

(注)5月11日の「古田史学リモート勉強会」(古賀主宰)で赤尾氏は「栄山江流域=任那説」を発表した。3月9日には正木氏により「九州勢力の半島進出し撤退」が同勉強会で発表されており、当該テーマは関心が示されてきた。

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古田史学の会 豊中自治会館 2024.5.18

2024年5月度関西例会発表一覧
(YouTube動画)

1,推古紀の編者は隋書を参考にしたか? (茨木市・満田正賢)
https://youtu.be/e_hAs0QoUJc

2,なぜ、『隋書』は「裴世」と書いたのか ―推古紀の遣唐使の疑問―
(姫路市・野田利郎)
   ①https://youtu.be/u_-hPQ5KAyg

3,百済王の孫が持参した七支刀 (大山崎町・大原重雄)
   ①https://youtu.be/Nc2K7h7rXRs

4,神武東征の嘘 (大阪市・西井健一郎)
   ①https://youtu.be/kBwBw552Paw

5,古代の「領地替え」の痕跡 (東大阪市・萩野秀公)

   ①https://youtu.be/Wu7bD9n-PsU

6,百済西南部の古墳から考える
— 「倭の五王」 不都合な真実に目をそむけたNHKスペシャル古代史ミステリー
(川西市・正木 裕)
   ①https://youtu.be/EmHKt8pnUes

関連YouTube動画
https://www.youtube.com/watch?v=IxWsjqn1wS4
九州勢力の半島進出と撤退 — 百済西南部の古墳から考える 正木裕
市民古代史の会・京都2024年3月30日 INキャンパスプラザ京都


第3273話 2024/04/20

関西例会で九州王朝バス旅行の報告

 本日、 「古田史学の会」関西例会が豊中自治会館で開催されました。次回、5月例会の会場も豊中自治会館です。関東からは冨川ケイ子さん(古田史学の会・全国世話人)が先月に続いて参加されました。

 今回の発表でわたしが注目したのが、大原さんの『古事記』仲哀記押熊王の叛乱記事に見える海戦「赴喪船将攻空船」の新解釈でした。従来説では「喪船に向かってその空船を攻めた」と訓み、喪船と空船が同一のものか別物かで意見が分かれていました。大原説では、空船とは喪船を曳航する動力船であり、喪船はバージ船(通常の船では運搬しにくいものを運ぶための特殊な形状を持つ船)とされました。即ち二艘でワンセットとする理解です。こうした二艘の船がエジプトのピラミッドの側からも出土しているとのことで、面白い仮説でした。

 正木さんの九州王朝バス旅行(4/16~18)の報告も楽しいものでした。福岡市博物館・香椎宮・志賀海神社・宇美八幡宮・宗像大社・王塚古墳(桂川町)・鞍橋神社・宇佐神宮・苅田町歴史資料館など、北部九州を代表する九州王朝の神社を見学するというもので、装飾壁画古墳の復元展示なども見事なものでした。

 わたしからは、リクエストにより過日の高橋工さんの前期難波宮最新調査報告の紹介をさせていただきました。このテーマについては「洛中洛外日記」で詳述する予定です。

 4月例会では下記の発表がありました。なお、発表希望者は西村秀己さんにメール(携帯電話アドレス)か電話で発表申請を行ってください。発表者はレジュメを25部作成されるようお願いします。

〔4月度関西例会の内容〕
①天孫降臨とウガヤ命・後編 (大阪市・西井健一郎)
②裴世清の昇進問題 (茨木市・満田正賢)
③神功皇后の喪船と空船による策略の謎 (大山崎町・大原重雄)
④喪船の形状ときぬがさ型埴輪の関係 (大山崎町・大原重雄)
⑤『旧唐書』が語る日本(二本)の歴史 (東大阪市・萩野秀公)
⑥「九州王朝バスの旅3」報告 (川西市・正木 裕)
⑦最近のヤマト説と九州説の攻防 (川西市・正木 裕)

◎古賀から役員会の報告
・4月遺跡巡りでの高橋工氏の講演報告

□「古田史学の会」関西例会(第三土曜日) 参加費500円
05/18(土) 会場:豊中自治会館

□会員総会・記念講演会(27集出版記念)の日程と講師
6月16日(日)午後 会場:ドーンセンター 参加費:無料
《講演会講師・演題》
谷本 茂氏(古田史学の会・会員、『古代に真実を求めて』編集部)
〔演題〕誤解され続けた『新唐書』日本伝 ―倭国と日本国の併合関係の「逆転」をめぐって―
正木 裕氏(古田史学の会・事務局長、『古代に真実を求めて』編集部)
〔演題〕百済領域の遺跡から見える倭国(九州王朝)の半島進出
※前日(6月15日)の関西例会もドーンセンターで開催します。


