第491話 2012/11/12

ドラッカー著『非営利組織の経営』を読む

 思うところがあり、ドラッカー著『非営利組織の経営』を毎日のように読んでいます。NPOなど非営利組織に関するドラッ カーの論文は『ハーバード・ビジネス・レビュー』等で読んだことはあったのですが、著作としてまとめられたものは初めてでした。「古田史学の会」も非営利組織ですから、そのあり方や運営について、基礎から考えるうえで同書は最適の一冊でした。
 「古田史学の会」は古田先生の研究活動のサポートを始め、会報・会誌の発行、例会の運営、遺跡巡りハイキングの主催、ホームページの管理、書籍の刊行、 講演会の開催など、ミッション(使命)にもとづいて多くの活動を行っています。この他にも、地域の会との連絡や支援、友好団体とのおつきあいなども重要な 仕事です。
 これらの活動領域において、無報酬のボランティアスタッフが強い信念と責任感に基づいて会を支えています。さらに全国の会員からの会費により財政的に支 えられています。従って、「古田史学の会」はボランティアスタッフや会員に対して「成果」をあげ続けることが求められており、その「成果」が明日の「古田史学の会」の存続を可能にしてくれる、わたしはそのように考えています。
 本会のような非営利組織において最も大切なこと、それはミッション(使命)であるとドラッカーは次のように指摘します。

 「最近、リーダーシップがよく問題にされる。遅すぎたくらいである。しかし、最初に考えるべきものはリーダーシップではない。ミッションである。非営利組織はミッションのために存在する。それは社会を変え人を変えるために存在する。」

 「古田史学の会」のミッションは「古田史学を継承(学び)・発展(研究を深化)させ、世に広める(定説とする)」ことで す。このミッション(歴史的使命)のために、会員は会費を支払い、ボランティアスタッフは献身的に会に貢献してくれるのです。わたし自身もその一人です。
 今から20年ほど前のことですが、古田説支持者や古田ファンにより結成された「市民の古代研究会」が、そのミッションを見失ったため分裂・消滅しまし た。当時、わたしは「市民の古代研究会」の事務局長としてその分裂騒動の渦中にいました。そして、ミッションを見失った組織の末路をこの目で見てきまし た。このときの苦い経験が、「古田史学の会」の規約・名称・会報名・会誌名に、これでもかこれでもかと「古田史学」の四文字を入れる動機となったのです。 「そこまでしなくても」というご意見もありましたが、ミッションを疑いようのないほど明確にするため、あえてこのようにしました。(つづく)

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