古田史学の会一覧

第2189話 2020/07/23

『九州倭国通信』No.199のご紹介

 先日、「九州古代史の会」の会報『九州倭国通信』No.199を頂きましたので紹介します。同号には拙稿「九州年号『朱鳥』金石文の真偽論 ―三十年ぶりの鬼室神社訪問―」を掲載していただきました。
 「朱鳥三年」銘を持つ同時代九州年号金石文「鬼室集斯墓碑」を紹介した論稿で、銘文が発見された江戸時代から偽造説が発表され、後代製造のものとする説が主流を占めてきました。拙稿では、古田先生との共同調査の想い出などにも触れ、同墓碑が同時代九州年号金石文であることを説明しました。
 同号には服部静尚さん(『古代に真実を求めて』編集長)の論稿「大宮姫伝承の研究」も掲載されており、鹿児島県に伝わる「大宮姫伝承」について分析されたものです。わたしが古田史学に入門した当時の論文「最後の九州王朝―鹿児島県『大宮姫伝説』の分析」(『市民の古代』第10集、1988年)も紹介していただきました。
 なお、大宮姫を九州王朝の皇女で、天智の皇后「倭姫王」のこととする優れた仮説が正木裕さん(古田史学の会・事務局長)から発表されています。


第2188話 2020/07/19

『二中歴』年代歴の「不記」は「不絶」か

 昨日、「古田史学の会」関西例会が開催されました。今回は発表者が10人もあり、質疑応答込みで30分ずつという短時間での発表となりました。事前に発表者にはこのことが伝えられていたこともあり、各人ともしっかりと時間厳守で発表されました。関西例会常連の発表とはいえ、お見事でした。
 プロの学会ではこれが当たり前ですから、短時間で要領よく研究論旨をまとめて発表するスキルが求められます。原稿をそのまま読み上げるというスタイルではなく、詳細についてはレジュメを参加者に後で読んでもらうことにして、論証要旨を口頭で解説するという発表スタイルがこれからは求められるでしょう。
 今月の例会でも先駆的で優れた報告が何件もありました。中でも、『二中歴』年代歴の記事「已上百八十四年年号卅一代〈不記〉年号(以下略)」の虫食い文字についての、谷本さんの新説には意表を突かれました。従来は「不記」とされてきた虫食い部分の文字について、尊経閣文庫本と国会図書館本の当該部分をデジタル画像処理され、その画像から、虫食い部分の文字は「不絶」の可能性があり、そうするほうが文脈上妥当な理解が可能になるとされました。従来説の「不記」でよいとするわたしの説とは異なりますが、新たな研究手法と従来説の弱点(文意が不自然)を克服できる仮説ですので、『古田史学会報』への投稿を要請しました。
 この他にも、『日本書紀』の「磐井の乱」記事に転用されている『芸文類聚』記事の分析から、「磐井の乱」記事は九州王朝で成立したものが『日本書紀』に転用されているとする仮説が服部さんから発表されました。転用された『芸文類聚』記事の分析という、古田学派としては初めての「磐井の乱」研究方法であり、触発されました。
 正木さんからは、『日本書紀』の大化年間頃に藤原京造営記事が移されているとする仮説が発表されました。九州王朝系記事が九州年号「大化」と共に50年移動されているものがあるという従来の研究方法を更に徹底されたものです。『日本書紀』編纂方法に迫る一つの仮説と論理を妥協せず徹底すると、とうとうここまで来たのかと感慨深く思いました。
 今回の例会発表は次の通りでした。なお、発表者はレジュメを40部作成されるようお願いします。発表希望者も増えていますので、早めに西村秀己さんにメール(携帯電話アドレス)か電話で発表申請を行ってください。

〔7月度関西例会の内容〕
①石井の乱から生まれた九州新朝(大阪市・西井健一郎)
②継体二題〈継体天皇と女系天皇・磐井の乱は南征だった〉(八尾市・服部静尚)
③古墳の前方部の付加と埋葬施設の増改築(大山崎町・大原重雄)
④敏達紀日羅記事の捉え方について(茨木市・満田正賢)
⑤『二中歴』・年代歴の「不記」への新視点(神戸市・谷本 茂)
⑥日野智貴氏に答える―「俀国=倭国」説は成立する―(京都市・岡下英男)
⑦『古事記』「人代篇」の「倭」について(たつの市・日野智貴)
⑧「女王国の東」の証言(姫路市・野田利郎)
⑨移された「藤原宮」の造営記事(川西市・正木 裕)
⑩『記紀』の「驛」、「駅制」について(東大阪市・萩野秀公)

