関西例会一覧

第455話 2012/08/12

「史蹟百選・九州篇」の検討

 突然の豪雨や雷で、JR環状線などが止まる中、昨日、関西例会が行われました。

 竹村さんからは、ミネルヴァ書房より発行予定の「古田史学による史蹟ガイド・九州編」(仮称)の企画案が報告されました。おかげで、同ガイドのイメージが一層明確になりました。もちろん、単なる「観光ガイド」ではなく、読んだ人が行きたくなり、古田史学・多元史観の勉強も同時にできるという、そんな切り口の遺跡ガイドになればと思っています。まずは、役員で手分けして古田史学にとって重要な九州の100箇所をピックアップしていきます。ご期待ください。

8月例会の報告テーマは次の通りでした。

〔8月度関西例会の内容〕
1). 日本書紀の「難波」(豊中市・木村賢司)
2). 「□妻倭国所布評大野里」木簡(向日市・西村秀己)
3). 古田武彦著作で綴る史蹟百選・九州篇(木津川市・竹村順弘)
4). 太宰府「戸籍」木簡と大宝二年「嶋郡川辺里戸籍」(京都市・古賀達也)
5). 高砂と筑紫の「神松」「山ほめ祭」(川西市・正木裕)
6). 「皮留久佐乃皮斯米之刀斯(はるくさのはじめのとし)」木簡の「春草」とは(川西市・正木裕)
7). 杜甫の「鬼」(豊中市・木村賢司)
○水野代表報告(奈良市・水野孝夫)
古田先生近況・ミネルヴァ『壬申大乱』出版・『大日本古文書』「大宝二年嶋郡川辺里戸籍」の確認・会務報告・後藤聡一『邪馬台国・近江説』を読む・その他


第446話 2012/07/22

九州王朝の文字史料

昨日の関西例会では、正木裕さんから近年発見された九州王朝にかかわる金石文や木簡の文字史料などの研究成果がまとめて発表されました。「元壬子年」木簡、韓国出土「ナニワ連公」木簡、元岡古墳出土「四寅剣」、韓国の前方後円墳などです。
さらに『日本書紀』大化二年や白雉三年条に見える造籍記事を50年後の九州年号・大化二年や大化八年のことであったとする仮説を発表されました。
わたしも、奈良文化財研究所の木簡データベースによる元岡遺跡や飛鳥池出土木簡の調査結果を報告しました。
7月例会の報告テーマは次の通りでした。

〔7月度関西例会の内容〕
1). 安彦氏の記念講演を聞いて(豊中市・木村賢司)
2). 第24回愛知サマーセミナー2012in「古田武彦講演会」を聴講・ほか(豊中市・木村賢司)
3). 「自女王国以北」の国々(姫路市・野田利郎)
4). 最近の考古学的発見と『日本書紀』(川西市・正木裕)
5). 大宰府「戸籍」木簡と飛鳥「天皇・皇子」木簡(京都市・古賀達也)

○水野代表報告(奈良市・水野孝夫)
古田先生近況・倭人伝「持兵守衛女王国」について・会務報告・多元的古代研究会の難波宮見学ツアー・日羅の碑・平安時代の緑釉瓦・その他


