古田史学の会一覧

第2340話 2021/01/05

1月16日(土) 新春古代史講演会のご案内済み

 既にお知らせしていますように、来る1月16日(土)に新春古代史講演会を開催します。本年は、古田武彦著『「邪馬台国」はなかった』発刊から50周年を記念して、同書によせた講演三題をお届けします。古田先生が提唱された邪馬壹国説における最新研究を「古田史学の会」の研究者3名が発表します。

 わたしからは、倭人伝に記された倭国の二倍年暦が古代戸籍(大宝二年籍)にまで影響が及んでいることを報告させていただきます。正木裕さん(古田史学の会・事務局長、大阪府立大学講師)からは、邪馬壹国博多湾岸説を証明する最新の考古学的成果などが紹介されます。谷本茂さん(古田史学の会・会員)からは、「古田史学の会」関西例会でも注目され論争にもなった投馬国・狗奴国に関する新説が発表されます。
 昨年から続くコロナ禍の中での講演会ですが、広い会場を使用して三密を回避し、手指の消毒・マスク着用の要請などの対策をとります。お誘い合わせの上、ご参加いただきますようお願い申し上げます。なお、コロナの影響により緊急中止の恐れもありますので、ホームページにご注意いただきますようお願い申し上げます。

 古田史学の会 令和三年新春古代史講演会
 ~『「邪馬台国」はなかった』発刊50周年によせて~

□日時 1月16日(土) 13:30~17:00 (開場13時)

□会場 I-site なんば 大阪府立大学なんばサテライト
〔アクセス〕
○地下鉄大国町駅(御堂筋線・四つ橋線)1号出口より東約450m 徒歩7分
○南海電鉄難波駅なんばパークス方面出口より南約800m 徒歩12分
○地下鉄なんば駅(御堂筋線)5号出口より南約1,000m 徒歩15分

□参加費(資料代) 千円 ※午前中の「古田史学の会」関西例会にも参加できます。

□主催:古田史学の会 協力:古代大和史研究会 誰も知らなかった古代史の会 和泉史談会 市民古代史の会・京都 市民古代史の会・八尾

□講師と演題
 谷本 茂 「道行読法」と投馬国・狗奴国の位置
 正木 裕 改めて確認された「博多湾岸邪馬壹国説」
 古賀達也 古代戸籍に見える二倍年暦の痕跡


第2334話 2020/12/30

『多元』No.161の紹介

 先日、友好団体「多元的古代研究会」の会紙『多元』No.161が届きました。拙稿「アマビエ伝承と九州王朝」を掲載していただきました。コロナ禍の中、注目されたアマビエ伝承と九州王朝との関係について論じたものです。
 肥後の海に現れたとする「アマビエ」の元々の名前は「アマビコ」であり、「コ」が「ユ」と誤記誤伝され「アマビユ」になり、更に「ユ」が「エ」と誤記誤伝され「アマビエ」になったと考え、本来は肥後の古代伝承にある「蜑(アマ)の長者」のことではないかとしました。もちろん、この「蜑の長者」とは九州王朝の王族のことです(注)。
 当号には、大墨伸明さん(鎌倉市)による「古田武彦記念古代史セミナー2020の開催報告」が掲載されていました。本年11月に開催された同セミナーの報告が要領良くなされています。わたしは古代戸籍に遺る二倍年暦(二倍年齢)の痕跡について報告しましたが、発表時間が30分と短かったので、A4で20頁に及んだ予稿集の内容全てを説明することができませんでした。新年になりましたら、「洛中洛外日記」で拙論の論理構造と学問の方法に焦点を当てて、わかりやすく解説したいと思います。

(注)「洛中洛外日記」2212~2215話(2020/08/24~27)「アマビエ伝承と九州王朝(1~4)」


第2327話 2020/12/19

ハイブリット型リモート例会のテスト実施

 本日、ドーンセンターにて「古田史学の会」関西例会が開催されました。次回は01/16(土)に関西例会(午前)と新春古代史講演会(午後)をi-siteなんば(大阪府立大学なんばサテライト 2F)で開催します。参加費は終日でも1,000円です。ふるってご参加下さい。広めの会場を確保し、コロナ対策は従来通り実施します。