◆「古田史学の会」関西例会(8月は第四土曜日に変更) 参加費1,000円
 08/22(土) 10:00~17:00 会場:ドーンセンター

《各講演会・研究会のご案内》
◆「古代大和史研究会」講演会(原 幸子代表) 参加費500円
 07/28(火) 10:00~12:00 会場:奈良県立図書情報館
    「聖徳太子(多利思北孤)と九州王朝①」 講師:正木 裕さん
 08/18(火) 13:00~17:00 会場:奈良県立図書情報館
    日本書紀完成1300年記念講演会
    「『日本書紀』に息づく九州王朝」 講師:古賀達也
    「箸墓古墳の本当の姿」 講師:大原重雄さん
    「吉野行幸の謎を解く」 講師:満田正賢さん
    「壬申の乱の八つの謎」 講師:服部静尚さん
    「『海幸・山幸神話』と『隼人』の反乱」講師:正木 裕さん
 09/29(火) 10:00~12:00 会場:奈良県立図書情報館
    「聖徳太子(多利思北孤)と九州王朝②」 講師:正木 裕さん

◆「古代史講演会in八尾」 会場:八尾市文化会館プリズムホール 近鉄八尾駅から徒歩5分 資料代500円
 08/01(土) 14:00~16:30 ①「倭の五王」を経て、倭国の独立 ②「聖徳太子と十七条憲法」 講師:服部静尚さん
 09/12(土) 14:00~16:30 ①「九州王朝」と「倭国年号」の世界 ②「盗まれた天皇陵」 講師:服部静尚さん

◆水曜研究会 会場:豊中倶楽部自治会館
 07/29(水) 13:00~17:00


第2181話 2020/07/04

『多元』No.158のご紹介

 友好団体「多元的古代研究会」の会紙『多元』No.158が届きました。同号には拙稿「多元的『蘇我氏』研究の予察 ―九州王朝の葛城臣と蘇我臣― 《補論》湯岡碑文の『我』と『聊』の論理」「《追記》『多元』一五七号の読後感」を掲載していただきました。
 拙稿では、九州王朝の有力臣下に「蘇我氏」と「葛城臣」が存在した史料痕跡を紹介し、『日本書紀』に両者の事績が多利思北孤の事績と共に転用されている可能性を指摘しました。そして、これからの古田学派における多元的「蘇我氏」研究の一つのアプローチを提起しました。


第2171話 2020/06/21

『古代に真実を求めて』24集の特集決定

 昨日の関西例会終了後、服部編集長はじめ編集部員の方と『古代に真実を求めて』24集(2021年春発行)の特集を何にするのかについて意見交換を行いました。8月に編集会議を開催しますが、服部編集長から提案されている〝『「邪馬台国」はなかった』発刊50周年記念〟を特集テーマにすることで参加者の意見がまとまりました。
 50年前、古田武彦古代史の処女著作『「邪馬台国」はなかった』が学界や古代史ファンに与えた衝撃ははかりしれません。朝日新聞社から出版された同書は版を重ね、まさに洛陽の紙価を高からしめた名著です。古田ファンはもとより、わたしたち古田学派の研究者は、同書を読んで古田史学の下に結集したと言っても過言ではありません。
 『古代に真実を求めて』24集は同書刊行50周年を記念し、これからの50年を展望できるような特集を組みたいと願っています。同書に関することであれば、研究論文にかかわらず採用検討対象となります。歴史を繋ぐ一冊の上梓にご協力をお願いし、会員の皆様の投稿をお待ちしています。投稿規定は『古代に真実を求めて』末尾の「募集要項」をご参照下さい。


第2170話 2020/06/20

「倭」の名を悪(にく)んだ王朝

 本日、四ヶ月ぶりに「古田史学の会」関西例会が開催されました。司会の西村秀己さん(古田史学の会・全国世話人、高松市)はコロナ禍の影響により参加できないとのことで、正木裕さん(古田史学の会・事務局長)が進行を担当されました。皆さんの元気なお顔を久しぶりに拝見でき、とても嬉しく思いました。インターネットやFACEBOOKを見て初参加された方も数名おられ、論議も活発になされました。なお、7月もドーンセンターで開催します。
 今回も意表を突いた仮説や半信半疑の面白い仮説、なかなか決着がつかない論議など、今まで以上に関西例会らしい学問的刺激に満ちた例会となりました。中でも「なるほど」と思ったのが、『新唐書』の記事にある「咸亨元年(670)―倭の名を悪(にく)み更め日本と号」した国は大和朝廷ではないという服部さんの指摘でした。大和朝廷は自らの都をおいた本拠地(奈良県)の地名「やまと」に「倭」「大倭」の字を当てており、天武や持統らは「倭」の字を忌避していないとされたのです。言われてみれば「目から鱗」の指摘でした。その上で、咸亨元年(670)に国号を日本に変更したのは近江朝にいた九州王朝の天子とそれを補佐する天智とされました。
 服部説の登場により、七世紀後半の倭国内の権力状況がいかなるものであったのか、諸仮説が少しずつ同方向に収斂しているように感じました。
 今回の例会発表は次の通りでした。なお、発表者はレジュメを40部作成されるようお願いします。発表希望者も増えていますので、早めに西村秀己さんにメール(携帯電話アドレス)か電話で発表申請を行ってください。

