2021年07月03日一覧

第2509話 2021/07/03

『多元』No.164の紹介

 昨日、友好団体「多元的古代研究会」の会紙『多元』No.164が届きました。拙稿「太宰府、「倭の五王」王都説の検証 ―大宰府政庁編年と都督の多元性―」を掲載していただきました。本年11月に、「倭の五王」をテーマとして開催される〝八王子セミナー〟に先だって、王都の所在に関する検討課題(考古学的事実の評価)明確化の一助として拙稿を執筆しました。セミナーにおいて研究や理解を深めることができれば幸いです。
 他には、野田利郎さん(古田史学の会・会員、姫路市)の「『隋書』の俀と倭」、服部静尚さん(古田史学の会・会員、八尾市)の「国生み神話の再検証」が掲載されており、関西の研究者の活躍が目立ちました。
 一面は、仙台市の広幡文さんの「万葉集を楽しむ 下」で、〝淡海は海か湖か〟という懐かしいテーマが論じられており、興味深く拝読しました。通説では琵琶湖のこととされている『万葉集』に見える淡海について、琵琶湖ではなく海であるとする説は木村賢司さんが「夕波千鳥」(『古田史学会報』38号、2000年6月)で既に発表されていますが、広幡さんも『万葉集』の史料批判により、湖ではないとされました。複数の視点や論証方法により、同じ結論へと到達したわけですから、淡海≠湖(琵琶湖)説は更に有力となったようです。