第428話 2012/06/19

「戸籍」木簡、現地説明会の報告

台風4号の接近でJR北陸本線特急列車が運休となり京都に帰れません。急遽、福井市で一泊することにしました。そんなわけで、今日は福井駅前のホテルで書いています。明日は朝から大阪で仕事がありますので、列車が動くのか、間に合うのか心配です。
17日には大阪市中之島の府立大学サテライト校舎をお借りして、古田史学の会・会員総会と記念講演会を開催しました。午前中は関西例会が行われ、発表テーマは下記の通りでした。
関西例会では、その前日16日の太宰府市出土「戸籍」木簡の現地説明会に、古田先生とともに参加された大下さんより報告がなされました。本当にタイムリーな最新の報告で、大変勉強になりました。
大下さんの報告によれば、出土した木簡は13点で、その中の一枚が注目されている「戸籍」木簡です。出土場所は大宰府政庁の北西1.2kmの地点で、国 分寺跡と国分尼寺跡の間を流れていた川の堆積層で、その堆積層の上の部分から出土した木簡には「天平十一年十一月」(739年)の紀年が記されており、評 制の時期(650年頃~700年)から少なくとも天平十一年までの木簡が出土したことになりそうです。なお、この「天平十一年」木簡のみが広葉樹で、他の 12枚は針葉樹だそうです。
この他にも貴重な興味深い報告がなされました。今後、考察を含めて紹介することにします。
記念講演会では、東京古田会(古田武彦と古代史を研究する会)の安彦さんにおこしいただき、和田家文書研究の最新成果を発表していただきました。関西例会ではなかなか聞く機会がない貴重な研究でした。
わたしからは、当初予定していたテーマに換えて、太宰府出土「戸籍」木簡について、大宝二年戸籍との比較考察を報告しました。

〔6月度関西例会の内容〕
1). 拓本文字データベース(木津川市・竹村順弘)
2). 大祚栄と粛慎(木津川市・竹村順弘)
3). 太宰府の木簡(豊中市・大下隆司)

○水野代表報告(奈良市・水野孝夫)
古田先生近況・会務報告・「三国志」版本研究の調査・藤田友治著『ゼロからの古代史事典』紹介・古代寺院と瓦の研究・その他

〔会員総会記念講演会〕
○安彦克己さん
『和田家文書』の安日彦、長髄彦
-秋田孝季は何故叙述を間違えたか-
○古賀達也
文字史料から見える九州王朝
-太宰府出土「戸籍」木簡の考察-


第415話 2012/05/20

碾磑と水碓

 昨日の関西例会では、大下さんから碾磑(てんがい)と水碓(みずうす)についての研究発表がありました。これは正木さん による観世音寺の碾磑についての発見に触発されたものです。大下さんによれば、碾磑と水碓とは異なり、「日本書紀」天智10年(670)「是歳」条は「水 碓」であり、観世音寺に現存する「碾磑」とは別物とされました。
 その上で、「日本書紀」推古18年条(610)に見える「碾磑」が観世音寺に現存するものではないかとされ、観世音寺の創建年は610年頃とする見解を発表されました。
 これに対して正木さんは、「日本書紀」編纂時には碾磑と水碓が同じものと認識されていたと反論されました。今後の研究の展開が楽しみです。
 5月例会の内容は次の通りでした。

〔5月度関西例会の内容〕
1). 伊勢松阪の住人(豊中市・木村賢司)
2).台湾旅行・他(豊中市・木村賢司)
3).倭人字磚の倭人同盟(木津川市・竹村順弘)
4).漢書地理志の倭人と東てい(魚是)人(木津川市・竹村順弘)
5).黒歯常之と黒歯国(木津川市・竹村順弘)
6).『三角縁神獣鏡研究事典』(京都市・岡下英男)
7).接頭語「い」(明石市・不二井伸平)
8).豊受大神の探索(大阪市・西井健一郎)
9).碾磑と水碓 観世音寺創建は610年代(豊中市・大下隆司)
10).任那(百済南西部)の百済への割譲と九州王朝(川西市・正木裕)

○水野代表報告(奈良市・水野孝夫)
古田先生近況・会務報告・「三国志」版本研究の調査・「国分寺」九州王朝創建説・その他


第406話 2012/04/21

古田先生緊急入院と退院

 4月14日、古田先生が体調不良で緊急入院され大変心配していましたが、19日には無事退院されました。先生も今年8月8日で86歳になられますから、無理をなさらずお身体を大切にしていただきたいと願っています。とはいえ、今も精力的に執筆や研究をされておられますので、やはり心配です。
 本日、関西例会が開催され盛況でした。池上さんは初めての発表でした。池上さんに続いて例会デビューされる人が出ることを期待しています。
 正木さんの発表では、「磐井の乱」も「継体の反乱」もなかったとする最新の古田説に対して、参加者から様々な意見が飛び交いましたが、結論には至りませんでした。同じく正木さんの、謡曲「老松」を九州王朝の舞楽から発生したものとする説は興味深いものでした。会報での発表が待たれます。
 今回はスイス在住の方の例会初参加もありました。
 発表内容は次の通りでした。