 今回の例会では、久冨直子さん(『古代に真実を求めて』編集部)の企画立案に基づき、多くの機材を会場に持ち込んで、Zoomシステムによるハイブリット型(会場参加+リモート参加)例会のテストを実施しました。持ち込んだ主な機材は、パソコン4台・撮影用カメラ3台・高性能集音マイク2基・Zoom画面映写用プロジェクター・レジュメPDF化用スキャナー・端末切り替えスイッチャーなどで、10時からの例会に間に合うよう、早朝から機材を搬入しました。このシステム選定にあたっては、11月に開催された八王子セミナー(古田武彦記念古代史セミナー2020)のハイブリッド型システムを参考にさせていただきました。
 ハウリングなど若干の音響トラブルが発生しましたが、全般的には好調な滑り出しでした。機器・システムの運転管理をしていただいた竹村順弘さん(古田史学の会・事務局次長)と久冨さん、関東からリモートテストに参加された冨川ケイ子さん(古田史学の会・全国世話人)をはじめ、会場でのリモート参加テストをしていただいた茂山憲史さん(『古代に真実を求めて』編集部)他、ご協力頂いた皆さん、ならびに機材を持ち寄っていただいた方々に御礼申し上げます。
 今回得た知見に基づき、引き続きテストを実施する予定です。ハード面での安定したシステム構築ができましたら、関西例会リモート参加費・同規定などの運用面の検討を行います。必要経費(ランニングコスト)については、関西例会参加者からの参加費により賄えるとのことです。いよいよ、わたしたち「古田史学の会」も新たなステージに立つ時代を迎えました。全国の会員の皆様のご支援をお願い申し上げます。

 今回の例会発表は次の通りでした。なお、発表者はレジュメを40部作成されるようお願いします。発表希望者は西村秀己さんにメール(携帯電話アドレス)か電話で発表申請を行ってください。

〔12月度関西例会の内容〕
①十二年後差説による九州王朝系近江朝(たつの市・日野智貴)
②倭姫王と額田王(茨木市・満田正賢)
③大陸棚地の移住民(大山崎町・大原重雄)
④大化年号の検討 野中寺彌勒菩薩像を見て(八尾市・服部静尚)
⑤飛鳥から国が始まったのか(八尾市・服部静尚)
⑥トカラ記事と「驛」記事(東大阪市・萩野秀公)
⑦「鬼滅の刃」と九州王朝(京都市・古賀達也)
⑧法隆寺金堂「薬師如来坐像」は利歌彌多弗利の為に造立された(川西市・正木 裕)

◎事務局長報告(正木事務局長)
関西各地の講演会の案内

◆「古田史学の会」関西例会(第三土曜日) 参加費1,000円(「三密」回避に大部屋使用のため)
 01/16(土) 10:00~12:00 会場:i-siteなんば ※午後は新春古代史講演会
02/20(土) 10:00~17:00 会場:福島区民センター(※参加費500円)

◆新春古代史講演会 2021年1月16日(土) 13:30~17:00 (受付開始13:00) 会場:i-siteなんば(大阪府立大学なんばキャンパス) 参加費1,000円 ※午前は関西例会。午前・午後通しの参加費も1,000円です。
 ①「道行き読法」と投馬国・狗奴国の位置〈仮題〉
  講師:谷本 茂さん(古田史学の会・会員)
 ②裏付けられた「邪馬壹国の中心は博多湾岸」〈仮題〉
  講師:正木 裕さん(古田史学の会・事務局長、大阪府立大学講師)
 ③古代戸籍に遺された二倍年暦の痕跡 ―『大宝二年籍』『延喜二年籍』の史料批判―〈仮題〉
  講師:古賀達也(古田史学の会・代表)

《各講演会・研究会のご案内》
◆「市民古代史の会・京都」講演会 会場:キャンパスプラザ京都 参加費500円
 12/22(火) 18:30~20:00 「古代戸籍に記された超・長寿社会の謎 ―『大宝二年籍』『延喜二年籍』の真相―」 講師:古賀達也