〔6月度関西例会の内容〕
①天武天皇は筑紫都督倭王だった(八尾市・服部静尚)
②半熟卵と半殺し(大山崎町・大原重雄)
③宇佐八幡宮をめぐる諸問題について(茨木市・満田正賢)
④「女王国より以北」の論理(姫路市・野田利郎)
王の都の位置の諸問題(神戸市・谷本 茂)
⑥『隋書』国伝を考える(その4)(京都市・岡下英男)
⑦九州王朝と大和政権の関係について(たつの市・日野智貴)
⑧九州王朝説と乙巳の変(川西市・正木 裕)
⑨北魏孝文帝も「周制(短尺系)に復帰」した(川西市・正木 裕)

◆「古田史学の会」関西例会(第三土曜日開催) 参加費500円
 07/18 10:00~17:00 会場:ドーンセンター

《各講演会・研究会のご案内》

◆「古代大和史研究会」講演会(原 幸子代表) 参加費500円
 06/23(火) 10:00~12:00 (会場:奈良県立図書情報館)
    「古代の疫病と九州王朝の対外戦争」 講師:正木 裕さん。
 07/28(火) 13:00~17:00 (会場:奈良県立図書情報館)
    「聖徳太子(多利思北孤)と九州王朝①」 講師:正木 裕さん。
 08/18(火) 13:00~17:00 (会場:奈良県立図書情報館)
    日本書紀完成1300年記念講演会
    「『日本書紀』に息づく九州王朝」講師:古賀達也
    「箸墓古墳の本当の姿」講師:大原重雄さん
    「吉野行幸の謎を解く」講師:満田正賢さん
    「壬申の乱の八つの謎」講師:服部静尚さん
    「『海幸・山幸神話』と『隼人』の反乱」講師:正木 裕さん
 09/29(火) 13:00~17:00 (会場:奈良県立図書情報館)
    「聖徳太子(多利思北孤)と九州王朝②」 講師:正木 裕さん。

◆「古代史講演会in八尾」(会場:八尾市文化会館プリズムホール 近鉄八尾駅から徒歩5分) 参加費500円
 09/12(土) 14:00~16:30  ①「九州王朝」と「倭国年号」の世界 ②「盗まれた天皇陵」 講師:服部静尚さん。


2169話 2020/06/12

『古田史学会報』158号の紹介

『古田史学会報』158号が発行されましたので紹介します。今号には『隋書』の研究論文が集まりました。いずれも関西例会で論争となったテーマで力作です。中でも谷本稿は説得力を感じました。これからの論争や研究の深化が期待されます。
また、正木さんによる九州王朝史の連載も多利思北孤の時代に入りました。いずれ本格的な九州王朝通史として発表していただきたいと願っています。
わたしは、「都城造営尺の論理と編年」を発表しました。本年一月十九日に開催した「新春古代史講演会2020」(古田史学の会・共催)での高橋 工さん(一般財団法人大阪市文化財協会調査課長)の講演「難波宮・難波京の最新発掘成果」で得た新知見を取り入れたものです。これからは文献史学も考古学の安定した最新成果を意識した立論が大切と思います。少なくとも、考古学的知見との整合性が無い仮説は説得力が低下することでしょう。
158号に掲載された論稿は次の通りです。投稿される方は字数制限(400字詰め原稿用紙15枚程度)に配慮され、テーマを絞り込んだ簡潔な原稿とされるようお願いします。

【古田史学会報』158号の内容】
○会員総会中止の代替措置の報告 古田史学の会・代表 古賀達也
○『隋書』国伝の「王の都(邪堆)」の位置について 神戸市 谷本 茂
○イ妥王の都への行程記事を読む ―『隋書』国伝の新解釈― 姫路市 野田利郎
○『隋書』音楽志における倭国の表記 京都市 岡下英男
○都城造営尺の論理と編年 ―二つの難波京造営尺― 京都市 古賀達也
○「壹」から始める古田史学・二十四
多利思北孤の時代Ⅰ ―「蘇我・物部戦争」以前― 古田史学の会・事務局長 正木 裕
○『古田史学会報』原稿募集
○編集後記 西村秀己