第3251話 2024/03/16

スタンフォード大学にある

     明治時代の日本地図

 本日、 「古田史学の会」関西例会が東成区民センターで開催されました。次回、4月例会の会場は豊中倶楽部自治会館です。

 (都島区民センター(図書館)から変更になりました)

 今回の発表で特にわたしが注目したのが、播磨風土記の地名の現在位置に関する研究で谷本さんが使用した明治期作成の地図でした。一見、現在作成されている国土地理院の地図のようですが、今は失われた明治期の字地名が掲載されています。その地図がアメリカのスタンフォード大学図書館のホームページに掲載されており、誰でもアクセス可能とのことで驚きました。
江戸時代に遡る字地名の調査には、江戸期の地誌か明治二年作成『明治前期 全国村名小字調査書』(注①)を使用していたのですが、それですと地名はわかっても、その正確な場所がわからないことが多く、調査が大変でした。ところが、スタンフォード大学所蔵の地図であれば正確な場所もわかり、研究者にとってはとても有り難いことです。谷本さんのご教示により、そのような地図がネットで見られること知り、有益でした。

 ちなみに、『古代に真実を求めて』28集の特集テーマは「風土記・地誌の九州王朝」(注②)ですから、とてもタイムリーな研究発表でした。

 3月例会では下記の発表がありました。なお、発表希望者は西村秀己さんにメール(携帯電話アドレス)か電話で発表申請を行ってください。発表者はレジュメを25部作成されるようお願いします。

〔3月度関西例会の内容〕
①天孫降臨とニニギ命 (大阪市・西井健一郎)
②剣の神のタケミカヅチが素手でタケミナカタと戦う理由 (大山崎町・大原重雄)
③モーツァルトの「魔笛」と古事記の相似形の説話 (大山崎町・大原重雄)
④4月ハイキング「春の櫻宮から難波宮を歩く」の案内 (八尾市・上田 武)
⑤『隋書』重視で、『書紀』の元本に照らす (東大阪市・萩野秀公)
⑥「邪馬台国と火の国」論の再提起 (茨木市・満田正賢)
⑦播磨風土記・地名考(続) ―宍禾郡・柏野里・敷草村の条― (神戸市・谷本 茂)
⑧「韓国ソウル付近の百済遺跡で1600年前の日本人居住跡を発見」報道と倭国の半島進出 (川西市・正木 裕)

◎古賀から役員会の報告
・会員総会・記念講演会(27集出版記念)の日程と講師
6月16日(日)午後 会場:ドーンセンター 参加費:無料
講演会講師:谷本茂さん(古田史学の会・会員、神戸市)、正木裕さん(古田史学の会・事務局長)
演題:未定
※前日(6月15日)の関西例会もドーンセンターで開催します。

□「古田史学の会」関西例会(第三土曜日) 参加費500円
04/20(土) 会場:豊中倶楽部自治会館

(注)
①『明治前期 全国村名小字調査書』ゆまに書房、1986年。
②二十八集の特集テーマは「風土記・地誌の九州王朝」です。風土記や地誌を研究対象として、そこに遺された九州王朝の痕跡を論じ、論文やフォーラム・コラムとして投稿してください。地誌の場合、その成立が中近世であっても、内容が古代を対象としており、適切な史料批判を経ていれば、古代史のエビデンスとして採用していただいてかまいません。(『古代に真実を求めて』28集の投稿募集要項より)

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古田史学の会 東成区民センター 2024.3.16

2024年 3月度関西例会発表一覧
(ファイル・動画)

YouTube公開動画①②です。

1,天孫降臨とニニギ命 (大阪市・西井健一郎)

 動画はありません

2,剣の神のタケミカヅチが素手でタケミナカタと戦う理由
(大山崎町・大原重雄)

https://youtu.be/2o-eoZcsysU
https://youtu.be/M3qkbHgjd9U

3,モーツァルトの「魔笛」と古事記の相似形の説話 (大山崎町・大原重雄)

https://youtu.be/DrWQ2nw9pH0
https://youtu.be/afRJ4Bdhgso

4,4月ハイキング「春の櫻宮から難波宮を歩く」の案内 (八尾市・上田 武)

 動画はありません

5,『隋書』重視で、『書紀』の元本に照らす (東大阪市・萩野秀公)

 動画はありません

6,「邪馬台国と火の国」論の再提起 (茨木市・満田正賢)

 動画はありません

7,播磨風土記・地名考(続) ―宍禾郡・柏野里・敷草村の条―
(神戸市・谷本 茂)