◆「古代大和史研究会」講演会(原 幸子代表) 参加費500円
 12/22(火) 10:00~12:00 会場:奈良県立図書情報館交流ホールBC室
    「多利思北孤の時代⑤」 講師:正木 裕さん

◆「古代史講演会in八尾」 会場:八尾市文化会館プリズムホール 参加費500円
 01/09(土) 14:00~16:30 「白村江での敗戦と唐からやってきた進駐軍」「筑紫都督府と壬申の乱」 講師:服部静尚さん
 03/13(土) 14:00~16:30 「天皇と三種の神器」「王朝交代」 講師:服部静尚さん

◆「和泉史談会」講演会 会場:和泉市コミュニティーセンター(中集会室)
 01/12(火) 14:00~16:00 「河内・和泉の大王と丁未の乱」 講師:正木 裕さん

◆誰も知らなかった古代史の会 会場:福島区民センター 参加費500円
 02/02(火) 18:30~20:00 「未定」


第2322話 2020/12/15

『古田史学会報』161号の紹介

 昨日、『古田史学会報』161号が届きましたので紹介します。わたしは「王朝交替のキーパーソン「天智天皇」 ―鹿児島の天智と千葉の大友皇子―」を発表しましたが、今回も力作がそろいました。また、編集部で採否や修正の意見が従来になくたくさん出されました。採用審査が厳しい『古田史学会報』ではありますが、そうしたハードルを越えて掲載された論稿に、各執筆者の熱意を感じました。

 一面を飾った野田稿は関西例会で発表されたテーマで、従来の古田説(倭人伝行程問題)にはなかった貴重な異見提起が含まれており、別途、紹介論述したいと考えています。

 服部稿も関西例会で発表されたものです。『日本書紀』に見える「称制」に的を絞り、近年、「古田史学の会」の論者間で研究課題となっている、九州王朝から大和朝廷への王朝交替の実態を、骨太な視点で論じたものです。今後の詳細な論究が期待されます。

 正木さんによる九州王朝史の連載も多利思北孤の時代に入っており、連載完了時には通史として書籍化が期待されます。

 161号に掲載された論稿は次の通りです。投稿される方は字数制限(400字詰め原稿用紙15枚程度)に配慮され、テーマを絞り込んだ簡潔な原稿とされるようお願いします。

【『古田史学会報』161号の内容】
○女王国論 姫路市 野田利郎
○新春古代史講演会のお知らせ 2021年1月16日 i-siteなんば 2F
講師 谷本茂さん・正木裕さん・古賀達也
○称制とは何か 八尾市 服部静尚
○王朝交替のキーパーソン「天智天皇」 ―鹿児島の天智と千葉の大友皇子― 京都市 古賀達也
○戦後史学は「神武天皇実在説」にどう反応したのか たつの市 日野智貴
○「壹」から始める古田史学・二十七
多利思北孤の時代Ⅳ ―多元史観で見直す「蘇我・物部戦争(丁未の乱)」― 古田史学の会・事務局長 正木 裕
○『古田史学会報』原稿募集
○史跡めぐりハイキング 古田史学の会・関西
○古田史学の会・関西例会のご案内
○各種講演会のお知らせ
○2020年度会費納入のお願い
○編集後記 西村秀己


第2319話 2020/12/13

リモート会議のテスト

 昨晩、Zoomシステムを使用して、「古田史学の会」の役員・編集部員有志によるリモート会議のテストを実施しました。久冨直子さん(『古代に真実を求めて』編集部)のご提案と準備によるもので、「古田史学の会」としては初めての試みでしたが、大きなトラブルもなく、わりとスムーズに行えました。わたしは仕事でTeamsを使ったことはあるのですが、Zoomは初めてで若干不安でしたが、画像が左右反転していたことを除けば、画質も音質も問題ありませんでした。
 このシステムは「古田史学の会」役員会や四役会議にも使えそうです。今まで、「古田史学の会」の運営や意思決定のために、役員会は関西例会の会場でお昼休みに開催していました(例会に参加されている一般の会員もおられる中でのオープンな会議です)。コロナ禍のため、関西例会が開けなくなったときは、役員会も開催できず困っていましたが、これからはリモート会議で緊急時の対応ができそうです。
 わたしはZoomにまだ不慣れですので、皆さんに教えていただきながら参加します。将来的には古田史学の発信などにも使用できればと期待しています。準備にご尽力いただいた久冨さんや正木事務局長、横田さん(インターネット事務局)、テストにご参加いただいた方々に御礼申し上げます。