第2167話 2020/06/05

『東京古田会ニュース』192号の紹介

先日、『東京古田会ニュース』192号が届きました。本号には拙稿「観世音寺の史料批判 ―創建年を示す諸史料―」を掲載していただきました。観世音寺の創建を七世紀後半の白鳳時代(正確には白鳳10年、670年)とする各種史料を紹介し、その結果、太宰府条坊成立が観世音寺創建に先行するという井上信正説(太宰府市教育委員会)により、九州王朝(倭国)の首都太宰府条坊都市が大和朝廷(日本国)の藤原京条坊都市よりも早く造営されたことになると指摘した論稿です。
 コロナ禍により、「東京古田会」も今年の会員総会開催を断念されたため、同会決算書や事業報告などが同封されていました。コロナ禍の中で、どのようにして研究会活動を継続するのか、わたしたち「古田史学の会」にとっても試練のときを迎えていますが、それは同時に新時代の歴史研究のあり方を他に先駆けて提案・構築できるチャンスでもあります。皆さんからの画期的な提言やアイデアを求めます。


第2166話 2020/06/01

6月20日(土)、関西例会を再開します

 来る6月20日(土)、中止していた関西例会を開催することにしました。正木事務局長をはじめ関係者のご尽力により、行政から要請されている「3密」回避などの諸基準をクリアできることとなり、例会の再開を決定するに至りました。
 会場予約していたi-siteなんば(大阪府立大学)に代えて、あらたにドーンセンターの広い会場(5階セミナー室)を確保し、「3密」を避けることにしました。そのため、割高となる会場使用料を賄うため、臨時措置として参加費を1,000円にさせていただきました。ご理解のほど、お願い申し上げます。参加費の増額分に見合うよう、他団体から贈呈していただいているこれまでの会報を参加者に提供させていただきます。
 なお、参加者の皆様にはマスクの着用と手の消毒をお願いいたします。また、会場で非接触型の検温器にて体温測定を実施しますので、この点もご理解とご協力をお願いいたします。当日、発熱や咳がある方は参加をご遠慮下さい。ご高齢者をはじめ参加者の命と健康を守るための感染防止策ですので、重ねてご協力のほどお願い申し上げます。皆様にご不便やご負担をおかけしますが、有意義で安全な例会となることを願っています。

【6月度「古田史学の会」関西例会の要項】
日時 6月20日(土) 10時から17時
会場 ドーンセンター(大阪府立男女共同参画・青少年センター)
   5階セミナー室
参加費 1,000円
参加条件 マスク着用・検温実施・他
 ※今回は「関西例会」主催の懇親会は実施しません。


第2161話 2020/05/28

『万葉集』巻五の清濁音書き分け

 先日、40年来の古田ファンの西村幸三郎さん(伊丹市)から初めてのお便りと電話をいただきました。西村さんは二十代の頃から古田先生のファンで、著作はほとんどすべて購入され読まれているとのこと。ありがたいことに『古代に真実を求めて』も23集まで全て持っておられるそうです。いただいたお便りには、『古代に真実を求めて』について次のような好意的で鋭い感想が記されていました。

 「日本古代史(周辺・周縁も含めて)探求の広がり・深さ・奥行、それに学問的探求が、どんどん精密・精緻になってきているなあと、毎年読ませていただくたびにこういう感想をもちます。」

 お便りには、寺田透著『万葉の女流歌人』(岩波新書、1975年)のコピーが添えられており、それには『万葉集』巻五の清濁音書き分けについて触れられていました。わたしはこの寺田さんの著書を読んだことがなかったのですが、万葉仮名における清濁音の書き分けの状況や変遷からみて、「『万葉集』巻五風の『万葉仮名』の選定をその頃(奈良朝末期:古賀注)とみる限り、それは天皇家と無関係に行われたものということになる。」とする指摘に驚きました。すなわち、万葉仮名成立の主体が天皇家ではないという主張ですから、多元史観に通じる考え方ではないでしょうか。
 わたしも、「洛中洛外日記」2118話(2020/03/23)〝映画「ちはやふる」での「難波津の歌」〟において、『万葉集』では「ちはやぶる」、『古今和歌集』では「ちはやふる」と詠まれていることにふれました。また、190話(2008/09/28)〝「古賀」と「古閑」〟では万葉仮名の多元的な成立の可能性についてふれました。よい機会ですので、この清濁音問題を本格的に勉強してみようと思います。まずは寺田さんの『万葉の女流歌人』を読んでみます。同著のことをお知らせいただいた西村さんに御礼申し上げます。
 西村さんとお電話でお話したときも、寺田さんについて多くのことを教えていただきました。「古田史学の会」に入会していただきたいとお願いしたところ、ご承諾いただきました。関西例会でお会いできることを楽しみにしています。