 動画はありません

8,「韓国ソウル付近の百済遺跡で1600年前の日本人居住跡を発見」報道と倭国の半島進出 (川西市・正木 裕)

https://youtu.be/0e3xqq5JO1U
https://youtu.be/G8XqfEc37EQ


第3230話 2024/02/18

正木さんが韓国の前方後円墳跡を発見

 昨日、 「古田史学の会」関西例会が開催されました。次回、3月例会の会場は東成区民センターで、初めて例会に使用する会場です。「古田史学の会」HPなどで場所をご確認ください。

 例会で正木さんが発表された鹿児島県指宿市(尾長谷迫遺跡)出土の暗文土師器の報告は、『古田史学会報』180号の正木稿「『倭姫王』と発掘された『暗文土師器』」をパワーポイントで詳述したもので、興味深く拝聴拝見しました。同土師器は「畿内産土師器」と称されてきたもので、通説では畿内(大和朝廷)で成立した土師器であり、それが出土するのは大和朝廷と関係が深い官衙や遺跡とされていました。この度、大和から遠く離れた薩摩で、しかも大和朝廷が「隼人」を制圧する以前の七世紀中葉の層位から出土したことから、メディア(南日本新聞)で報道されました。このことを「洛中洛外日記」3228話(2024/02/15)〝『古田史学会報』180号の紹介〟で簡単に紹介しました。

 わたしはこの暗文土器は畿内産ではなく、太宰府(九州王朝にとっての「畿内」)からもたらされた可能性があることを指摘しました。「洛中洛外日記」でも、律令制官僚群の大量発生により、須恵器坏Bとともに、ロクロ回転台で量産された土師器について論じたことがありました(注①)。暗文土師器がこの量産土師器に含まれるのかどうかを調べるために、本日、京都府立大学文学部図書館で暗文土師器に関する資料を閲覧しました(注②)。この調査結果についは別に報告します。

 更に正木さんは、朝鮮半島での前方後円墳について重要な発表を行いました。従来、前方後円墳が発見されていなかった瓦難川上流地域(北高敞郡)に前方後円墳の痕跡があることを発見したのです。聞けば、韓国のYouTube動画中に、偶然映り込んでいたこの痕跡に気づいたとのことでした。現地確認が必要ですが、その動画から切り取られた写真には、方墳の隣りに平削された前方後円形の痕跡が見え、それが前方後円墳跡であれば大発見です。6月16日(日)に開催が決まった、「古田史学の会」会員総会記念講演会で、改めて発表されるかもしれません。

 2月例会では下記の発表がありました。なお、発表希望者は西村秀己さんにメール(携帯電話アドレス)か電話で発表申請を行ってください。発表者はレジュメを25部作成されるようお願いします。

〔2月度関西例会の内容〕
①拙論「『邪靡堆』とは何か」の疑問に答える (姫路市・野田利郎)
②古代船の復元と祭祀船の謎 (大山崎町・大原重雄)
③2月ハイキング「尼崎城下散策」とその若干の研究 (八尾市・上田 武)
④続「倭京」と多利思北孤 (東大阪市・萩野秀公)
⑤多元史観では7世紀中葉に薩摩指宿と近江・畿内に深い繋がりがあった (川西市・正木 裕)
⑥九州勢力の半島進出と撤退 (川西市・正木 裕)

◎古賀から役員会決定事項の報告
・会員総会・記念講演会(27集出版記念)の日程と講師
6月16日(日)午後 会場:未定 参加費:無料
講演会講師:谷本茂さん、正木裕さん
・関西例会・会計担当の交代 竹村順弘さん→上田武さん

□「古田史学の会」関西例会(第三土曜日) 参加費500円
03/16(土) 会場:東成区民センター 地下鉄千日前線今里駅西 徒歩3分

(注)
①古賀達也「洛中洛外日記」2542話(2021/08/18)〝太宰府出土、須恵器と土師器の話(6)〟
同「太宰府出土須恵器杯Bと律令官制 ―九州王朝史と須恵器の進化―」『多元』167号、2022年。
同「太宰府出土須恵器杯Bと律令官制 ―九州王朝史と須恵器の進化―」『九州王朝の興亡』(『古代に真実を求めて』26集)明石書店、2023年。
②『畿内産暗門土師器関連資料1 ―西日本編』奈良国立文化財研究所、2005年。

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古田史学の会 都島区民センター 2024.2.17

2024年 2月度関西例会発表一覧
(ファイル・動画)

YouTube公開動画①②③です。

1,拙論「『邪靡堆』とは何か」の疑問に答える (姫路市・野田利郎)

 ①https://www.youtube.com/watch?v=QGGzaTMLJck&t=1653s

2,古代船の復元と祭祀船の謎 (大山崎町・大原重雄)