第2305話 2020/11/30

『東京古田会ニュース』195号の紹介

 本日、『東京古田会ニュース』195号が届きました。同号には拙稿〝「二倍年暦」と「二倍年齢」の歴史学 ―周代の百歳と漢代の五十歳―〟を掲載していただきました。同稿では、中国周代の「百歳」記事と漢代の「五十歳」記事を紹介し、周代の長寿「百歳」と漢代の長寿「五十歳」という、ちょうど二倍になる認識の存在は二倍年暦(二倍年齢)仮説でなければ説明困難としました。
 同号冒頭には田中巌さん(東京古田会・会長)による「会長独言 郷土史の掘り起こしから」があり、地元千葉県佐倉市の農民一揆や義民伝承について報告されていました。わたしの七代前のご先祖、古賀勘右衛門(浮羽郡西溝尻村庄屋)が江戸時代屈指の百姓一揆(久留米藩宝暦一揆)のリーダーであったこともあり、関心を持って読みました。宝暦一揆については、「古田史学の会」HPに拙稿「久留米藩宝暦一揆の庄屋たち 西溝尻村庄屋六郎左衛門と百姓勘右衛門」(『古田史学会報』66号、2005年2月)が掲載されていますので、ご覧いただければ幸いです。


第2304話 2020/11/29

『古代に真実を求めて』24集の巻頭言

 本日、ようやく『古代に真実を求めて』24集の巻頭言を書き終えました。これまでになく、今回は巻頭言に苦しみました。というのも、谷本茂さん(古田史学の会・会員、神戸市)からいただいた「巻頭論文」があまりにも立派で、それに見合う巻頭言となると、今までとは全く異なるものにしなければならないと、この半月ほど悩みに悩んできたのです。そして、苦しみながらも昨日から二日間ほど自室にこもり、ようやく書き上げました。
 その結果、巻頭言らしくない巻頭言となり、次のような項目に仕立てあがりました。読者や冥界の古田先生からの評価はいかに。

【『古代に真実を求めて』24集巻頭言】
『「邪馬台国」はなかった』の論理と系
          古田史学の会 代表 古賀達也

○はじめに
○『「邪馬台国」はなかった』を初めて読まれる方へ
○『「邪馬台国」はなかった』を既に読まれた方へ
○「陳寿を信じとおす」という学問の方法
○論理の導く所へ行こうではないか

 以上の小見出しを立て、次の一文で巻頭言を締めくくりました。

〝この「ここをつらぬく論証の連鎖は、わたしの生の証(あかし)である」という言葉に、「論証は学問の命」と通底する著者の気迫と学問精神がうかがえるのではあるまいか。であれば、「陳寿を信じとおす」という学問の方法の行く着く先がどこであっても、著者が怯(ひる)むことはありえない。著者を師と仰ぎ、本書を上梓したわたしたちもまた、同様である。〟


第2302話 2020/11/22

『日本書紀』の「称制」記事を疑う

 昨日、福島区民センターにて「古田史学の会」関西例会が開催されました。次回12/19(土)はドーンセンターで開催します。
 今回の研究発表で最も興味深かったのが服部さんの『日本書紀』に見える「称制」の研究でした。『日本書紀』には神功と天智、持統による称制記事がありますが、中国史書に見える「称制」とは、まだ幼い天子の代理として母親(皇太后)などが政治を行うことを意味しています。他方、『日本書紀』では、天智や持統は前の天皇(斉明、天武)が亡くなってから「称制」しており、本来の意味での「称制」ではないことを疑問視され、持統は九州王朝の天子との関係における「称制」であったことを『日本書紀』は隠したとされました。「称制」の定義などについて反対意見も出されましたが、服部説はするどい着眼点であり、『古田史学会報』での発表が待たれます。
 例会後の懇親会では、関西例会をズームやスカイプにより配信することについて、意見交換がなされました。こちらも、実施に向けて検討を続けます。
 今回の例会発表は次の通りでした。なお、発表者はレジュメを40部作成されるようお願いします。発表希望者は西村秀己さんにメール(携帯電話アドレス)か電話で発表申請を行ってください。