第2160話 2020/05/27

【会員の皆様への緊急告知
会員総会中止と代替措置の報告

 古田史学の会・役員会は、例年六月に開催してきた定期会員総会とそれに先立つ全国世話人会の招集を、本年については中止することを決定しましたので会員の皆様にお知らせいたします。
 おりからのコロナ禍による緊急事態宣言発令などの影響を受け、古田史学の会も例会活動や講演会の開催中止を余儀なくされてきました。会員総会についても現時点での開催は困難との認識に立ち、総会に代えて、『古田史学会報』に事業報告・決算報告・新年度予算案・人事案などを掲載することとしました。総会としての審議・決議が行えませんので、新年度の予算案・事業計画などは従来と大差なきよう配慮しました。また、それらについて会員の皆様からのご意見などがあれば、事務局までお手紙などでご連絡いただきたいと存じます。これらの措置をもって会員総会での審議・決議に代えさせていただきたいと存じます。
 会員の皆様にはご迷惑をおかけすることになりますが、コロナ禍という現状において、苦渋の決断であることをご理解いただきますようお願い申し上げます。
 古田史学の会はこれからも会の目的実現のために奮闘してまいります。会員の皆様の変わらぬご支援ご協力を賜りますよう、お願い申し上げます。
     令和二年(二〇二〇)五月二七日
              古田史学の会・代表 古賀達也


第2159話 2020/05/24

正木裕さんが八王子セミナー2020で発表

 本年11月、古田先生の『「邪馬台国」はなかった』発刊50周年記念として開催される八王子セミナー(古田武彦記念古代史セミナー2020)で研究発表することを「洛中洛外日記」2154話〝八王子セミナー2020 発表タイトルと要旨〟でお知らせしました(【演題】古代戸籍に見える二倍年暦の影響 ―「大宝二年籍」「延喜二年籍」の史料批判―)。
 正木裕さん(古田史学の会・事務局長)も研究発表されることになり、わたしのFACEBOOKにテーマと要旨がコメントされました。下記の通りです。同テーマは関西でも好評の正木さんの〝鉄板〟研究です。とても有意義で面白そうなセミナーになりそうです。

【演題】裏付けられた「邪馬壹国の中心は博多湾岸」

【要旨】故古田武彦氏が唱えられた「邪馬壹国の中心は博多湾岸である」ことの正しさを、様々な考古学上・文献上の「新たな発見・知見」にもとづいて証明する。

※正木さんからの追加コメント
 邪馬「台」国はなかった以降、特に近年、古田氏がふれることが出来なかった様々な考古学的発見や文献の発掘により博多湾岸邪馬壹国説はその信頼度を増しています。セミナーでは、ヤマト一元説が無視・スルーしてきた「新証拠」を紹介し、改めて古田説を裏付けていく予定です。


第2154話 2020/05/16

八王子セミナー2020 発表タイトルと要旨

 本年11月に開催される八王子セミナー(古田武彦記念古代史セミナー2020)の発表タイトルと要旨を提出するようにと、冨川ケイ子さん(古田史学の会・全国世話人)から荻上実行委員長名による要請書が届きました。冨川さんには「古田史学の会」を代表して同セミナーの実行委員会に参加していただいています。
 本年のセミナーは、古田先生の『「邪馬台国」はなかった』発刊50周年記念として開催されるので、同書で提唱された「二倍年暦」についての発表要請をいただきました。そこで、「洛中洛外日記」で連載中の最新テーマである古代戸籍への「二倍年暦」の影響と痕跡について発表することにしました。そのタイトルと要旨を紹介します。多くの皆様のご参加をお願いします。

【演題】
古代戸籍に見える二倍年暦の影響
―「大宝二年籍」「延喜二年籍」の史料批判―
【要旨】
 古田武彦氏は、倭人伝に見える倭人の長寿記事(八十~百歳)等を根拠に、二倍年暦の存在を提唱された。二倍年暦による年齢計算の影響が古代戸籍に及んでおり、それが庚午年籍(670年)に遡る可能性を論じる。