〔4月度関西例会の内容〕
1). 道楽三昧・余録「楽しい徒労」(豊中市・木村賢司)
2). 故・林会長の「東海の古代」を冊子化・他(豊中市・木村賢司)
3). 百済と倭の位置(木津川市・竹村順弘)
4). 『日本書紀私記・丁本』に見る「日本」(相模原市・冨川ケイ子)
5). 神功皇后紀中の魏、晋へ貢献した倭国又は倭についての考察(高槻市・池上正道)
6). 『書紀』磐井の乱の盗用手法と『古事記』『筑後国風土記』(川西市・正木裕)
7). 九州王朝と松(川西市・正木裕)

○水野代表報告(奈良市・水野孝夫)
古田先生近況・古田史学キーワード辞典・会務報告・テレビ帝塚山大学市民講座・曹操の別荘の所在地と短里(青木英利説の紹介)・その他
○関西例会会計報告(豊中市・大下隆司)


第396話 2012/03/18

史料批判の基本「大局観」

 昨日の関西例会でも活発な質疑応答がなされました。わたしもなるべく発言するよう心がけているのですが、岡下さんの発表「隅田八幡神社人物画像鏡の銘文」に関しては難しくて黙り込んでしまいました。
 隅田八幡神社人物画像鏡が国産で、「日本書紀」神功紀四六年条に見える「斯摩宿禰」が大王年に贈ったとする説を岡下さんは発表されたのですが、神功紀や鏡の編年、銘文解釈について活発な質疑が行われました。しかし、わたしにはどうしても腑に落ちない課題があり、最後まで発言できませんでした。
 それは、この鏡の大局的な位置づけがわからなかったからです。歴史学において、取り扱う史料の性格や大局的な位置づけを明らかにするという、史料批判に おける最初に取り組むべき課題・作業があります。たとえば、古事記や日本書紀は近畿天皇家が近畿天皇家のために作成した「勝者自らの史書」という史料性格 と大局的位置づけが明確なため、歴史研究に使用する場合も、天皇家にとって都合よく編纂されていという視点で読むことになります。
 これと同様に隅田八幡神社人物画像鏡でも大局的位置づけが必要なのですが、百済王から倭王(日十大王年)に贈られたとする説に対して、岡下さんが指摘されたように、国家間の贈答品にしては鏡の出来が悪いという「史料事実」から、見直しが迫られているのです。このため、岡下さんは国産説を採られ、臣下から倭王への献上品とされたのですが、この鏡の出来の悪さが、国内献上説をも否定してしまうのです。国産の献上品であれば粗悪な鏡でもかまわないとはならないからです。
 こうしたことから、わたしにはこの鏡の大局的位置づけ、すなわち「出来の悪さ」と銘文解釈の双方をうまく説明できる仮説を提起できなかったのです。たとえば、百済王から倭国王への贈答品の質の良い鏡が別に存在していて、そのレプリカがこの人物画像鏡だったのではないかなどの作業仮説も浮かびましたが、確信を持てるまでには至りませんでした。
 これからも考え続けたいと思います。なお、関西例会の発表は次の通りでした。