〔11月度関西例会の内容〕
①海女の玉取伝説(高松市・西村秀己)
②古事記・日本書紀の編纂に関する一考察(茨木市・満田正賢)
③元号の始まり(八尾市・服部静尚)
④称制とは何か(八尾市・服部静尚)
⑤昔話の主役の老人の意味と古代の家族構成について(大山崎町・大原重雄)
⑥書紀に探る蘇我氏東漸の痕跡(大阪市・西井健一郎)
⑦九州王朝の国号(京都市・岡下英男)
⑧『古事記』に見える「驛」記事(東大阪市・萩野秀公)
⑨『隋書』と俀国・多利思北孤・端政(川西市・正木 裕)

◎事務局長報告(正木事務局長)
(1)例会初参加者(2名)の自己紹介
(2)新入会員の報告
(3)八王子セミナー(古田武彦記念古代史セミナー2020)の報告(古賀・久冨さん)
(4)関西各地の講演会の報告と紹介
(5)南秀雄「古墳時代における都市化の実証的研究」(大阪市文化財協会のweb版紹介)
(6)福岡県古賀市船原古墳出土「玉虫入り馬具」、京都府与謝野町大風呂南1号墳出土「ガラス釧(くしろ)」報道の紹介
(7)五尺刀と糸島の宇陀(宇田川原)の紹介

◆「古田史学の会」関西例会(第三土曜日) 参加費1,000円(「三密」回避に大部屋使用のため)
 12/19(土) 10:00~17:00 会場:ドーンセンター
 01/16(土) 10:00~12:00 会場:i-siteなんば ※午後は新春古代史講演会
02/20(土) 10:00~17:00 会場:福島区民センター(※参加費500円)

◆新春古代史講演会 2021年1月16日(土) 13:30~17:00 (受付開始13:00) 会場:i-siteなんば(大阪府立大学なんばキャンパス) 参加費1,000円 ※午前は関西例会。午前・午後通しの参加費も1,000円です。
 ①「道行き読法」と投馬国・狗奴国の位置〈仮題〉
  講師:谷本 茂さん(古田史学の会・会員)
 ②裏付けられた「邪馬壹国の中心は博多湾岸」〈仮題〉
  講師:正木 裕さん(古田史学の会・事務局長、大阪府立大学講師)
 ③古代戸籍に遺された二倍年暦の痕跡 ―『大宝二年籍』『延喜二年籍』の史料批判―〈仮題〉
  講師:古賀達也(古田史学の会・代表)

《各講演会・研究会のご案内》
◆「市民古代史の会・京都」講演会 会場:キャンパスプラザ京都 参加費500円
 12/22(火) 18:30~20:00 「古代戸籍に記された超・長寿社会の謎 ―『大宝二年籍』『延喜二年籍』の真相―」 講師:古賀達也

◆「古代大和史研究会」講演会(原 幸子代表) 参加費500円
 12/22(火) 10:00~12:00 会場:奈良県立図書情報館交流ホールBC室
    「多利思北孤の時代⑤」 講師:正木 裕さん

◆「古代史講演会in八尾」 会場:八尾市文化会館プリズムホール 参加費500円
 01/09(土) 14:00~16:30 「白村江での敗戦と唐からやってきた進駐軍」「筑紫都督府と壬申の乱」 講師:服部静尚さん
 03/13(土) 14:00~16:30 「天皇と三種の神器」「王朝交代」 講師:服部静尚さん

