第3128話 2023/10/01

「そこまで言って委員会NP」(読売テレビ)

      で古田説を紹介

 本日の午後、散歩から帰ってテレビをつけると、「そこまで言って委員会NP」(読売テレビ、注①)の特集「古代史スペシャル」が放送されていました。「邪馬台国」の所在地をテーマに、八名のバネリストが討論するのですが、明治天皇の玄孫の竹田恆泰さん(注②)が、古田説を古田武彦という名前も出して紹介され、テロップにも「古田武彦 (日本の思想史学者・古代史家)」と記されており驚きました。幸い、妻が気を利かして同番組を録画していましたので、再確認もできました。

 それは、古田先生が『「邪馬台国」はなかった』で発表した〝倭人伝の部分里程の合計が総里程の「一万二千余里」になる〟ことを計算式を出して説明し、「邪馬台国」は九州で決まりとするものでした。更に、井沢元彦さんのトンチンカンな「邪馬台国」東遷説や「邪馬台」を当時の発音で「やまど」とする主張を厳しく批判し、『三国志』倭人伝の原文は「邪馬台国」ではなく邪馬壹国(やまいちこく)であり、ヤマドとは読めないと指摘しました。限られた発言時間枠での、わかりやすい古田説の説明でした。以前、竹田さんは倭人伝など中国史書は信用できないとされていたはずですが、倭人伝の原文(邪馬壹国)や里程記事を前提として成立した古田説を支持していることを自らテレビで公言されたのです。わたしのなかで、竹田さんの〝好感度〟は一気に上がりました。

 映画「Fukushima 50」の原作者、門田隆勝さん(注③)も『隋書』俀国伝の「阿蘇山噴火」記事を紹介され、九州説を支持されました。恐らくは古田先生の九州王朝説もご存じのことと思われ、古田説が世に広がっていることに感動しました。先生がご健在であれば、どれほど喜ばれたことでしょう。

 なお、竹田さんも門田さんも保守系言論人として有名ですが、40~50年前はどちらかというと、左派系・リベラル系のメディア(朝日新聞)や言論人(筑紫哲也さん・他)に古田説支持者が多かったことを考えると、時代が大きく変化しつつあるようで興味深く思われます。「市民の古代研究会」時代は、共産党の国会議員が古田先生の講演会に参加されていたほどです。わたしが知る限りでは、この二十年は産経新聞(古田先生による書評を連載。先生も同紙を講読)をはじめ保守系言論人(百田尚樹さん、注④)、保守系国会議員に古田説支持が見られるようになりました(古田説すべての支持ではないが)。この変化は現代日本思想史のテーマでもあり、今後、どのようなメディアや人々が、どのような理由で古田説を支持・紹介するのか注目したいと思います。

(注)
①『そこまで言って委員会NP』(そこまでいっていいんかい エヌピー)は読売テレビのバラエティ番組。放送開始時は『たかじんのそこまで言って委員会』で司会を務めていたやしきたかじんの冠番組。没後の2015年に改題。
②竹田恒泰(たけだ・つねやす)氏は政治評論家・作家・実業家。旧皇族(竹田宮家)出身で、男系では北朝第三代崇光天皇の十九世、女系では明治天皇の玄孫。今上天皇の三従兄弟にあたる。
③門田隆将(かどた・りゅうしょう)氏はノンフィクション作家・ジャーナリスト。福島原発事故後の状況を現地で取材し、『死の淵を見た男 ―吉田昌郎と福島第一原発の五〇〇日―』(2012年)、『記者たちは海に向かった ―津波と放射能と福島民友新聞―』(2014年)を刊行。前書は2020年に映画化(Fukushima50)された。
④古賀達也「洛中洛外日記」1784話(2018/11/13)〝百田尚樹著『日本国紀』に「古田武彦・九州王朝」

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