〔3月度関西例会の内容〕
(1) 「古田史学キーワード辞典」の作成協力者を求む(豊中市・木村賢司)
(2) 学校の先生の教育をする自由(豊中市・木村賢司)
(3) 「古代史・道楽三昧」第五号の発行(豊中市・木村賢司)
(4) 主格助詞「イ」(明石市・不二井伸平)
(5) 円仁と張保皋(木津川市・竹村順弘)
(6) 石棺と装飾古墳(木津川市・竹村順弘)
(7) 隅田八幡神社人物画像鏡の銘文(その4)(京都市・岡下英男)
(8) 「継体」年号前後(相模原市・冨川ケイ子)
(9) 守君大石の正体と小郡なる飛鳥の宮(川西市・正木裕)
(10)卑しめられた蘇我馬子(川西市・正木裕)

○水野代表報告(奈良市・水野孝夫)
会員寄贈著書紹介(寺本躬久著「いのちの風景」)・古田先生近況・会誌「古代に真実を求めて」15集編集状況・会務報告・関西例会担当者交代(新担当:竹村順弘)・東野治之「百済人祢軍墓誌の『日本』」はおかしい・その他


第385話 2012/02/18

前期難波宮九州王朝副都説への批判

 今朝、京都は珍しく積雪でした。幸い大阪は晴れて、関西例会も盛会でした。初めての参加者も二名ほどおられ、研究発表も目白押しでした。
 今回の例会では大下さんから私の前期難波宮九州王朝副都説への考古学的な批判が寄せられ、大変刺激を受けました。会報での発表が待たれます。
 正木さんからは『聖徳太子傳記』の九州王朝系史料の説明があり、興味深い研究でした。例会発表のテーマは次の通りでした。

〔2月度関西例会の内容〕
1). 「積み重ねと一発逆転」他 近時雑文(豊中市・木村賢司)
2). 主語、ときどき主格(明石市・不二井伸平)
3). ネットサーフィン(明石市・不二井伸平)
4). 饒速日と物部守屋(木津川市・竹村順弘)
5). 間宮論文の引用記事(木津川市・竹村順弘)
6). 土石流と藤原京(木津川市・竹村順弘)
7). 富雄丸山古墳の被葬者(木津川市・竹村順弘)
8). 紀年の記年換算(木津川市・竹村順弘)
9). 「熊曾国」が教える九州王朝の統治域(大阪市・西井健一郎)
10).「倭人の国」はどこに(相模原市・冨川ケイ子)
11).茨城県の横穴墓から出土した正倉院宝物と同形の金具(相模原市・冨川ケイ子)
12).『聖徳太子傳記』の「歳序次第」(川西市・正木裕)
13).会報掲載「前期難波宮の考古学」について(豊中市・大下隆司)

〔代表報告〕
○会務報告・古田先生近況・赤穂、明石の地名について・興福寺南大門遺跡の地鎮具とその意義・丙子椒林剣と四天王像・その他


第378話 2012/01/22

隅田八幡人物画像鏡の品質

一昨日の関西例会では新年の幕開けにふさわしい、優れた研究報告がなされました。中でもわたしが特に感心したのが、岡下さんの隅田八幡人物画像鏡に関する報告でした。
岡下さんは以前にも同画像鏡に関する報告をされていて、鏡の出来が良くないとされ、百済王からの贈答品ではないのではないかとの見解を示されていました。それに対して、わたしは隅田八幡人物画像鏡の出来は悪くないと反論していました。
ところが岡下さんはその批判に負けることなく、隅田八幡人物画像鏡と他の人物画像鏡の比較写真などを提示され、その製造方法の違いや画像や文字の稚拙さ を具体的に指摘されたのです。この実証的な再反論は見事なもので、わたしも認識を改めざるを得ませんでした。
もちろん、百済王から倭王へ送られたということに関しては、岡下さんとは見解が異なりますが、「銘文解釈は鏡の出来の悪さも説明できるものでなければな らない」という岡下さんの主張は、なるほどその通りだと思いました。この鏡について、より深く検討することをせまられた、岡下さんの発表でした。
このように、関西例会での厳しい論争のやりとりは、大変勉強になるもので、学問的にも有意義なものです。岡下さんには発表後に、お礼を述べました。なお、例会では下記の報告がなされました。