◆「和泉史談会」講演会 会場:和泉市コミュニティーセンター
 12/08(火) 14:00~16:00 「未定」 講師:未定

◆誰も知らなかった古代史の会 会場:福島区民センター 参加費500円
 12/01(火) 18:30~20:00 「周王朝から邪馬壹国へ ―『倭人伝』の官名『泄謨觚・柄渠觚・兕馬觚』の謎を解く」 講師:正木 裕さん
 02/02(火) 18:30~20:00


第2279話 2020/10/31

『多元』No.160の紹介

 本日、友好団体「多元的古代研究会」の会紙『多元』No.160が届きました。拙稿〝天武紀「複都詔」の考古学的批判〟を掲載していただきました。
 当号には、服部静尚さん(『古代に真実を求めて』編集長)の「天武天皇は筑紫都督倭王だった 後篇」や「古田史学の会」関西例会常連の論客、野田利郎さん(古田史学の会・会員、姫路市)の「倭人伝には『方向のない行程』が二つある」、上田市の吉村八洲男さん(古田史学の会・会員)の「『景行紀』を読む」など力作が並んでいます。関東や関西など各地の研究者による学問的交流の場としても、『多元』の紙面が役立っているようです。
 中でもわたしが注目した論稿が西坂久和さん(昭島市)の「ユーカラにいた二倍年暦」です。アイヌが二倍年暦を使用していたのではないかとする研究は従来からありましたが、それらを紹介しながら、更に考察を深められています。わたしも「新・古典批判 続・二倍年暦の世界」で「アイヌの二倍年暦」(『新・古代学』第8集 新泉社、2005年)を発表したことがあります。具体的には、菅江真澄『えぞのてぶり』と新井白石『蝦夷志』に見えるアイヌの二倍年暦の痕跡について紹介しました(「古田史学の会」HPに掲載)。
 今月開催される「古田武彦古代史セミナー2020」(八王子セミナー)でも、アイヌの二倍年暦について紹介する予定です。各地の研究者により、二倍年暦の研究が進められることを願っています。


第2277話 2020/10/29

辺境防備兵「戌人」木簡の紹介

 『古田史学会報』160号に掲載された山田春廣さんの論稿〝「防」無き所に「防人」無し〟によれば、「防人」は九州王朝(倭国)の畿内防衛施設「防」に配された守備兵とされ、他方、辺境防備の兵(さきもり)は「辺戌」と呼ぶのが適切とされました。そこで思い出したのですが、以前に読んだ木簡学会編『木簡から古代が見える』(岩波新書、2010年)に〝防人木簡〟の出土が次のように紹介されていました。

〝これまで防人に関する資料は、これらの「万葉集」の防人歌をはじめ、『続日本紀』や法令などに限られ、列島各地の発掘調査においても、なぜか防人に関する資料は全く発見されず、ほとんどその実態はわかっていなかった。
ところが、二〇〇四(平成一六)年、佐賀県の唐津湾に面した名勝「虹の松原」の背後の中原(なかばる)遺跡から“防人”木簡が全国ではじめて発見された。〟『木簡から古代が見える』88頁

 同書によれば、中原遺跡は肥前国松浦郡内にあり、魏志倭人伝にみえる末盧国の故地にあたります。古代から朝鮮半島に渡るための重要拠点とされています。出土した木簡は防人に関する名簿とのことですが、「防人」ではなく「戌人(じゅじん)」と書かれています。「延暦八年」(789年)とあることから8世紀末頃のものとされ、甲斐国から派遣された「東国防人」のことが記された名簿と見られています。

