肥沼孝治さん、
国分寺「古式」「新式」分類を発表
今回は古田史学の会・会員の活躍を報告させて頂きます。
多元的「国分寺」研究サークルを主宰されている所沢市の会員、肥沼孝治さんのブログ〝肥さんの夢ブログ〟2021年2月5日(金)で、〝塔を回廊内に建てた「古式」の国分寺からは、白鳳瓦が出土〟が発表されました。それは、七世紀建立の九州王朝の国分寺(国府寺)遺跡と8世以降に建立された大和朝廷の国分寺遺跡を遺構様式により分類するという研究報告と同全国分布図です。
同研究によれば、国分寺遺跡には「塔を回廊の内に置く古式の伽藍配置の国分寺」と「塔を回廊の外に置く新しい形式の伽藍配置の国分寺」の二種類があり、前者を九州王朝国分寺、後者を大和朝廷国分寺とされています。肥沼さんが色分け作図された日本全国分布図を見ると、九州島内と東山道諸国に「古式」が分布しているようです。九州王朝国分寺と大和朝廷国分寺の両遺跡が出土するケース(摂津、大和など)もあるようですから、今後の研究で、より精緻な分布図に発展するものと期待しています。以下、転載します。
http://koesan21.cocolog-nifty.com/dream/2021/02/post-5f740f.html?cid=143070320#comment-143070320&_ga=2.232995934.1759697888.1612656592-1648180619.1607160759
前に登場した「伊予国分寺と白鳳瓦」から、大きく分けて「古式」と「新式」の2種類があることを使わせてもらい、九州王朝の「国分寺」が7世紀半ばにはすでに存在し、その8世紀半ばになって741年の「国分寺建立の詔」(聖武天皇)が出され、その内容は「七重塔を加える」という意味であったことを確認したい。
●「塔を回廊の内に置く古式の伽藍配置の国分寺」 十八国
西海道―筑前国、筑後国、肥前国、豊後国、肥後国、薩摩国
南海道―伊予国、讃岐国、紀伊国
山陽道―備後国、備中国
山陰道―丹波国
畿内―なし
東海道―甲斐国、相模国、上総国、下総国
東山道―美濃国
北陸道―能登国
●「塔を回廊の外に置く新しい形式の伽藍配置の国分寺」 三十三国
西海道―なし
南海道―淡路国、阿波国、土佐国
山陽道―播磨国、美作国、備前国、安芸国、周防国、長門国
山陰道―丹後国、但馬国、因幡国、伯耆国、出雲国
畿内―山城国、大和国、河内国、和泉国
東海道―伊賀国、尾張国、三河国、遠江国、駿河国、伊豆国、武蔵国、常陸国
東山道―近江国、信濃国、上野国、下野国、陸奥国
北陸道―若狭国、佐渡国
※七世紀のものと、八世紀以降の国分寺式のものとに分裂している。
※七世紀の古式の伽藍配置の国分寺からは白鳳期、七世紀の瓦出土がある。
※美濃国分寺、甲斐国分寺、能登国分寺、備中国分寺から白鳳時代の古瓦が出土している。
※伊予国分寺も古式の伽藍配置で白鳳時代の古瓦が出土している。