〔1月度関西例会の内容〕
1). 前倒し、先送り(豊中市・木村賢司)
2). 浅読み、深読み(豊中市・木村賢司)
3). 追従(服従)、反発(抵抗)(豊中市・木村賢司)
4). 鮮卑族に連れ去られた倭人たち(続)(相模原市・冨川ケイ子)
5). 和田家文書の邪馬台国(木津川市・竹村順弘)
6). 『書紀』継体紀、磐井の乱と近江毛野臣記事(川西市・正木裕)
7). 隅田八幡神社人物画像鏡の銘文(その3)(京都市・岡下英男)
8). 大安寺伽藍縁起の天皇名(木津川市・竹村順弘)
9). 元興寺伽藍縁起の天皇名(木津川市・竹村順弘)
10). 和田家文書と北魏(木津川市・竹村順弘)

〔代表報告〕
○会務報告・古田先生近況・賀詞交換会での古田講演の概説・唐招堤寺へ初詣・市民講座「ここまでわかった紫香楽宮」・その他


第366話 2011/12/29

2012年新年賀詞交換会のご案内

新年の1月14日(土)に、恒例の「古田史学の会」新年賀詞交換会を古田先生をお招きして開催します。開会は午後1:30から、会場は「大阪市立市民交流センターひがしよどがわ」で、新大阪駅の近くです。
冒頭、水野代表や地域の会、友好団体からの参加者のご挨拶の後、古田先生よりご挨拶と講演をしていただくことになっています。ふるってご参加下さい。講 演終了後は懇親会(人数に制限があります。当日会場にてお申し込み下さい)も開催します。
『「九州年号」の研究』が上梓されたことは既にご紹介しましたが、「古田史学の会」2011年度会員には一冊進呈することになっています。幸い、ミネル ヴァ書房様から発送作業のご協力をいただき、会員の皆様には届き始めていることと思います。お正月にゆっくりとお読みいただければ幸いです。
各地の図書館で購入希望図書受付制度があれば、是非申し込みをお願いします。九州年号と九州王朝の存在を全国の歴史ファンに知らせたいと願っています。ご協力のほど、お願いいたします。


第363話 2011/12/18

『「九州年号」の研究』を上梓

 ミネルヴァ書房より、できたばかりの『「九州年号」の研究 — 近畿天皇家以前の古代史』が送られてきました。著者への贈呈分として一足早く届いたようですが、これから書店に並ぶことと思います。「古田史学の会」会員の皆さんには2011年度会員サービスとして進呈されま す。会員のお手元に届くのは順次発送作業を進めるため、年明けの2月以降になると思います。しばらくお待ち下さい。
 昨日の関西例会では、百済人祢軍墓誌について竹村さんや水野さんから報告があり、活発な討論が交わされました。当然のことではありますが、まだまだ結論は出そうにありませんでした。古田先生もこれから検討に入られると思いますので、引き続き研究テーマとして例会での検討が期待されます。
 冨川さんからは、鮮卑族に捕らえられた倭人の記事が後漢書に見えることを紹介されました。今後の研究の深化が待たれます。
 12月例会の内容は次の通りでした。その後の懇親会は忘年会と『「九州年号」の研究』出版祝いも兼ねて、盛り上がりました。

〔12月度関西例会〕
(1) オフレコ(ここだけの内緒話)(豊中市・木村賢司)
(2) 鮮卑族に連れ去られた倭人たち(横浜市・冨川ケイ子)
(3) 上柱國百済禰軍の位階(木津川市・竹村順弘)
(4) 日本書紀の蓋鹵王と武寧王(木津川市・竹村順弘)
(5) 継体紀における百済本記(木津川市・竹村順弘)
(6) 万葉3234番歌の「伊勢」批判(川西市・正木裕)
(7) 記紀の干支日(木津川市・竹村順弘)