 この「戌人」木簡は、先の山田さんの考察が妥当であることを示しているようです。参考までに奈良文化財研究所「木簡データベース」から同木簡のデータを転載します。

【本文】・小長□部□□〔束ヵ〕○/〈〉□□∥○甲斐国□〔津ヵ〕戌□〔人ヵ〕○/不知状之∥\○□□家□□〔注ヵ〕○【「首小黒七把」】・○□□〈〉桑□〔永ヵ〕\【「□〔延ヵ〕暦八年○§物部諸万七把○§日下部公小□〔浄ヵ〕〈〉\○§□田龍□□〔麻呂ヵ〕七把§□部大前」】
【寸法(mm)】縦(269)・横(32)・厚さ4
【型式番号】081
【出典】木研28-212頁-(2)(木研24-153頁-(7))
【文字説明】裏面「首小黒七把」は表面の人名と同時に記されたかは不詳。
【形状】二度の使用痕残す。上端二次利用後さらに削って整形。左右二次利用後の削りヵ。
【遺跡名】中原遺跡
【所在地】佐賀県唐津市原字西丸田
【調査主体】佐賀県教育委員会・唐津市教育委員会
【遺構番号】SD502
【内容分類】文書
【国郡郷里】甲斐国
【人名】物部諸万・日下部公小(浄)・□田龍(麻呂)・(雀)部大前・首小黒・□□家□(注)・小長□部


第2276話 2020/10/28

2021年新春古代史講演会の予告

 「古田史学の会」役員会は恒例の新春古代史講演会(大阪市)の開催を決定しました。これまでのコロナ自粛から本格的な活動再開へと舵を切りたいと思います。とは言え、行政からの要請による必要な対策は継続します。詳細は後日あらためてお知らせしますが、下記の内容で準備を進めています。
 11月に開催される「古田武彦記念古代史セミナー2020(八王子セミナー)」へ関西から参加予定の3名を講師として、同じテーマを発表していただきます。関東(八王子市)までは遠くて参加しにくい関西の皆様には、同セミナーの発表内容を聞ける良い機会となるのではないでしょうか。多くの皆様のご参加をお願い申し上げます。

《2021年新春古代史講演会の概要》
□日時 1月16日(土)の午後 ※午前中は関西例会を開催します。
□会場 I-siteなんば(大阪府立大学なんばキャンパス)
 ※「定員の半分まで」の使用制限があるため、広い部屋を予約しました。
□参加費 1000円
□講師:講演テーマ ※古田武彦記念古代史セミナー(八王子セミナー)と同テーマ。
 谷本茂さん(古田史学の会・会員):「道行き読法」と投馬国・狗奴国の位置
 正木裕さん(古田史学の会・事務局長、大阪府立大学講師):裏付けられた「邪馬壹国の中心は博多湾岸」
 古賀達也(古田史学の会・代表):古代戸籍に見える二倍年暦の影響―「延喜二年籍」「大宝二年籍」の史料批判―


第2268話 2020/10/22

『九州倭国通信』No.200のご紹介

 「九州古代史の会」の会報『九州倭国通信』No.200が届きましたので紹介します。まずは、記念すべき200号の発刊をお祝いしたいと思います。九州王朝の故地で活動されている同会は「市民の古代研究会・九州」の流れをくんだ歴史ある会です。わたしたち「古田史学の会」とは、諸事情により疎遠となっていましたが、関係者のご尽力を賜り、2016年から友好団体として交流を再開しました。互いに切磋琢磨して学問と交流を深めたいと願っています。
 同号には拙稿「九州年号『大化』金石文の真偽論 ―『大化五子年』土器の紹介―」を掲載していただきました。前号掲載の「九州年号『朱鳥』金石文の真偽論 ―三十年ぶりの鬼室神社訪問―」の続稿です。「大化五子年」土器は茨城県岩井市矢作の冨山家が所蔵しているもので、高さ約三〇センチの土師器で、その中央から下部にかけて
 「大化五子年
   二月十日」
の線刻文字が記されています。これは九州年号の「大化五子年」(699年)銘を持つ同時代金石文で、九州年号と九州王朝の実在を示す証拠の土器です。
 なお、九州には「大化元年」銘を持つ木製神獣が現存しています。大分県豊後大野市緒方町大化の大行事八幡社にあるもので、『太宰管内志』には次のように紹介されています。

 「大行事八幡社ノ社に木にて造れる獣三雙あり其一つの背面に年號を記せり大化元年と云までは見えたれど其下は消て見えず」(『太宰管内志』豊後之四・大野郡)

 ちなみに、当地地名の「大化」は、この神獣に由来するのではないでしょうか。この「大化元年」銘神獣を炭素同位体年代測定法で分析すれば、七世紀末の九州年号「大化」の同時代史料であることが判明するかもしれませんので、地元の皆様への調査協力も行いました。