『東京古田会ニュース』No.200の紹介
『東京古田会ニュース』200号が届きました。今号は拙稿「年輪年代測定『百年の誤り』説 ―鷲崎弘朋説への異論―」を掲載していただきました。奈良文化財研究所による年輪年代測定は西暦640年以前のヒノキ標準パターンが百年間違っているとする鷲崎弘朋説に対して、法隆寺五重塔心柱(594年)と前期難波宮水利施設出土の木枠(634年)の両伐採年については妥当とする異論を発表したものです。また、「洛中洛外日記」2529話(2021/08/02)〝『東京古田会ニュース』No.199の紹介〟も転載していただきました。有り難いことです。
同号に掲載された吉村八洲男さん(上田市)の論稿「『真田の鉄』発見記 その①」は、フィールドワークと顕微鏡観察に基づいた、なかなかの力作でした。吉村稿によれば、従来、長野県上田市真田町には鉄に関連した遺跡や史料は皆無とされてきましたが、真田町傍陽(そえひ)地区に製鉄に関する伝承があることを知った吉村さんは、同地を調査され、鉄滓・炉壁・鉱石を発見されました。その経緯や分析結果が報告されています。文献史学や考古学とは少し違った分野での新発見でもあり、続編が楽しみです。
なお、200号という記念すべき当号の発行にあたり、一面には田中巌会長のご挨拶が掲載されています。会紙を200号まで続けるということは大変な努力の積み重ねの結果であり、東京古田会を支えてこられた先人や現役員の皆様に改めて敬意を表します。