 ①https://www.youtube.com/watch?v=altEG2JOmq8

 ②https://www.youtube.com/watch?v=9fV4npt4hPE&t=93s

3,2月ハイキング「尼崎城下散策」とその若干の研究
(八尾市・上田 武)

https://www.youtube.com/watch?v=60O1ZfXfX4c

https://www.youtube.com/watch?v=XCR6A2Gd_8w

https://www.youtube.com/watch?v=e0DXXGra8Yg&t=17s

4,続「倭京」と多利思北孤 (東大阪市・萩野秀公)

   萩野秀公@巨大防御施設の護るもの

https://www.youtube.com/watch?v=3A-gEcfok38

https://www.youtube.com/watch?v=K0uI5gX8SX8&t=1264s

5,多元史観では7世紀中葉に薩摩指宿と
近江・畿内に深い繋がりがあった (川西市・正木 裕)

正木裕@倭姫王と発掘された暗文土師器~実在しないはずの土器が出土

https://www.youtube.com/watch?v=frQIWT_lXIw&t=10s

https://www.youtube.com/watch?v=26HV5R3d7fs&t=2s

6,九州勢力の半島進出と撤退 (川西市・正木 裕)

https://www.youtube.com/watch?v=nYGmM9ty2l8&t=25s

https://www.youtube.com/watch?v=rTqjSSH-gBU


第3206話 2024/01/24

好評! 本出ますみさんの新春講演

 わが国を代表するウールクラッサー(羊毛鑑定士)の本出ますみさんを講師に招いて、キャンパスプラザ京都で開催した新春古代史講演会は五十余名の参加があり、盛況でした。講師の本出さんが持ち込まれた羊毛フェルトや花氈(かせん)も大好評でした。本出さんのファンで古代史講演会は初めての方も多く、そのため、わたしの講演では初心者向けの解説を加え、内容も一部変更しました。参加された「古田史学の会」会員の小島さん(宝塚市)からもメッセージが届きましたので、その応答をご紹介します。

 【以下転載】
小島様
新春講演会にお越しいただき、ありがとうございました。古代史の講演を聞くのは初めてという参加者が多かったようですので、初心者向けの話から始めました。会員の方には面白くなかったかもしれず、申し訳ございませんでした。(古賀達也)

 古賀様
メールをありがとうございました。羊、ウール、フエルトの話は大変面白かったです。ウールと羊毛は同じと思っていましたが、直毛?がありその下にウールがある(鳥に例えるなら羽とダウン)とか、カシミアはフエルトにはならないとか、世界各地に羊の固有種がいるのに、日本にはいないことなど初めてのことなので驚きもありました。見ることの難しい正倉院内部の写真とかも初見でした。

 また発掘の話ですが、神域を掘るのは難しそうで大変でしょうが、早く掘れる機会が訪れればと思います。基本的な話は自分の地固めになりますので、自分には結構よかったと思っています。初心をよく忘れますので。
【転載おわり】

 本出さんとは現役時代からのお付き合いで、わたしがウールやポリアミド用染料の開発・マーケティングを担当していたことが御縁となり、知り合いました。そのおり、本出さんが正倉院調査に参加されていたことを知り、その内容を「古田史学の会」で講演してほしいと、五年前ほどからお願いしてきました。調査内容の公表には正倉院を管理する宮内庁の了承が必要とのことで、この度ようやく講演していただくことができました。当初、講演の写真撮影・ネット配信はNGとのことでしたが、宮内庁の承認を得ていただき、写真撮影がOKとなりました。

 聞けば、本出さんの叔父様が正倉院の所長だったとのことで、正倉院を護るために正倉院近くの官舎で暮らし、緊急時に備え、正倉院展などで国宝や文化財を倉から出すときは、その一週間前から禊ぎをして臨まれたそうです。こうした人々に護られて、正倉院は今日まで遺ったことを知り、感動しました。本出さんには講演会後の懇親会にも参加していただき、歓談が続きました。あらためて感謝いたします。

 本出さんとわたしの講演テーマは次の通りでした。
〔第一講演〕本出ますみさん 正倉院花氈の素材の定説がくつがえる ―それはカシミヤではなくウールだった―

https://www.youtube.com/watch?v=GoR9DbWtGHY&t=4s

〔第二講演〕古賀達也 吉野ヶ里出土石棺と卑弥呼の墓 ―国内史料に見える卑弥呼伝承―

https://www.youtube.com/watch?v=FfvudMFs6bs

2024.02.05 YouTube講演を作成しました。
竹村氏が、本出ますみ氏に講演を公開することに了解を得ました。
古田史学会インターネット事務局が,講演記録を一本化し、サムネイルとチャプターを設置しました。