○代表報告(奈良市・水野孝夫)
古田先生近況・会務報告・園城寺の白鳳年号・百済祢軍墓誌の追跡・他。


第344話 2011/10/22

東アジアの古代象嵌銘文大刀

 10月15日の関西例会も盛沢山の発表で、充実した一日となりました。中でも、正木さんからの四寅剣に関する解説はとても勉強になりました。その時に紹介された西山要一氏の論文「東アジアの古代象嵌銘文大刀」は中国や朝鮮半島、日本の古代象嵌大刀を詳細に調査報告されたもので、優れた研究業績と思われました。同論文はインターネットでも閲覧が可能ですので、是非御覧になられることをお奨めします。
 大下さんの発表は、7世紀以前の大阪上町台地には「難波」地名はなかったというもので、前期難波宮の創建を天武期とされるものです。この問題については質疑応答や討論が行われました。大下さんは会報でも発表予定ですので、活発な論争が期待されます。
 当日の発表は次の通りでした。

〔古田史学の会・10月度関西例会の内容〕
○研究発表
1). 反省 ミリアムは二人いた(向日市・西村秀己)
2). 住吉の大神は和珥氏の小戸航海神(大阪市・西井健一郎)
3). 呉寿夢の後裔氏族(木津川市・竹村順弘)
4). 最後の法隆寺見学(豊中市・木村賢司)
5). 元岡古墳群G6号古墳から発掘された鉄剣(刀)について(川西市・正木裕)
6). 小郡飛鳥説からの天智十年十二月の童謡の解釈(川西市・正木裕)
7). 古代大阪湾の新しい地図(難波の地名)(豊中市・大下隆司)
8). 二中歴都督歴と年代歴元稿(木津川市・竹村順弘)
9). 二中歴都督歴と公卿補任(木津川市・竹村順弘)
○水野代表報告(奈良市・水野孝夫)
古田氏近況・会務報告・法隆寺見学「戊子年銘釈迦三尊像」・磐船神社から富雄真弓塚探訪・『先代旧事本紀大成経』・他(奈良市・水野孝夫)

第338話 2011/09/24

公卿補任のONライン

 9月17日の関西例会で、竹村さんが公卿補任(くぎょうぶにん)の調査結果を報告されました。公卿補任は近畿天皇家の歴代の職員録で従三位以上が記されています。著者や成立年代は不明とのことですが、そこに記された739年まで年別の登録人員数の集計をされました。
その結果、701年を境に人数が増えるという現象を発見されたのです。そしてその原因として、701年以降になって近畿天皇家は自らの官僚名を正確に記し、それ以前の九州王朝の官僚は記されていないため、人数が少ないのではないかとされました。正に王朝交代の画期点である701年(ONライン)が公卿補任にも反映している可能性を指摘されたのです。大変優れた調査結果と考察だと感心しました。
 竹村さんには、公卿補任だけでなく、例えば『二中歴』の「都督歴」なども調査されるよう要請しました。このところ、竹村さんの研究発表には刺激されることが多く、毎月の例会が楽しみです。
 奈良市の原さんからも久しぶりに発表があり、当麻寺の中将姫伝説などを教えていただきました。
当日の発表は次の通りでした。
 
〔古田史学の会・9月度関西例会の内容〕
○研究発表
1). 『俾弥呼』を読む(向日市・西村秀己)
2). 青木さんからの手紙(豊中市・木村賢司)
3). 「論争のすすめ」(会報105号)について(豊中市・大下隆司)
4). 公卿補任の大宰帥(木津川市・竹村順弘)
5). 大宰帥の家系図(木津川市・竹村順弘)
6). 当麻寺の曼陀羅由来・他(奈良市・原幸子)
7). 久留米・太宰府地名研究会講演会の報告(川西市・正木裕)
 
○水野代表報告(奈良市・水野孝夫)
古田氏近況・会務報告・住吉神社研究・他(奈良市・水野孝夫)